この話はその一言に尽きます。
複雑な事件なのに、動機は分かりやすいぐらいに分かりやすい。
それがまた、読む人の心を切なくさせる、そんな話でした。
最後の200ページくらいで、こんがらがった頭を心地よく解く京極節は相変わらずなのですが、この落ちは本当に想定外。
読む人によってはあっけない最後かもしれませんが、裏の気持ちを含めて汲み取ると、最後の言葉の重みが胸を打ちます。
感情移入はしづらいかもしれませんが、間違いなく切ない気持ちになれると断言致します。
個人的には、前回の事件が一番辛かったのですが、この事件もまた辛い気持ちになります。
ミステリ作家の苦悩をこの作品で感じた気がします。
オブジェとして扱われる人の死への真正面からの取り組み。
京極夏彦の孤独な戦いはまだまだ続きそうです。
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購入金額
1,470円
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購入日
2009年08月頃
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購入場所
近所の本屋さん
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