レビューメディア「ジグソー」

mbook M1購入とレビュー

GWと前後して公開された、ITmediaやImpress Watchのmbook M1レビュー記事が思いの外しょぼくて、あれでは購入検討者の役に立たないと思うので、香港版初回ロット購入者として少しでも役に立つ情報をとエントリをおこしました。

私が今回購入したmbook M1は、香港電脳買物隊さんの初回入荷ぶんのうちの1台です。よって、香港版の初回ロット(韓国版の第2ロット相当)ということになります。

(韓国版の)第1ロットや(今回の香港版を含む)第2ロットでは、金型の精度の悪さから来る成形不良が原因と見られる不良が散見されているようですが、私の手元の筐体にはそれっぽい箇所はありませんでした。筐体はそれなりにきちんと組み付けられています。ただし、成形のレベルは日本製品と比較してはいけないと思います。
なお、韓国公式サイトのフォーラムによれば、第3ロットではさらに金型の改修が入るようです。


* スペックと注意点

スペックとしてはIntel Atom Z520 1.33GHz, RAM 512MB, SSD 16GBのLinux (Splashtop)モデルです。プリインストールのLinuxは、動作確認レベルで起動した時点では英語(en-US)ロケールに設定されていました。すぐに消してしまった(※後述)ので、他の言語に関しては不明です。
なお、よく言われる〝実は315gではない〟という風評は、この315gというのが〝試作機のバッテリー抜きの重量〟であって、そもそも製品版の重量ではないというのが正しいようです。製品はバッテリー抜きで215g程度、バッテリーが120g程度なので340g前後です。

BIOS, SSDコントローラ, ACPI ECの各ファームウェアのアップデートが提供されています。それぞれ、Bluetoothの挙動修正, 断片化に対する対策, 電源断/スリープ時のバッテリー残量減に対する対策、ということになっています。
このうち、SSDのファームウェアをアップデートすると、ディスクの内容がすべて抹消されます。つまり、ファームウェアアップデートの際には導入済みのOSを含めて完全に初期化され、Linuxモデルに関してはリカバリ手段も提供されていないため、別途OSの調達が必要となります。
それぞれのアップデータはDOS上で動作します。つまり、起動可能なFDやUFD(USBメモリ)が必要です。USB接続のFDを持っていれば話は早いですが、UFDの場合は起動可能にするために『Virtual Floppy Drive』(以下VFD)と『HP DriveKey Utility』(以下DriveKey)が必要です。なお、SSDのファームウェアは5MB程度あるためFDには収まらず、対応した容量のあるメディアで起動する必要があります。現実的にはUFDがいちばん手っ取り早い手段でしょう。
基本的には、VFDで作った仮想FDをマイコンピュータなどから〝MS-DOSの起動ディスクを作成する〟チェックを入れてフォーマットし、DriveKeyでこの仮想FDからUFDに対して起動ファイルを転送するのが大まかな手順です。これらのやり方が分からない・調べられないという人は、無理にアップデートする必要はないと思われます。

特殊な点としては、USBポートが5ピンのminiBタイプです。添付の変換アダプタ以外で一般的なAタイプに変換するには、GREEN HOUSEの『GH-USBK5』が使用できます。
また、この筐体には一般的なイヤホンジャックがなく、TTA 20ピンのポートが実装されています。これは韓国国内の携帯電話で一般的なポートで、それら向けのアクセサリが使用できるようです。私は付属の変換アダプタを含めてこのポートは使用していません。

パッケージ内にはこの2つの変換アダプタの他に、ACアダプタやバッテリー、中文キーボードにするための差分シールが含まれています。
韓国版初回ロットには予備バッテリーや液晶保護シートなど豊富な〝おまけ〟が含まれていますが、香港版には基本的に何もありません。
また、韓国版には内蔵ハードウェアとしてDMB(※韓国の携帯機器向け地上波デジタル放送、日本のワンセグ相当)受信モジュール(とアンテナ)がありますが、香港には相当するサービスが存在しないためハードウェアごと省かれています(アンテナ部分はふさがれています)。この韓国版のDMBモジュールは、のちのアップデートによって日本(およびフランス)国内での使用に対応する予定となっています(※この3国はデジタル放送の暗号化方式以外の基本構成がほぼ同一のため、同一のチップで対応できる)。

本体にはmicroSDスロットが内蔵されていて、これはmicroSDHCカードも認識します。SanDisk microSDHC 16GBが使用できたので、ここに一時ファイルやProgram Filesフォルダなどを置いて、内蔵SSDへのアクセスを減らしています(※後述)。


