こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽的にテクニックあるメンバーが集まった作品はテクニックひけらかしのくどい作品になることが多々ありますが、熟成のメンツが集まった際には抑えるところを抑え、押さえるところを押さえた名盤ができあがることがあります。そんな名盤をご紹介します。
THE GADD GANG。伝説のフュージョンバンドStuffの自然消滅後、その半数のメンバーが結成したフュージョンバンド。つまりStuffからはリーダーでドラムスのSteve Gadd、キーボードRichard TeeとギターのCornell Dupreeの3人。これにベースのEddie Gomezが加わってできたバンドのファーストアルバムが本作。後にこのバンドは本作でも何曲かに参加しているバリトンサックスのRonnie Cuberが正式メンバーとなり5人構成となるがここではまだカルテット。
出だし「Watching The River Flow」。このバンドの性向をよく表している。ボブ・ディランの原曲がR&Bに見事に生まれ変わり、Cornell Dupreeのシングルボビン丸出しの納豆ギターとRonnie Cuberの野太いバリトンサックスの掛け合いが楽しい前半部分、Richard Teeのハモンドがクロい後半、Eddie Gomezのソロは速弾きや特殊奏法で攻めるのでなく、ランニングベースのフレーズでうならせる。そしてGadd先生はオンの4ビートでずっと支えている。でもとてつもなく難しいフレーズを挟みながら。一聴してこれ見よがし~のドラミングではないのだが、コピーできないから、これは。Cornell Dupreeのコード弾きのイントロから幕を開けるThe Crusadersのカバー「Way Back Home」もファンキィィィィィ!サックスの展開がカッコイイ。Gadd先生はここでもすげ難しいことをあっさりやってますがな。それまでテクニックを前面に出さず爪を隠してた?Steve Gaddが爆発するのは「Duke's Lullaby」。これ曲っつうか4分のドラムソロだから(^^ゞでもマーチングバンドの経歴をもつGadd先生のルーディメンツの嵐。この一曲完コピできたらアマチュア卒業だから。ラストの「Honky Tonk/I Can't Stop Loving You」もどうしようもなくR&B。ここでもCornell DupreeのねばねばギターにRonnie Cuberのハッピーなサックスがいい。
全体に楽しい!テクニックは十分ある人たちがテクニックを見せるためでなく、音楽を楽しむために作った事がありあり判る作品。ワハハと笑い出したくなるハッピーさ。
Amazonは試聴ファイルのあるマルチチャンネルのSACD盤に繋いでありますが、自分が所持するのはもちろん1986年産の初出CD。時を経ても色あせないプレイはさすが。
この12cmの銀盤の中にRichard Tee(1993年没)とCornell Dupree(先月(2011年5月)没)は生きている。
【収録曲】
1. Watching The River Flow
2. Strength
3. Way Back Home
4. Morning Love
5. Duke's Lullaby
6. Everything You Do
7. Honky Tonk/I Can't Stop Loving You
The Official Steve Gadd Website
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購入金額
3,200円
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購入日
1986年頃
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購入場所
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