UK。その名の通りいわゆるイギリス(United Kingdom)で生まれたグループ。ファーストアルバム発表時のメンバーは元King Crimsonのリズム隊、John WettonとBill Brufordに、Roxy MusicでJohnと活動していたEddie Jobsonがキーボード兼ヴァイオリンで、Billと親交のあった鬼才Allan Holdsworthをギタリストとして迎えたもの。そのデビュー盤
は“憂国の四士”と大げさな邦題がついたが、それくらい大物揃いのユニットだったし、まさにイギリス音楽界がプログレッシヴロックからパンクロックに変わろうとしていた1970年代末、沈み行くプログレ帝国を嘆く4人のユニットだった。
しかし、彼等4人でもこの流れを留めることはできず、BillとAllanはフュージョン(ロックとポップ主体のジャパニーズフュージョンではなく)方面へと去ってしまう。残されたJohnとEddieがFrank Zappaのところにいた敏腕ドラマーTerry Bozzioに声を掛けてトリオスタイルで再出発したのが2nd“Danger Money”。このアルバムのあと行われた日本ツアーを収めたのが本作。
現在のようなインターネット環境や音楽番組の衛星中継などがない当時の日本は欧米中心の音楽のムーブメントから数拍「遅れて」いた。そのためまだプログレ興隆中であった環境が良かったのか、ヴァイオリンのもの悲しい旋律が日本人の琴線に触れたのか、貴公子然とした容貌のEddieがウケたのか、日本ではUKの人気は異常に高かった。
作品的にみてもトリオで4人編成時の曲(5~8)を再アレンジして演奏したり、このアルバムにしか収められていない曲(1と4)があったりしておもしろい。
「Nothing to Lose」は「コンバンハ!」というMC(Johnか?)で始まる哀愁感溢れる泣きのロック。なんにせよエレキヴァイオリンのEddieのソロとその間も音が薄くならないように埋めまくるJohnの雄弁なプレイがまるで「リードベースギター」ともいえるパワー。ラストの「キミタチサイコーダヨ!」というMCは本国では離れつつあった人気を忘れさせるような熱烈な日本人の声援に対する彼等の本心か。
「Presto Vivace」からメドレー風に始まるのは1stの1曲目、「In the Dead of the Night (闇の住人)」。この7拍子の緊張感溢れる曲は、Billのあとを受けたTerryのこれも正確で多弁なドラミング、ディストーションかけたようなJohnのベースがギタリスト不在の音の薄さを補い、オリジナルではAllanの美しいソロだった部分はEddieのモノシンセのポルタメントを上手く使ったソロになっており、3ピースバンドのネガを感じさせない(とは言ってもこのアルバム、若干のアフタープロダクションは入っているようなので、ライヴ会場でどの程度の「音の厚さ」だったのかは判らないけれど)。
ラストの「Caesar's Palace Blues」はカントリーのような味わいもありながら、その実高速変拍子ロックという...(^^ゞ。超変拍子をものともしないTerryの怒濤のドラミング、縦横無尽に弾きまくるEddieのヴァイオリン、それでいてJohnの歌は比較的キャッチー、と新生UKのハイライトと言った感じの名曲。コンサート会場は大盛り上がり!この曲の最後「ドーモ!サヨナラ!」と彼等はコンサートを終えるが、唐突に終わるよう演出されたライヴの歓声のごとく、この直後に解散となる。その解散の理由が本国UKでのプログレ凋落に反する極東の島国での異常な盛り上がりだったり、このツアーでの極端なまでの“貴公子”Eddieへの人気の集中でバンドの中での力関係が破綻をきたしたと言うことだったりして、ファンとしてはある意味複雑。
西の果て、“陽沈まぬ国”大英帝国でのジャンル凋落時にそこで名を成した憂国の三銃士が、東の果て、“日出ずる国”で最後の輝きを放った作品です。
※Amazonは試聴ファイルのある紙ジャケ盤に繋いでいますが、自分の所持するのは1989年発売の初CD化盤=通常プラケース盤です。
【収録曲】
1. Night After Night
2. Rendezvous 6:02
3. Nothing to Lose
4. As Long as You Want Me Here
5. Alaska
6. Time to Kill
7. Presto Vivace
8. In the Dead of the Night
9. Caesar's Palace Blues
「Night After Night Live in Japan 1978 (Full Album) 」
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購入金額
2,627円
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購入日
1889年頃
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購入場所
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