"ON SOLID GROUND"。スーパーギタリストLarry Carltonの1989年の作品。“堅い大地の上に”、こう題されたこのアルバムは彼の復帰作でもある。このアルバム制作初期に彼は生死の縁をさまよっている。前年の1988年に暴漢に銃撃され、瀕死の重傷を負った。頚部を撃たれ声帯は損傷し、ギタリストにとって致命的なことに左手が動かなくなってしまった。精神的ダメージも大きく、再起が危ぶまれたが、本人の努力で復帰した。その最初のメッセージが当アルバムだ。
まずLarry自身が録音にも参加したSteely Danの超名盤Aja (彩(エイジャ))
に収録されている「Josie」から幕を開ける。もとはボーカル入りの曲だが、歌うLarryのギターが単なるボーカルレスのカラオケではないインストならではの味を出している。ここでLarryを盛り上げるのはSaxのKirk Whalum。ベースも勝手知ったるAbraham Laboriel。そしてキーボードはこのアルバム通して参加の盟友Terry TrotterとLarryの復活を祝っているようだ。
4曲目の「Layla (いとしのレイラ)」は語る必要がない名曲だが、Eric Claptonの情熱的なギター&ボーカルに負けないLarryには珍しいほどの感情のほとばしる演奏になっている。John Robinsonの硬いドラミングが曲にマッチしている。
全編弾き倒しか、というとそんなことはなく「Bubble Shuffle」のようにフュージョンタッチで小粋な曲もある。この曲ではミュート気味のパーカッシブなアルペジオが歌ものバックでもすばらしい演奏を残しているLarryのテクニックが健在であることが解り、うれしい。
そしてタイトル曲「On Solid Ground」。スケールの大きいバラードで、Larryのディストーションと言うよりオーバードライヴ系の心地よい歪みのギターサウンドが朗々と歌う。生の喜び、再びギターを弾ける事に対する感謝、凶弾に倒れたとき駆けつけてくれた友人らへの愛などに溢れたフレーズと感じるのはうがちすぎだろうか。
アルバムの裏ジャケに当時の彼の偽らざる心境が綴られている。
彼はこのあとさほど間を置かず角松敏生のアルバムに参加したり、さらなるソロアルバムやFourplayへの参加など完全復活した。2011年現在、彼は今でも健在で活動を続けている。彼の歌うギターはまだ健在!
【収録曲】
1. Josie
2. All In Good Time
3. The Philosopher
4. Layla (いとしのレイラ)
5. On Solid Ground
6. The Waffer
7. Bubble Shuffle
8. Chapter II
9. Honey Samba
10. Sea Space
Larry Carlton Official Website
Amazon mp3ページ[試聴ファイルあり]
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購入金額
2,200円
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購入日
1989年頃
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購入場所
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