レビューメディア「ジグソー」

カセットデッキの一つの頂点

当時は個人用の録音機といえばカセットテープが中心であり、バブル期の絶頂と重なったこともあって各社からすさまじいまでのコストをかけたカセットデッキが多数発売されていました。

私自身カセットデッキは特に好きで、当時の3ヘッド機は今でも多数所有しています。その中でもこのXK-009、そして後継機のXK-S9000の実力は一つの頂点を極めていたと思います。

この製品を語る上で外せない特徴といえば、装着したカセットテープに伝わる微弱な振動を抑えるために、ハーフを押さえ込んでしまうA.M.T.Sという機能でしょう。XK-009に採用されたこの機能は第一世代であったこともあり、テープ装着と同時に「バチン」と盛大な音を発生させ、慣れるまではこの音に思いの外ショックを与えられます。

この機能の効果は絶大で、当時磁気テープ自体は全く同じで、ハーフだけが異なった高級テープがいくつかありましたが、このデッキで使うと他のデッキで使うほど明確な音質差が現れないのでした。もっとも、設計強度が不足したカセットテープを使うと、ハーフが想定以上にねじれて走行不良を起こした例もありましたが。

内部構造を見てみると、金をかけるところにはしっかり金をかけ、逆にコストを割いても音質に影響しない部分は安い部品で間に合わせるなど、全ては音質にどう影響するかというアプローチで設計された製品であったように思います。それだけに、他社の同価格帯のデッキと比較しても、ソースの再現性などの面では群を抜いていました。

今ではカセットテープを再生する装置が一つも無いという家庭も増えつつあるようですが、このデッキほどの実力を持った製品でカセットテープを使っている限りでは、MDなどは音質では太刀打ちできていなかったように思います。今では高音質のカセット環境も、ポストカセットテープとして満を持して登場したDATも、過去の遺物という存在になってしまっている面はあります。ただ、その音質は立派に高音質オーディオの世界で通用したものでした。
  • 購入金額

    64,000円

  • 購入日

    1989年頃

  • 購入場所

10人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (6)

  • mr_osaminさん

    2013/10/03

    懐かしいですね、このモデルは今でもヤフオクで人気があるので、コンディションが良いものが出てくるとすぐ売れてしまいます。

    カセットテープといえば、TDKが初めて販売したMA-RXXというシリーズがありましたね。
    ダイキャストフレームを硬質プラスチックで挟み込んだ構造で、いかにも「メタル」って感じで、お値段も結構張りました。
  • ふっけんさん

    2013/10/03

    ウチには弟モデルの007があります。
    ベルト切れを修理せねば・・・
  • jive9821さん

    2013/10/03

    mr_osaminさん

    コメント有難うございます。

    MA-Rはさすがに持っていないのですが、ほぼ同様の構造となっている後継モデルのMA-XGは使っていました。持ったときの重量感が印象的でしたね。

    さらに後継のMA-XG Fermoは46分で1,980円という恐ろしく高価な製品でしたが、これをXK-009で使うとカセットテープとは到底思えないような濃密な音が出てきて、強く印象に残っています。
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