レビューメディア「ジグソー」

はみ出しシンバルシリーズ①

MUSIC GEAR。
シンバル類は前回までご紹介したAジル(Avedis Zildjian)シリーズとあと1ブランドをセットで持っているが、その2セットからはみ出しているシンバルもいくつかある。楽器店で単品で叩いたときは良い音だったが、他と混ぜてみると音色が違っていたとか、使用目的が限定されるような音色でその後同シリーズに手を出さなかったとか...そんなはみ出しシンバルをご紹介します。

Zジル。1980年代後半ハンドハンマードのKジル、マシンハンマードのAジルに続く第3の柱として企画されたコンピュータ制御ハンマリングのシリーズ。職人が手で槌をもって金属塊を打つKジルはともかく、機械でガンガン打たれるAジルとの違いは二つ。まず音溝がない。シンバルの多くは旋盤加工でシンバルを円周状に削って薄くしていくのでその際に溝が出来、これが板厚の不均衡をもたらし複雑な共鳴を起こす。ただ厚さの不均衡は割れやすさにつながり、耐久性を損なうがこれを解消。もうひとつはコンピュータ設計された打面の自動槌によるコンピュータ制御されたハンマリング。これがそのシンバルのサイズや薄さ、要求される性能(サスティーンの長さ、アタックの強さなど)を引き出すように設計されている。つまり、今まで職人がカンと経験で手探りしながら創り出していたシンバルをコンピュータで創ってしまおう、という試み。

ハンマリングが規則的で模様がある槌で幾何学的に打たれるため、らせん状や放射状の模様となり非常に美しい外観をしている。そのシリーズのうち、このLight Power Crashは最も薄いタイプのクラッシュ。

ちょうど野外で演奏することも多くなり、学生のアマチュアバンドのためコスト的にオーバーヘッドマイク(シンバル類の音を増幅するためのドラムの上、地上2mくらいに立てられるマイク)が省略されることも多く、遠達性の高いシンバルを探していたのでゲット。
コンピュータ制御の規則的な模様
コンピュータ制御の規則的な模様

音溝がなくつるっとした面が広いため、ライトを反射もして派手!音も非常に大きく重宝した。

....野外では。

でも、このシンバル一つの音しか出ないんだよね。振り抜いたフルショットはパワーがあって通りの良いクラッシュ音なんだけど、シンバルが軽く揺れるくらいのショットだと音溝がないだけあって味がないボヨンとした音。カップ音もあんま味がなく、野外以外で使うことはなかった。
裏はぬめっとしてます
裏はぬめっとしてます


でもこのシリーズはZジルジャン→Zカスタムとモデルチェンジし、今年またZ3へと進化した。
一応支持はあるんだね。

自分の用途には適さなかったけど(限定用途だったけど)。
  • 購入金額

    20,000円

  • 購入日

    1988年頃

  • 購入場所

12人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • sakさん

    2011/06/06

    やっぱりスタイルの部分も大きいんでしょうねー
    メタル系のように、バシバシ打ってジャンジャン鳴らすのに向けた物ですからね
  • cybercatさん

    2011/06/06

    sakさん、コメントありがとうございます。
    >メタル系のように、バシバシ打ってジャンジャン鳴らすのに向けた物ですからね
    そうですね。振り抜いた時の音は結構いい音なんでね。
    まさに野外のようにパワーで押し切る、というのには向いているんですが。

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