所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。スポーツのテーマ曲やCFソングというのは強くそのスポーツと結びついており、その曲が使われなくなってもその曲を聴けばそのスポーツを思い出す。そんな曲達がちりばめられた盤をご紹介します。

F1=Formula1。この世界最高のオープンホイール自動車選手権のテーマソングとしてはT-SQUAREの

「TRUTH」があまりにも有名だ。日本におけるF1黄金期でもある1980年代後半～1990年代半ば過ぎまで10年間にわたって使われたのでF1=TRUTH=T-SQUAREと感じる人も多いだろう。でも実は「TRUTH」はオープニングテーマだったので、番組中に使われる曲はまた別に用意された。そしてそれらの曲の方がより長く、より回数が多く流された。

大橋勇武（イサム）。1990年代初頭、T-SQUARE（安藤まさひろ）と協働しながら、F1関係楽曲を多く手がけたフュージョンギタリスト。表舞台にはあまり出ないが実力派で、和田アキラの後を受けて松岡直也

のツアーギタリストを務めているのは知る人ぞ知ること。

そんな彼がF1の挿入歌・エンディングテーマ集を創った。その（たぶん）第一集。

片山右京の姿も見える

 

全曲安藤まさひろのリズムアレンジで2曲は安藤の曲のため、結構曲の傾向は似ている。ただ大橋の方が、初期のTOTOに感じられるプログレがかったロックといった曲を書く。出だしは例の「TRUTH」が途中まで収められているが、その後エキゾーストノイズの効果音に続いてヘヴィなギターリフで「Front Row ～ Head Line ～」が始まる。ここでハーフオープンハイハット4つ打ちのロックドラムと、ブリッとした音色のベースでエイトビートを刻みながら、要所でスラップのスパイスをきかせるのはなんとCASIOPEAの黄金時代のリズムセクション、神保彰と櫻井哲夫！CASIOPEＡでは決してやらないような、カップをガンガンひっぱたくロックドラムを叩いてる神保のプレイが聴き所。

「Power Game」は、青山純のパワーあふれるロックドラムと、美久月千晴のベースという盤石リズム隊に、土方隆行のリズムギターと、アルバム通して参加するキーボーディスト大坪稔明が脇をかため、大橋がピッキングの音がバリバリ聞こえるようなリキの入れ方でロックギターを引き倒す、というかっちょえ～曲。

そして「Battle for the Championship」。グリッド紹介のバックの曲は、長い間彼が手がけていたが、これも数年使われたと思う。古舘伊知郎のマシンガントークのバックにこの曲がながれると、「くるぞ～」と。ここでリズムをとるのは、ドラムス沼澤尚＋ベース松原秀樹のこれまた盤石コンビ。そしてEWIはT-SQUAREの伊東たけし！まさにロック色の強いT-SQUAREといった感じｗ。大橋のきれいに歪んだギターの音が気持ちいい！！

F1というスポーツの挿入歌集のため、アップテンポの曲が存在感があるが「Better Days」や「Southern Wind」といったスローチューンも負けてはいない。

最後のマルボロカラーでのセナの勇姿

 

1993年と言えば、常勝を誇ったHONDAが去り、McLarenの、Sennaの、凋落が明白になり、Williams Renaultが前年のMansellに引き続きProstでコンストラクターズタイトルを手にした年。そして翌年にタイトルを獲得する、後の「皇帝」Michael Schumacherが一時代を築き始める奔りであり、2011年現在現役最年長のRubens Barrichelloがデビューした年でもあった。ラストの「In this Country」を聴いてると時代の流れを感じるね。

【収録曲】
1. Truth (2'30" F.O.)
2. Front Row ～ Head Line ～
3. Better Days
4. Power Game
5. Southern Wind
6. Battle for the Championship
7. Good-Bye Blue Wind
8. In this Country [ Instrumental Version ]

「Battle for the Championship」