所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。企画モノアルバムの中でもレアなものにチェック用音源があります。一般的に寄せ集めのスタジオミュージシャンで録音されることも多く、再生機器の性能や特性を見極めるのが目的の曲の造りのため、音質的にはともかく楽曲的には凡庸な盤となることも多いのですが、この手の作品は録音時点の技術の粋を尽くして作られるため、それを上手く使って時に素晴らしい作品となることがあります。そうなった場合、今度はそのジャンルの特殊性から流通量が少なく、幻の名盤と化してしまうこともあります。そんなプレミアものの名盤をご紹介します。
ゼロ戦。この聞いたことのないグループは、1970年代末にオーディオチェック用として企画されたLPのため集められた。中心人物は石田かつのり(勝範)。作曲家・編曲家でキーボーディスト。作曲家としては「西部警察」や「笑ってる場合ですよ!」、「仮面ライダーBLACK」や同「BLACK RX」、「大奥」などバラエティからアニメ・特撮、大河ドラマまで広く活躍している。この企画のために集められたミュージシャンは、ドラムスの村上秀一や山木秀男、ベースには岡沢章やミッチー長岡こと長岡道夫、ギターは芳野藤丸や佐野光利、キーボードは益田幹夫ら、サックスはジェイク.H.コンセプション、ボーカルはTan Tanこと森野多恵子、というものすごい顔ぶれ。山木秀男とミッチー長岡、芳野藤丸はゼロ戦参加の後に、凄腕スタジオミュージシャンユニットSHOGUN
を結成する。
このゼロ戦、実は火がついたのは日本ではない。ロンドンのクラブシーンでリリースの20年後に「コレCOOLぢゃんw」と言うことになり、ヘヴィローテーションされた。どうやら幻のジャズファンクバンドとしてオリジナルのアナログ盤はとんでもないプレミアがついてるらしい(そういえばこのCDも2500円くらいで買ったのにAmazonでは中古でも倍以上に高騰してますねw)。内容的にはジャズをベースにファンキーな旋律やCOOLなソロが入るもの。ACIDとは少し違うが、SHOGUNをボーカルレスにしてジャズと足して2で割ったような感じ?(数曲ではTan Tanがボーカルをとるので完全ボーカルレスではないが、そのボーカル曲はさらにジャズではなくロック寄りと幅広い)
このアルバムは、そんな彼らの2ndでヒット作の“Sunrise”を中心に、1stの“Asphalt”、石田個人名義のソロアルバム“Body Talk”を編集したアンソロジー。なにせオーディオチェック用に作られたので音が良い、また定位の確認などに役立てるため、効果音が左右のスピーカーを行き来したり、スピーカーの外側にあるように感じる定位の曲もあったりして...。分解能を確認するため多彩なパーカッションパターンもあり、音の分離が素晴らしい。
「Sunrise」、オリジナルアルバム2枚目のタイトルチューンだがかなり暗いw。ベースのリフからはじまりスローな16ビートでドラムがイン、鈴のようなパーカッションの定位が左右にぐるぐる回るのがチェックには良さそうだが、プレイとしても静かなこの曲の各ソロ(ピアノ、ペット、ギター)は結構いい感じだ。
3曲目の「Leaveing Tonight」はTan Tanのボーカルが聴けるがまさに女声版SHOGUNと言うような少しブルージーでちょっとカントリーチックな曲だ。
「High Way」はファンキーでハッピーなチョッパーベースがリードするが、ギターのカッティングがブルージーでブラスのオブリがいい感じで入っている。リードのギターもコンプが効いてシャカポーンって感じの音が気持ちいい。
オーディオチェック用音源を作るという名目で、好きにやった風の作品。質が高く、オーディオチェック用だけにしておくのはもったいないw
【収録曲】
1. Sunrise
2. Circuit
3. Leaveing Tonight
4. Son of Pin Head
5. High Way
6. What's Going on
7. Spanish Fly
8. Cool Head
9. Scrumble
10. Body Talk
11. Whisper of Devil
12. Why He Never Knows
13. Twilight
「Cool Head」
ドラムスの音が若干古めながらも当時の優秀音源
叩くのが、村上'Ponta'秀一や山木秀男なので、音も活きている。
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購入金額
2,415円
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購入日
2004年頃
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購入場所
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