レビューメディア「ジグソー」

チートハゲ親父のサクセスストーリー

スッラという強烈な個性によって、ローマは国家分裂の危機を克服した。

彼の成した改革によって、共和制は見事に再構築したかに見えた。

しかし、スッラは「ローマを混迷に追い込んだ根本的原因」を見ていなかった。
というより、判っていて意図的に無視していたのかもしれない。

スッラは、自らの手による改革がローマを混迷から目覚めさせたのではなく、自分という個性が行った中央集権的で、果断即決たるリーダーシップにあったということを、自覚していたのでは無かったか?
だからこそ、やれるべき改革を行った後、権力を全て国家に返したのではなかろうか。

何故か?
それは、結果として「スッラの改革は彼の死と共に雲散霧消した」からだ。

ローマは、分裂こそしなかったものの、結局「共和制」というシステムを運用する側の腐敗が止まらず、中産階級の増加によって、格差と権力の分散が不均衡となる「混迷の根本原因」が、共和制ローマというシステムの処理能力を超えていった。

そんな中、スッラの政敵であったマリウスの甥が、追放免除となって久々にローマの地へと舞い戻る。
人類史上最強のチートハゲ・・・じゃない、政戦両略の天才たるその男の名は、ユリウス・カエサル。

後に、彼の名は「皇帝」という意味の言葉として残ることになる。


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・・・・てなわけで、この巻よりついにあの「塩野氏のNo1脳内彼氏(ぉぃ」こと、ユリウス・カエサルが登場します。

天下無敵の借金王にして、剣術は達人級、戦争させたら無敵の強さで、政治センスも抜群。
カリスマ的な人気を誇り、服装センスは当時の最先端流行を生み、文才は現在においても手放しで賞賛され、ハゲでも女に滅茶モテで、浮気しまくっても女の恨みを一切買わなかった・・・

という、『額の広さ以外は殆ど全て完璧超人』なのが、このカエサル。

二流エロゲの主人公だって、こんな厨設定はされないだろうに、これが実在の人物で、しかも殆ど歴史上間違いない事実だとか、まさに事実は小説より奇なり、です。

この巻では、彼を一躍英雄へと押し上げた海賊退治に始まり、ローマの借金王からガリア侵攻司令官への転身、そして政敵ポンペイウス・マグヌスとの運命的な対決に至るまでの過程を追っています。

なぜ、時代はカエサルを欲したのか?
なぜ、共和制はカエサルを拒絶したのか?

単なる英雄神話ではない、人間カエサルの真実に「萌え」の視線で塩野氏が迫る、渾身の一冊。
  • 購入金額

    3,255円

  • 購入日

    2011年04月30日

  • 購入場所

7人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • 北のラブリエさん

    2011/04/30

    いつか読まねばと思っていましたが、面白そうですね。
    Vossさんはギボンのもお読みになりましたか?
  • Vossさん

    2011/04/30

    >ギボンの

    12巻構成のやつ、一巻だけ図書館でチャレンジしたことありますが、30分で読み続けるのを挫折しました(爆)
    考察は詳細なんだけども、やっぱキリスト教信者特有の多神教への批判的な見方とか、面白く読んでもらおうという姿勢が、文章の中に無いのが辛かったです。

    知人(アイリッシュ)に言わせると「翻訳が駄目なんじゃね?原著で読めよ。」との事でしたが。
    あんな量の英文を、すぱっと読み下せる英語力が、オイラにあると思ってるのかw

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