続編やリメイクを作って欲しいソフトって、結構ありますよね。
商業的な事を考えた売れ筋ばかり気にしたものになってしまうと、結局、元のままで良かったのに、なんて事になる例が多い訳ですが。
このソフトは、熱望まではいかないのですが、「移植して欲しいなあ」、「システムを少し改良してほしいなあ」と思う一品です。
しかし、残念な部分があるから、改良して欲しい、というよりも。
「素晴らしい出来なので、それを活かした、もう一つ上のクオリティ希望」
という感じでしょうか。
手に取った時の第一印象は、「女子向け○ケモン」なんですけれども
ヒトとヒトならざるもの(エクス)の共存する世界で、ヒトならざるものと友の契りを結んで戦う。
マスターとエクスが信頼し合う事でその力を使って戦う事が出来るという設定。
世界に出没するエクスと遭遇して、力を見せつけたり、勧誘したりして、友として仲間にする。
主人公は、エクスの覇気(魂と力)を託されて武器の形にして戦う能力を持つサムライ。
連れているエクスの中から、抜刀して戦い、状況に応じて、違うエクスを抜刀する。
エクス相手の場合は、倒したら勝利。
同じ能力を持つサムライ相手ならば、相手自身の覇気か、相手の持つエクスの覇気を全て無くせば勝利。
エクスは、覚えられる技の数が決まっていて、技を選んで忘却させたり、覚えさせたりして、戦闘を優位にしたり、成長の過程で『超越』して別のエクスに進化したりします。
エクスは、デフォルメの効いた可愛い恰好良いキャラが多く、登場人物はスラリと細い美形&恰好良いオジサマ系などで、華やかな印象です。
と、パッケージ裏と紹介記事を見た時に、「女性向けポ○モン」だなあ、と思った訳です。
世界観の作り込みは中々に素敵です。
第一印象の通り、システムというか、根本的なゲーム性としては、○ケモンと同じなのですが、しっかりと設定や世界観を作り込んであるので、看板架け替えただけな○○という事は感じなかったですね。
1999年、アメリカの某研究所が天岩戸計画を実行、高次元存在(神や天使等の神話的存在に近い)である天人と天獣が住むという「高天原」と接触。
交渉失敗により、高天原とアメリカのみならず、全世界を巻き込む第三次世界大戦に発展。
日本は戦禍によって、真っ二つになってしまいます。
高天原の統一国家皇帝が戦禍の拡大を望まない天人たちによって失脚する事により、戦争は終結。
壊滅的被害を受けた日本は、高天原のテクノロジーを受けて復興、「高天原」と「葦原(元の地球側)」の平和を願って「桜国(オウコク)」として再生。
桜国には、エネルギー発生体でありネットワーク体でもある世界樹の「葦原」での母体となる「御柱」があって、その管理によって、「高天原」と「葦原」を結ぶ最大の中継国という立場にもなる。
その為、他の国よりも多くの天人や天獣が住む事となり、さらに発展。
天人も天獣も、「高天原」では同じような知的存在なのですが、「葦原」に降臨すると、魂の性質によって人型や半獣、全くの獣型の姿に変わります。
本来は、物質存在を超越した高次精神生命体で、通称エクスと呼ばれている彼らですが、「葦原」に居る時は肉体の持つ性質に引きずられて狂暴化するものもいるようです。
それが、このゲームにおける野生のエクスという事のようですね。
また、天人は、星戦という特殊な一対一の決闘法を持っています。
これは、エクスとの信頼関係が成り立つことによって、覇気を託されて武器化する能力を使い、戦う能力です。
この能力を持っているものは「サムライ」と呼ばれます。エクスがマスターとして認めれば、信頼が薄くても、覇気を引き出す事は可能というような感じの描写です。
更に、覇気を持っている存在から託されれば、同じヒトからも武器化が可能です。
ただし、覇気を失ったエクスもヒトも、生命力を喪失する事になりますので、「物質を超越融合した精神生命体」であるエクスは、その性質上肉体の生命力だけ 失っても、魂が失われないので復活は可能なのですが、ヒトの場合は、肉体の生命力が無くなれば、肉体から魂が離れてしまい、本当に死んでしまいます。
そんな訳で、武器化するには、相手が命を預けても良いと思う位の信頼を寄せている事、そして、それを背負う覚悟が必要になる訳です。
その辺りを、いきなりのOPで、
其は超越の道也!
然り! 覚醒の刻は今!!
汝の全てを信ずる友の
命を預かる勇気は在るか!?
愛する物を護る為
真実を識る覚悟は在るか!?
然れば其の手で友の覇気を
星剣として抜刀せよ!
其れ即ち真なる勇者
『サムライ』の証也!!
煌く刃に心を重ね
運命すらをも超越せよ!!!
という中々に燃える煽りで表しております。
キャラデザインは、人物が、スターオーシャンセカンドストーリーを乙女向けにした感じ。
エクスが、メダロットとポ○モンの間位?な感覚でしょうか。
他社の先行作品を意識しつつも、別作品として、しっかりとセールスポイントを前面に出して差別化しているのは凄く良いと思います。
仲間への勧誘方法も、なんちゃらボールを使うのではなく、「愛の歌」を聴かせるという趣向。
主人公の性別によっては、百合百合しくなったり、BLかよ、というようなシチュエーションにもなる訳ですが、面白いなと思います。
「高天原」の住人は、基本的に心の糧があれば生きていけるので、歌を聴いて栄養摂取するという設定が生きていますね。
まあ、容量の問題で、仲間になる=恋に落ちるとかいう限定表現になっているので、上記のような妄想も出ちゃうわけですが、この辺りは、容量の制限がないなら、エクスの種類によって、効く歌が違うという演出にすれば、良さそうですよね。
戦闘中は、クリティカルや超必殺技を出すと、この画面の半分位を埋める程のキャラの顔がカットインで出て、技名を叫ぶ演出となります。2002年製なので、その後の有名作品などのカットイン演出と比べると見劣りする事もありますが、この出来は中々ですね。
単発で終わったのが惜しいと思う位に魅力的な世界観でした。リメイク化を熱望する人がいるのも頷ける出来。
アドバンスソフトの中でも、埋もれてしまっているゲームです。
が、隠れた名作として、お勧め出来るクオリティですね。
気になる部分として。
・エクスの所持数制限がきつ過ぎる
同行できる6体と、預かり所に15体では、攻略主体のエクスと、愛で連れていくエクスの同居が難しい。特に、後半にボスだった天人達が仲間になるのですが、それらのキャラを含めた一体限定出現のエクスを連れて行こうとすると、お気に入りキャラなど、保持しておくのは「むぅ~りぃ~」な訳です。
・進化後のエクスに、技の保有数などが進化前の低い状態で上書きされてしまう。
バグっていうか、仕様というか、これも気になる部分。
せっかく育てて愛着があるエクスを進化したら、進化先を新たに入手する方が強いよ、って切ないです。
良い部分は、通信交換が出来るとはいえ、図鑑を埋めるのには通信は必要ない事。
全種集めるなら、トモダチタクサンヒツヨウダヨ、という縛りが無いのは嬉しい。
気になる部分を改善して、演出を勘違いせずに発展させていったら、神ゲーになると思います。
まあ、今は亡き開発元と、そのチームの情熱があれば、という条件付きにはなると思いますが。
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購入金額
1,550円
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購入日
不明
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購入場所
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