* OSの導入

USBポートにPanasonicのポータブルDVD-Rドライブ『LF-P667C』を接続し、CDからWindows XP Tablet PC Edition SP3 日本語版を導入しました。導入時のSSDのパーティション構成は、すべての領域をNTFSでクイックフォーマットしています(※後述)。

導入時の注意点としては、インストール中からドライバ導入までの間、タッチパネルの動作が正しくありません。パネルをタップしてポインタを移動させることは出来ず、パネルをなぞるとX軸方向とY軸方向が逆に動作します。つまり、縦方向に上から下へ動かすと、横方向に右から左へポインタが移動します。インストーラは基本的にキーボードで操作することになります。[Tab]キーや[Alt]+キーを活用してください。

インストール完了後、公式サイトからのドライバを導入しますが、いくつか注意すべき点があります。

Hantouchのタッチパネルドライバは、〝PS/2ドライバをインストールする〟チェックを入れなければ正しく導入することができません。どうやらHantouch社にはUSB接続のタッチパネルがあるようで、このチェックを入れない限りはUSB用のドライバしかコピーされないようです。再起動後に画面上の4つの点をタップするキャリブレーションが実行されますが、この際のビープ音が少々やかましいです。

この後、チップセットとビデオ、オーディオ、ソフトウェア(省電力とホットキー)といった順でインストールします。それぞれで再起動を要求されますが、最後まで再起動しないという少々悪いやり方でも導入は可能です。

Wi-FiアダプタとBluetoothアダプタは1チップで実装されていて、内部的にはSDIOとして接続されているため、電源ボタン左隣のBT/Wi-Fiボタンを押してデバイスを〝接続〟しないとドライバが導入できません。
また、手元の環境ではダウンロードしたパッケージ内の Setup.msi からは〝言語設定が違う〟旨のエラーが出て正しく導入が出来ず、デバイスマネージャからWi-Fiアダプタに対して、手動で XP_driver フォルダ内のドライバを指定してインストールしました。

なお、BluetoothスタックはWindows標準のものでも動作します。UMID社提供のBluesoreilスタックは、操作の順番によって〝試用版〟である旨のエラーを表示して使用できないことがあるので、筆者はWindows標準のスタックで使用しています。これによるデメリットは、A2DPのような音声周りのプロファイルが使用できないということです。筆者はBluetoothを携帯電話をDUN/PAN接続するためにしか使用していないのでこれでも大丈夫ですが、A2DPを使用するための別解としては東芝製のスタックを導入するというノウハウがあるようです。


* OS導入後の注意点

さて、Windows導入後の注意点として、標準のNTFS構成ではクラスタサイズが小さい(4KBクラスタ)ためにSSDとは適合せず、ディスクの読み書きが集中した際に数秒間操作が不能となる、いわゆる〝プチフリーズ〟が発生します。この対策として、クラスタサイズを16KBもしくは32KBとするのが有効だと言われています。
手元の環境では、4KBクラスタの時点ではプチフリーズの挙動がスタンバイからの復帰後1分ほど続くことが多かったのですが、16KBクラスタへの変更後はプチフリーズらしき挙動はほとんど発生していません。
筆者はこの変更のために『Symantec Partition Magic 8.05』を使用しましたが、OS導入前に『Windows Automatic Installation Kit』に含まれる『Windows PE』をUFDなどから起動して、パーティションを手動構成するという手法もあるようです。

Windowsの自動アップデートやGoogle Chromeなどをインストールした際のGoogle Updaterのような自動アップデート系のツールも、プチフリーズの原因となることがあるようです。気になる場合は事前に設定で停止しておくといいかもしれません。

また、SSDの消耗を抑えるために、起動時とアイドル時に実行されるディスクの自動最適化を停止しておく必要があります。以下の内容のテキストファイルを〝Disable_AutoDefrag.reg〟などとして保存し、ダブルクリックでレジストリに結合するといいでしょう。

---- ↓ここから↓ ----
REGEDIT4

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Dfrg\BootOptimizeFunction]
"Enable"="N"

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\OptimalLayout]
"EnableAutoLayout"=dword:00000000
---- ↑ここまで↑ ----


* mbook M1のいいところ

これは、〝ポケットに入る340gでフル機能のWindowsが動作する〟という点に尽きると思います。本体のサイズは往年の名機HP200LXと同等で、200LXも〝ポケットに入るサイズでフル機能の(当時のメインストリームOSである)MS-DOSが動作する〟というのが支持された理由でした。
Microsoft Officeを入れることもVisual Studioを入れることも自由ですし、PhotoshopやIllustrator、XAMPPのようなWeb開発環境、そしてSafariやFirefoxなどのWebブラウザに使い慣れたUserscriptを入れておくという、Windows MobileやiPhone OS、Series/60では決して到達できない〝普段使っている環境を制約なくそのまま持ち出す〟ということが可能になります。
キーボード配列にあまり無理がないところも評価が高いポイントです。長音符を多用する日本語を考えた場合は、Remapkeyなどのツールでデフォルトの[=]キーを[-]キーと入れ替えると使いやすいはずです。あとは[,]キーと[.]キーの位置にさえ慣れれば、割とスムースに入力することができると思います。

