所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。一発屋だって本当に一世を風靡することがある。そんな嵐のようにミュージックシーンを駆け抜けて人々の記憶から抜けていったアーティストの足跡をたどります。
Howard Jones。1980年代中盤を駆け抜けたテクノの騎手。ちょっちハズシ気味の音程、ヘッドセットを付け、シンセサイザーを操りながらほぼ一人バンドで演奏する。この1stアルバムでも「Pearl in the Shell(パールと貝がら)」のサックスを除けば全部自分ひとり。テクノロジーが可能にしたこのような形態を用いて、主張したアーティスト。
今聴くと音はチープ。でもこのジャンルなら今でも聴ける。むしろ最近の「人間みたいなニュアンスまでコピーした」打ち込みでなく、機械であること丸出しの打ち込みであり、そこでは彼が「主人」だ。彼がすべてをコントロールしている。日本においては、テクノは「テクノロジーを前面に出した音楽形態」であり、どちらかと言えばシンセサイザーによる新しい音色や、打ち込みをフィーチャーした「いかにもテクノ」が多かったが、彼のはこの音世界を表現するにはテクノロジーが手っ取り早かったんだろうな、という気はするものの、テクノロジーの方が主体ではない。このアルバム=“Human's Lib”はヒット曲網羅盤の一面もあり、統一感がないように聞こえるけど、詩の世界はおなじ「香り」があり、一枚通して聴くと意外にハマれる。
特に「What is Love?」や「Pearl in the Shell」のように売れた曲も、それはそれで聴きどころあるが、「Don't Always Look at the Rain(雨を見ないで)」やタイトルチューン「Human's Lib」のようにシングルカットされなかった暗めの曲がむしろイイ感じ。
でも彼はほとんどコレ1枚で世界の音楽シーンのスポットライトから去って行った(地元の英国では、2ndの“Dream into Action”、3rdの“One to One”まではソコソコ売れた)。いくつかこのアルバムに入っていないヒット曲もあるが、ほぼこのアルバムの残り香のようで、「やり尽くした」のかもしれない。
最近は大手レーベルとは契約を結ばず独自活動のよう。彼は自分の目指す音楽を極めるために、テクノロジーを使い、一人で演奏してきた。今は音楽配信などの新たなテクノロジーを使って自己表現をしているのかもしれません。
【収録曲】
1. Conditioning
2. What is Love?
3. Pearl in the Shell(パールと貝がら)
4. Hide and Seek(かくれんぼ)
5. Hunt the Self
6. New Song
7. Don't Always Look at the Rain(雨を見ないで)
8. Equality
9. Natural
10. Human's Lib
11. China Dance
「Human's Lib」
Official Howard Jones Web Site
80年代テクノポップ、シンセポップを味わいたいなら必聴
イギリス的昏さと、詞の世界観、無機質な音色がすごく合っている。
時代を感じる。
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購入金額
2,000円
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購入日
1986年頃
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購入場所
N-DRさん
2011/05/05
cybercatさん
2011/05/05
>YOU TUBEで探して聴いて
You Tubeは人のファイルだといつなくなるか判らない面もあり、あまり繋いでないのでお手数かけます!
音は聴くと四半世紀前(!←自分で書いてて驚いてゐる)って感じですけど、今でもチラホラ耳にします。