レビューメディア「ジグソー」

コストパフォーマンスに優れるハイエンドビデオカード

Radeon HD 4870&4850のCrossFireX構成で使用していましたが、年越しを前にビデオカードを買い直すことにしました。
ドライバでアンチエイリアスをONにしても全く効かなかったり、モニターのアスペクト比設定がなぜか表示されなかったり、アプリケーションごとに3Dのプロファイルを作るのが面倒だったりと、ハードウェアの性能は良くてもドライバが微妙にかゆいところに手が届かない感じがするRadeonですが、ドライバの使い勝手からいうと個人的にはnvidiaの方が一歩進んでいるように感じます。
世代の古いRadeon HD 4870からの乗り換えだけあって、どれくらいの性能向上が図れるのかかなり期待が膨らみます。

PalitはDOS/Vパラダイス限定での取り扱いですが、なんといっても価格が安いのが特徴です。
32,980円という販売価格はRadeon HD 6950と競合する価格帯であり、コストパフォーマンスとしては良好と感じます。
GeForce GTX460と比べると倍近く高いビデオカードですが、ハイエンドのGTX580と同じチップを使用しており、パフォーマンスの差は歴然です。

■P183への組み込み

使用しているケースはAntecのP183ですが、GeForce GTX570のカード長は約267mmと大柄で、P183の3.5インチベイを外さずにぎりぎり収まるサイズです。
ただし、3.5インチベイの上段にHDDを搭載している場合は、ケーブルが当たる可能性があります。
補助電源は6ピン×2ですので、電源に対する要求スペックはGTX480と比べると格段に下がっています。

■発熱と騒音

GF100コアのFermiではその爆熱さからいまいち扱いづらく、Radeon HD 5800シリーズの勢いに押されていた感のあるFermiですが、GF110になってかなり大人しく、扱いやすくなっています。
GPU温度とファンの速度は、アイドル時で58℃@1800rpm、ロード時でも86℃@2400rpm(FF XIV Benchmark時)と予想以上に控えめの数値です。
58℃はかなり高く感じますが、ファンの回転数を抑えて静音重視のセッティングになっています。
私の環境ではファンの速度が2400rpm程度までしか上がらないため、nVidiaのハイエンドビデオカードとしてはかなり静かな部類だと思います。
今まで使用していた、ファンの回転制御がなく常時100%でファンが回転していたRadeon HD 4870よりも圧倒的に静かです。
高負荷時は80℃を超えていますので、カード全体もかなり熱い(というか長時間触れない)状態ですが、コア温度が3桁行かないのは安心感があります。

※ファンの回転数や温度は、外排気型のクーラーを搭載していることもあり、ケースのエアフローなどによって異なります

■消費電力

Radeon HD 4870は取り外してしまっているので、Radeon HD 4850との比較になります。
あまりに世代が異なるため、単純比較してもまったく意味が無いので参考程度にどうぞ。
FinalFantasy14ベンチマークにおける消費電力のピーク値は下記の通りです。

Radeon HD 4850:219W
GeForce GTX570:410W

その差は約200W弱となりました。
かなりの大食らいと感じるか、予想より善戦していると感じるかは判断が分かれそうなところですが、個人的には予想以上に善戦していると思います。
最大消費電力が219Wのビデオカードですので、使用する際は電源ユニットは500W以上は無いと厳しそうです。

現在はnTuneのプロファイル切り替え機能を使って、CPUに負荷がかかっていない時はコア405MHz、メモリ1500MHzまで落としています。
これで10Wほどアイドル時の消費電力を削減可能です。

■性能

3万円前半で購入できるビデオカードとしては、文句なしの速さかと思います。
詳細は様々なサイトでベンチマーク結果が公開されていますのでそちらを参照頂くとして、ここでは3Dmark VantageとFinalFantasy14ベンチマークの2つを試してみました。

3Dmark Vantage
Radeon HD 4850:GPU TEST1 21.02fps/GPU TEST2 21.62fps
GeForce GTX570:GPU TEST1 63.35fps/GPU TEST2 59.35fps