また、Wi-FiやBluetoothを使用した環境下で、4時間~4時間半程度の使用時間を誇る省電力性も魅力です。同等程度のバッテリー稼働時間を謳う一般のネットブックは、実際には6セルや9セルといった重量級のバッテリーを搭載していて、本体重量が1.5kg近いなどというとても残念な構成になっています。通常のノートPCであれば1.2kgで12時間を謳う製品も存在するので、〝長時間使えて軽い〟ことが存在意義であるはずのネットブックとしての価値が正直微妙です。mbook M1はたった2400mAhの小さなバッテリー1本で4時間稼働を実現しています。
ハードウェア構成が似通っているWillcom D4やSONY VAIO Type Pと比べても、このバッテリー稼働時間は大きなアドバンテージです。電源断の状態でバッテリーを消費してしまういわゆる〝お漏らし〟も少なく、サスペンド中でも1時間に1%程度の減少しかありません。D4に至っては完全電源断の状態でも80時間しか持たないのですから、かなり健闘しています。


* mbook M1の悪いところ

およそ日本のメーカーではQAを通らなさそうな作りの荒さや、いかにも途上国らしいデザイン性の悪さはデメリットだと思います。金型に歪みや湯ジワが多いので、メッキパーツなどは特にそういった汚い部分が強調されており、残念な感じを受けます。また、合理性の欠片もないメッキの多用も安っぽさを強調してしまっています。こういった部分を〝たった7万円のオモチャ〟とでも割り切れなければ、購入検討対象から外すべきです。ここを割り切れる人には、最高のオモチャとなってくれることでしょう。

金型の悪さに関連しますが、microSDカードスロットの組み付けが甘く、カードを上手に装着した上でフタも綺麗にはめるにはそれなりのコツが要ります。失敗しているとフタを軽く押しただけでカードが外れてしまい、実用に耐えません。
また、EeePCなどのようにSDカードスロットが内部的にはUSB接続でないので、いわゆる〝固定ディスク化〟ができません。このため、仮想メモリなどは本体内蔵のSSDに置く必要があります。内蔵メモリが512MB(増設不可)ですので、仮想メモリを切った運用も現実的には厳しいです。

ACアダプタが汎用品であるために巨大なのも、海外製の持ち歩きPCには非常に多いことですが残念な点です。秋月電子で売られているφ2.1mmの9V 2Aな小型ACアダプタに、φ1.4mmのプラグ変換アダプタを噛ませることで使用できています。ただし、場合によって正しく充電できない場合もあるので、少し大きくなりますが3Aタイプのほうがいいのかもしれません。

USBポートとオーディオ関係のポートが特殊なのもマイナスとなりうるポイントです。筆者はここをそれほど気にしていませんが、日本メーカーならば通常のAタイプのUSBポートや3.5mmのイヤホンジャックを無理なく内蔵できたと思います(ここでノイズのQAが云々、などと結局は本体が分厚く巨大化してしまうのですが)。

このような部分を考慮すると、実際に日本の様々な法規制や許認可を通過させるのはかなり厳しいのではないかと思います。この点も、日本版を待っている方々にはマイナスでしょう。
このあたりは計測していないため憶測の域を出ませんが、リークしている電流や回路上の安全設計、通常時に漏らしている電波やその電界強度など、おそらく日本国内の基準値にはまったく適合していないはずです。
また、本体にはCEマークすらありません(ACアダプタには存在します)から、つまりはEU圏での許認可も現時点では得られていません。CEマークがないということは日本のTELEC認証相当の機器と見なされないため、現状では日本国内での使用が触法行為である可能性が極めて高いこととなります。
このような点を韓国国内でも新興ベンチャーであるUMID自身がクリアせねば、日本国内での〝正規ルートでの〟販売への道のりはかなり遠いはずです(並行輸入や個人輸入でのルートは別ですが)。

こういったデメリットやリスクをすべて理解して〝たとえ茨の道でも突き進む〟という人には、大変お勧めできるオモチャだと考えます。また、そういった探求心を、とても高いレベルで満足させてくれるハードウェアだと思います。もっとも、〝欲しいときが買い時〟ですので、そういった方はもうとっくに購入しているのかもしれません。
  • 購入金額

    68,500円

  • 購入日

    2009年04月15日

  • 購入場所

    香港電脳買物隊

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