レビューメディア「ジグソー」

シンプルなデザインと静音性のバランスがとれたケース

Antecの定番ケース、P180です。Ver1.2になり、裏面配線や水冷ホールの装備、3段階に速度調整な12cmファン×3搭載など、P182と同様の改良がなされていますので、P182との差はパネルの色のみとなります。実売で数千円の差がありますので、P182と比べるとお買い得感があります。

■組み込み

自作する際の基本的な流れは、ケースへマザーボードの組み込み→電源の装着→裏面配線→ドライブの組み込み、という感じです。
マザーボードを組み込む場合、最初にCPU、メモリ、CPUクーラーをマザーボードに装着してから、延長ケーブルもあらかじめ取り付けた後、P180に組み込むことをおすすめします。マザーボードを組み込んでからEPS12Vケーブルを付けようとすると隙間が少なく、かなり面倒なことになりますので、最初に取り付けておき、一番近い場所から裏面に出します。
続いて電源ユニットを装着し、マザーボードに装着した延長ケーブルと結線します。この後ドライブを装着し、ケーブルを綺麗に裏面配線して完成です。


■ファン取り付け時の注意

P180/182は、プラスチック製のファン用トレーにファンを固定します。このトレーですが、小さなツメでロックされており、外す時はファン側にプラスチックトレーの“取っ手”を押すとロックが外れて取り外せます。装着する時は、ツメがきちんと引っかかる位置まで押し込む必要があります。
このトレーですが、強く“取っ手”を曲げると根本からボキッと折れてしまいますので注意が必要です。


■5インチベイの制限について

装着出来るデバイスの長さによっては、マザーボードと干渉する可能性があります。
CREMAXのICY DOCK MB123SK(全長235.5mm)を使用していますが、マザーボードBlitz Extremeの左上のネジと干渉してしまい、そのままでは装着不可でした。ネジを外したところ、ぎりぎり装着できましたが、長いものは装着が難しいこともあるかと思います。干渉しているのは1cm程度ですので、220mm程度であれば装着可能かと思われます。
電源ユニットが上にあるケースの場合、クリアランスが十分なので干渉することも無いのですが、電源が下にあるケースですので、マザーボードとの干渉には注意が必要です。
なお、一般的な光学ドライブであれば、まったく問題は無いと思います。

5インチベイには、レールをドライブの左右に装着してフロントからはめ込む方法のため、ファンコントローラーのように奥行きが短いデバイスは正しく装着出来ない可能性があります。
レールには複数箇所穴がありますので、上下あわせて4カ所のネジを留めればそれほどがたつくこともないと思いますが、2カ所程度のネジ留めだと少し不安定になるかもしれません。


■使用する電源について

電源ユニットを搭載する下部チェンバーの構造を見る限り、ストレート排気の電源ユニットの方が効率が良さそうです。最近主流の12cmファン搭載の電源は、電源ユニット下部から吸気しますが、P180の場合、3cm程度の隙間があるだけです。P183ではCP-850電源ユニットが使えますので、その辺の問題もクリアになっていると思います。
ただし、Seasonic M12 SS-600HMをP182に組み込んで使っていますが、特に問題もありませんので、気にするほどのことでもなさそうです。


■使用した感想

なんといっても裏配線によるスマートなケーブルの取り回し、すっきりとしたデザインなどは、P180ならではの長所でしょう。HDDとマザーボードのエアフローを分離できますので、HDDで熱せられた空気を取り込む心配もありません。また、CPUクーラー直後にある12cmファンが効果的に廃熱を行いますので、CPUクーラーの効率もかなり上がります。実際、ケースを変えたところCPU温度が8℃以上下がりました…
HDDの取り付けもシリコンのブッシュを通して取り付けを行いますので、振動も伝わりにくく、非常に良好です。また、通気もよくHDDの温度もそれほど上がりません。(CoolerMasteのCOSMOSはHDDがいかにも熱を持ちそうなので検討候補から外しました。)

ただし、いくつかデメリットもあります。
排気が12cmファン×2ということもあり、内部の音はそれなりに漏れます。静音を徹底するのであれば、静音CPUクーラーと静かなビデオカードは必須です。静音重視であればSOLOの方が良いという意見もあるようです。
また、吸気と排気のバランスが悪すぎると、効果的に廃熱がされず、あまり冷えないといった症状も出ます。このあたりもあってP183では前面吸気がかなり拡張されているのかな、とも思います。5インチベイにある鉄板を取り外すと、プラスチックのフタの隙間から吸気しますので、少しは改善されますが…。特に吸気フィルタにほこりがたまっている場合は要注意です。

静音と冷却のバランスの良さ、シンプルな外観とバランスの揃ったケースでありながらも、手の届きやすい2万円弱という価格ですので、人気があるのも納得と感じる一品です。
  • 購入金額

    18,000円

  • 購入日

    2009年03月頃

  • 購入場所

8人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (1)

  • きっちょむさん

    2009/09/07

    詳細なレビューお疲れ様です。

    >マザーボードを組み込んでからEPS12Vケーブルを付けようとすると隙間が少なく、かなり面倒なことになりますので、最初に取り付けておき、一番近い場所から裏面に出します。

    これをいつも逆からやって苦労してます(笑

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