FinalFantasy14ベンチマークテスト(HIGH/フル画面)
Radeon HD 4850:1772
GeForce GTX570:5126
GeForce GTX570:5283(コア760MHz/メモリ4000MHz OC時)

両方のベンチマークとも、3倍という大差がついています。
比べる相手が間違っていますが、ここまで差があると、なんとも凄いです。
3Dmark Vantageなんて出た頃は重たすぎてまともに動かなかったのが、今ではサクサク60fpsですからね…

■OCテスト

ドライバレベルで、軽くOCの実験をしてみました。
電圧そのままで試したところ、780MHzでは3Dmark Vantage実行中に途中で落ちてしまいましたが、760MHzでは十分に使えています。
メモリも3800MHzから4000MHzにオーバークロックしていますが、まったく問題ありません。
クーラーを取り外さないとメモリの刻印が確認できないため搭載しているメモリのスペックは不明となります。
4Gbps品が載っているという情報もありますので、もう少しメモリクロックは伸びるような気もします。

コア電圧を盛ってどれくらい伸びるのか、ものすごく簡単にテストしてみました。
使用したツールはMSI Afterburner 2.1.0 beta5となります。
電圧を1.038Vと少しだけ盛った状態で、コア780MHzは軽々とクリア、800MHzで問題なく動作しています。
メモリも4400MHz設定でベンチマークも完走しており、クロックアップ耐性はそこそこありそうです。

■総評

AMDのCaymanと比べると、カード自体のキャラクターもかなり異なることもあって好みが分かれそうなGTX570ですが、印象としてはGF110になってかなり扱いやすくなったように感じます。
消費電力という点ではRadeon HDシリーズに分がありますが、絶対的な性能という意味では十分のポテンシャルを有していると思います。
しかも、GF110になり、アイドル時/ピーク時いずれの消費電力も確実に改善されていますので、Caymanにとっては手強い相手になるのではないでしょうか。
これだけの性能で、実売33,000円弱ですから、かなりのお買い得モデルと言えるかと思います。

今のところ、リファレンスデザイン&リファレンスクーラーのモデルしか登場していませんので、メーカーごとの差別化が難しいGTX 570ですが、Palitの価格はかなりのインパクトがあります。
安価なGTX 570を選んでいる方にお勧めの1枚です。
  • 購入金額

    32,980円

  • 購入日

    2010年12月10日

  • 購入場所

    DOS/Vパラダイス秋葉原店

17人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • GORO助さん

    2011/02/26

    こんばんは。

    ああ、お使いなのはこれですね。PHANTOM購入前に某所の記事を参考にさせていただきました。(^^ゞ

    実は、当初は安さを重視してこれを買うつもりでした。クーラーはいずれ換装すればいいだろうと思ってたんです。でも、よく考えたら換装できるクーラーがまだ市場にほとんど無いんですよね。ならば、多少高くても納得のいくクーラー搭載品を買った方がいいだろうと思い、探してみたらPHANTOMを見つけた、というわけです。

    こちらの記述を参考にして後日OCにも挑戦してみたいと思います。
  • ちょもさん

    2011/02/26

    GORO助さん

    コメントありがとうございます。
    リファレンスなら最安値でいいやっ!ってことで、こいつにしました。
    本棚の上で、パッケージのカエルが怪しく見下ろしていやがります(笑

    少々電圧は盛らないとですが、OC耐性はそこそこ良さそうな感じです。
    Radeonのクロック可変になれてしまっていたこともあって、意味があまりなさそうですが、アイドル時にはクロックを1/2程度に下げ、電圧も絞ってます。

    MSIのAfterBurner、便利ですよね。
    他社の製品でも使えるのがスバラシイ。

    P183は窒息ケースでエアフローが悪いので、外排気クーラーで正解でした。
    外排気ファンって、窒息ケースだと冷却効率が劣りそうです。

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