元々ソニー製のMDR-CD900をスタジオで使えないかと、同社のレコーディングスタジオのエンジニアに見せたところ、改良要望があり、それに応えてプロ用ヘッドホンとしてリファインしたのが、MDR-CD900ST。型番に追加されたSTはスタジオを意味する。昔は楽器店など販路が限られていたが、今では家電量販店でも普通に見かけるようになった。
発売開始は1989年で、来年で30年。この設計の古さを音に感じさせないのが、このヘッドホンの素晴らしいところ。これだけの期間生産され、現在もレコーディングスタジオで使われている。発売当初の完成度の高さが際立っていたと思われる。
テレビなどで、ミュージシャンや声優がレコーディングしている模様が流れることがあるが、その多くでこのヘッドホンが使われている。
プロ用機材だが、2万円足らずで購入できることは嬉しい。古いからと言って、敬遠せずに、一度音を聴いてほしい。
プロ用なので、民生用には合わない点がある
現行の国内メーカーのヘッドホンとしては、おそらく最も長く生産されているモデルだろう。ハウジングの「for DIGITAL」やヘッドバンドの「STUDIO MONITOR」表記がレトロ感を感じる。
元々レコーディングスタジオ用を想定したプロ用モデルなので、現在の民生用としてはやや合わない部分がある。ケーブルは2.5mとかなり長い。また、ヘッドホンプラグは3極の標準プラグが付いており、一般的なミニプラグへのアダプターは付属しない。
ハウジングにはバネが入っていないため、ヘッドホンを外した状態で持ち上げると、ハウジングが横になってしまい、ハウジング同士がぶつかってしまう。
頭がうつ向けでもずり落ちないのはグッド
ケーブル長が長いことと、ミニプラグへの変換アダプターが要る以外は、普通に使える。イヤーパッドも装着感はいいが、音量を上げた状態だとバスドラムの音が振動として頭に伝わることがある。
こうした気になる面もあるが、装着感は悪くない。頭をうつ伏せの位置にしてもヘッドホンがずり落ちない。ヘッドバンドのLch、Rch表記も明確で、ヘッドバンドの長さ調整部に目盛りがあったりとプロモデルらしい工夫が感じられる。
iPodクラシックに直接つないだ場合、普段自分が聴いている音量まで上げることはできなかった。元々こうした用途は想定していないのだろう。
きらびやかな高音域がいい
音質は高音域がきらびやかで、中音域もボーカルが生々しい。ただ、低音域は軽くなる印象がある。このやや軽い低音を許容できるかどうかで、このヘッドホンの向き不向きが変わるのではないか。ポップス系の音楽やボーカル主体の音楽だと気にならないだろう。
特に華やかな高音域は情報量が多く、独特の爽快感がある。定位感が明確なところも魅力的。
モニター用ヘッドホンだが、個人的には音楽リスニングにも十分向いていると思う。
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購入金額
10,000円
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購入日
2013年頃
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購入場所
ハードオフ
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