所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。引き続きCDを越えるフォーマット、96Khz/24bitのFLAC形式の生々しい存在感あるデータをご紹介します。
吉田賢一、ホテルオークラで20年近く演奏した名ピアニスト。比較的奇をてらわない、でも、ノリのいいエネルギッシュな演奏がいい。数々の海外ジャズヴォーカリストとも共演を果たし、幾人かは「日本でのバックなら彼」と指名があるほど。
この“STARDUST”はタイトル通り、JAZZスタンダードをピアノトリオ(ピアノ+ベース+ドラムス)が演奏して、ホールでの一発録りをしたもの。だから、音に勢いがある。またフォーマットと相まって“近い”。特にドラムの音は(自分がドラムやってるので判るが)生っぽい。自分が叩いているよう。なんせスティックの音まで聞こえるのだ(木のスティックでシンバルを叩くと、当然楽器であるシンバルも鳴るが、握っているスティックも「鳴る」)。ベースのうなりもすごく、オーディオチェックにこのデータが多く使われているのも判る気がする。
「The shadow Of Your Smile」は、Johnny Mandelによる映画「いそしぎ」のテーマでおなじみのもの。吉田はダイナミックなピアノで迫り、ベースソロでは山村隆一がテーマを崩したメロディアスなソロをとるが、ここでは弾いた弦が指板に当たる音も明瞭。ドラムの木村由起夫と吉田の掛け合いソロの後テーマに戻るが、そのときのスネアのリムショットは、スネアが木胴であることが明確に判る!、深く明瞭な録音だ。
タイトルチューンの「Stardust」はなぜかトリオではやらず、ベースソロが3曲目、11曲目にはピアノソロが収められている。山村のベースソロでは例のテーマをなぞってオーソドックスにはじまり、複数弦弾きやハーモニクスなども交えながらもどの部分のフレーズを弾いているかは明確で、3分以上のプレイを飽きさせない。再生システムの低域の追随性を見るには最適だ。吉田の11曲目はロマンチックなこの曲の良さが良く出ている。装飾音も多くきらびやかな演奏。バーで(できうるなら美人が隣に座っているというオプション付きで)酔いたい演奏だ。他の曲に比べてややオンに録られたこの曲はタッチが良く判る。
名曲「Take The A Train(A列車で行こう)」はエリントン楽団のテーマ曲として知らない人がいない曲だが、ちょっとスローに粘っこくはじまりダイナミックレンジが高い演奏だ。ベースのうなり、ドラムのブラシがいい感じ。ハイハットのフットクローズ(足でハイハットを締める音)が「そこ」で閉まっているような近さで聞こえる。ライドシンバルのレガートとともに鳴るスティックの木の音が自分で叩いている気分にさせる。
「Never Let Me Go」は自分がオーディオをチェックするときに最初に聴く曲の一つだが、「近い」録音と右側にドラムスを寄せた定位が、上がキツイとライドシンバルが右に引っ張るのでパランを観るのに最適だし、低域はベースソロで弦の音とボディの鳴りとのバランスでよく判る。ピアノは主旋律(右手)が強いか、左手の低音弦が強いかで中域の(中高域⇔中低域)の主張の塩梅が定位でわかる曲。そして演奏そのものも素晴らしい。
ジャズバーのセッションなどでもある、演奏中に他メンバーの好演をたたえる「イェィ」といったかけ声も随所で聞かれ、暗くしてこのアルバムを聴いていると彼らがうちに来て演奏してくれているような気分にさせる。オーディオチェックに最適なのはもちろん、ぜひ夜に酒をやりながら聴いていただきたい/聴きたい演奏です。
「Never Let Me Go」
【収録曲】
1. The shadow Of Your Smile
2 Shinny Stockings
3 Stardust (Bass solo)
4 It Could Happen To You
5 Something To Remember You By
6 Take The A Train
7 Never Let Me Go
8 Emily
9 There's No Greater Love
10 Stella By Starlight
11 Stardust (Piano solo)
12 BONUS TRUCK "Drum Solo"
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オーディオ的にもプレイ的にも素晴らしい
楽曲的にはスタンダードが多く、あまり奇をてらっていないアレンジなので聴きやすい。
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購入金額
0円
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購入日
2011年01月12日
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購入場所
HQM STORE
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