こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ドラマーやベーシストがソロアルバムを出すと、テクニックこれ見よがし~~の楽器に興味がないひとにはまったく興味を持てないものになることもありますが、音楽的にバラエティーに富んだ非常に質が高い作品になる時もあります。そんな作品をご紹介します。
Abraham Laboriel(, Sr.)は凄腕のセッションベーシスト。1980年代には幅広く活躍し、彼が参加しているアルバムが発売されない月はない、というほど売れっ子だった。ジャンルも歌ものバックからフュージョン、ソウルからラテン、日本人アーティストの作品にも多く足跡を残している。
この作品はそんな彼のファーストソロ。"DEAR FRIENDS"という題名がすべてを語っている。これまで彼がそのプレーを支えてきたアーティストが逆に彼をもり立てるため多数参加。
めぼしいのだけでも、ドラムはSteve Gadd、Jim Keltner、息子のAbraham Laboriel, Jr.、ギターにPaul Jackson, Jr.、Larry Carlton、キーボードはプロデューサーのGreg Mathieson、Dave GrusinにDon Grusin、Joe Sample、ボーカルはスキャットの名手Al Jarreauに先にご紹介したEWFのPhilip Baileyなど豪華絢爛。
曲は基本的に本人(Abraham Laboriel=Abe)かプロデューサーのGreg Mathiesonのオリジナル、もしくはその共作。Greg MathiesonはもともとLarry Carltonと一緒にやってたメンツで、フュージョン系なのだが曲はインストだけでなくボーカル入りもある。Abeの経歴を反映してかこのアルバムでも曲は多彩で、ラテンあり、フュージョンあり、歌ものありと楽しい。ただあんまりとっちらかった感じがしないのは1曲を除いてプレイヤーとしても加わるGreg Mathiesonのカラーか。
2曲目の「AND I DO」はPhilip Baileyが歌うラブバラードで、Abeは見事にバックに徹してる。そのためきちんと「曲」になっている。6曲目の「DEAR FRIENDS」はDave GrusinのアコピにDon Grusinのシンセが絡む幻想的な曲だがAbeはここでも鉄壁のバックで、ピアノソロの旋律の美しさが際立っている。何気なくやっているようで、リズムは非常に難しい曲なのだけど。8曲目の「MY JOY IS YOU」もGreg Mathiesonのハモンドではじまり「あの」ディストーションと言うよりオーバードライブの歌うギターLarry Carltonがメロをとるフュージョン王道路線。この曲は小粋でジャジーなJoe Sampleのピアノソロがすげカッチョイイ!
もちろん「SAMBA 7」のように7拍子のサンバといった難しい曲や、「ARROYO」のようにベースがメロをとる曲もあり、ベーシストが聴いても失望はしないようになっている。
でもそんな曲が全部でないどころか、過半でもないところが「最も幅広く活躍するセッションベーシスト」の称号を受けたAbeならではなんだろう。
「ベーシストのソロアルバム」という色眼鏡では見てほしくないアルバム、です。
【収録曲】
1. QUOTE, UNQUOTE
2. AND I DO
3. HOLIDAYS
4. LOOK AT ME
5. GOYO
6. DEAR FRIENDS
7. SAMBA 7
8. MY JOY IS YOU
9. SIMPLE SELF
10. ARROYO
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購入金額
2,800円
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購入日
1993年頃
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購入場所
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