レビューメディア「ジグソー」

泣きのサンボーン

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。プレイヤーが常に見ているプレイヤー、という人たちがいます。特にあるジャンルに属するプレイヤー達が影響を受け続ける人、というのが。スムーズジャズ界に影響を与えつづけるサックスプレイヤーの盤をご紹介します。

David Sanborn。ファンキーで明快で、スウィンギーで進化し続けるアルトサックスプレイヤー。そのプレイは常に注目されている。プレイスタイルは幅広くかなりファンキーなフュージョンから優しいバラード、クラシカルなアプローチのニューエイジ風まで常に自分プレイの幅を広げて行っている。しかしその中で一本通っているのが歌ごころ。彼のサックスは「歌うようだ」と言われており、音の強弱、ブロウ、ビブラート、すべてまさに歌うように吹いている。このアルバムはそんな彼をプロデューサー兼ベーシストのMarcus Millerがファンキーに盛り上げるフュージョン盤。

リズム隊がベースMarcus MillerとドラムスSteve Jordanという、「クロいんだけどタテ(縦ノリ)」というのが最大の特徴。ドラムスのSteveは黒人ドラマーとしては例外的に粘り方向に行かない。むろんリズム感・躍動感はさすがの黒人ミュージシャンなんだけど、カチっとしたリズムどり。それが今回は功を奏して、1曲目の「Savanna」のようにまるで打ち込みのような16ビートの2拍目喰いスネアの様にトリッキーな曲調、coolなRicky Petersonのオルガンの上で唱うDavidのアルトは新境地を醸し出している。ちょっと

のような取っつきやすさがいい。一転して「Little Face」はブルージーなカラーのフュージョンギターを弾かせれば抜群の

Robben Fordが中間部では泣き泣きのブルースギターを聴かせるがそれに呼応した後半部ではDavidのアルトも唱う唱う。掛け合いでの押し引きがいい感じです。「Jaws」では縦ノリリズムコンビと補助的に入る打ち込みリズムに乗せて、Davidのアグレッシヴなメロ取りが印象的。ブリブリのベースソロもいい感じです。

最後の「Georgia on my mind」は缶コーヒーのCF曲として日本盤にのみ含まれるボーナストラック。「あの」フレーズを「泣きのサンボーン」が演るのですから、出だしのイントロ後一発目のブロウからもう...w
泣きのサンボーン、ナイス・ガイです
泣きのサンボーン、ナイス・ガイです

このアルバムから既に15年以上たっていますがまだ現役!彼の歌うサックスの進化は止まらない!

【収録曲】
1. Savanna
2. The Long Goodbye
3. Little Face
4. Got To Give It Up
5. Jaws
6. Mirage
7. Big Foot
8. Back To Memphis
9. Ojiji
10. Georgia on my mind

Amazon.comの本作品のページ[試聴ファイル(10を除く)あり]
  • 購入金額

    2,400円

  • 購入日

    1994年頃

  • 購入場所

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