Carl Anderson。彼の名は最初映画(1973版の方)「ジーザス・クライスト・スーパースター」のユダとして知られた。その後歌手に転向しGloria Loringとのデュエットで大ヒットを飛ばす。その後ジャズ調の作風になり、Grpレーベルに移った。本作は移籍後1作目。
プロデューサーは曲により分担されており、Andre FischerとThe RippingtonsのRuss Freemanが手がける。カラーが良く出ておりAndreは打ち込みを使っても正統派・正攻法のアレンジでAORの薫りが強い。一方Russの演出はバリエーションに富んでおり、打ち込みを使った曲はきらびやかにポップかつジャジーであり、バンドでやる曲はクロめの小粋な曲から「ど」バラードまである。
アルバムは6/8のバラード「My Love Will」で幕を開けるがここでピアノを弾くのはYellow JaketsのRussell Ferrante。打ち込みベースのリズムにSam Rineyのサックスが泣くAndreの手になるまさに正攻法ソウルバラードだ。3曲目の「How Deep Does It Go?」も打ち込み主体でサックスフューチャーのミディアムチューンだが、Russが手がけるだけあり小粋に仕上がっている。ボーカルと絡みつくようにむせび泣くサックスソロはKirk Whalum。
Joe Sampleがイカした(←死語)ピアノでクロっぽいCarlのスローシャッフル・ブルースボーカルを支えるのは5曲目の「Hot Coffee」。これもRussの作品。表題曲の「Pieces Of A Heart (心のかけら)」はAndreがプロデュースする正統派AOR。
2種のカラーがCarlの力のあるボーカルによって見事にばらばらにならず、一つのアルバムとしてまとまっている。
Carlは父親に歌手になることを反対されていたらしいが、50歳の彼が80歳の父をコンサートによび聴かせた曲「If I Could」も収録されている。♪If I could/I would try to shield your innocence from time/But the part of life I gave you isn't mine/I've watched you grow/So I could let you go♪(このあたりのくだりは吉岡正晴氏のインタビューに詳しい)
こうして複数の神に愛された人は早く天に昇るのだろうか、彼は50歳代の若さで天に召された。
もう少し我々にそのつややかな声を聴かせてほしかったな..I miss you.
【収録曲】
1. My Love Will
2. Baby My Heart
3. How Deep Does It Go?
4. You're The Reason
5. Hot Coffee
6. Pieces Of A Heart (心のかけら)
7. If I Could
8. Children Of A Lesser God
9. Life's Lessons
10. Dance Of The Seven Veils
11. Maiden Voyage (処女航海)
Amazon.comの本作のページ[試聴ファイルあり]
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購入金額
2,500円
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購入日
1990年頃
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購入場所
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