レビューメディア「ジグソー」

2500Tと歴代CPUの消費電力対決

今回レビューさせて頂くのは低TDPモデルのCPU「i5 2500T」と普及価格帯SSD「320」を組み合わせての省電力環境を構成するという、その名もローボルテージ星。

こちらのCPU側では内容をi5 2500Tに絞り、前半は歴代CPUとの消費電力比較、そして後半にかなり性格が近いXeon E3-1260Lとの比較になり、別レビューとなるSSD側では実際くみ上げた「省電力ネットゲームPC」全体としての内容となります。

また、通常TDP版i7 2700Kとの性能・消費電力比較を2700Kレビューの方にて行っております。



それでは本題
それでは本題


主役なので題字つきました
主役なので題字つきました

まずはi5 2500TというCPU自体についておさらいをしてみよう。

通常のデスクトップ向けSandy Bridge i5シリーズ(2500等)はTDPが95Wとなるのだが、この「2500T」は半分以下となる45Wの低TDPとなる。現状のデスクトップ向けクアッドコアCPUとしては最小クラスのTDP。
その分標準時のクロックも2500の3.3GHzに対して2.3GHzと1GHz低下しているが、ターボブースト時の最大クロックは2500の3.7GHzに対して3.3GHzとこちらの下がり幅は少ない。
GPUコアのクロックもあわせて変化しているが、キャッシュやスレッド数等基本的なスペックは2500に準じた形になっている。

このレビューを書いている時点で、バルク品のみの流通。今回のレビュー品もCPU本体のみでCPUクーラーやロゴステッカーは付属しない。



実際の使用感はSSD側のレビューで書くとして、今回のテーマである「消費電力」について他のCPUと比較してみよう。
クアッドコアながら省電力性能に優れているという触れ込みだが、いくら効率がよくなってもコア数4つ、本当に省電力なのだろうか?

そこで2500Tを迎え撃つは1999~2010年までの歴代シングル/デュアル/トリプルコアCPU!!
2500T<題字は俺専用じゃないのかよ!
2500T<題字は俺専用じゃないのかよ!

それぞれの詳細な環境は下記の表参照で。気になる方は拡大してどうぞ。
構成一覧表
構成一覧表

BIOS設定はデフォルト。但し655Kのオーバークロック時のみコア電圧を安定動作する程度まで上げている。モニタ出力は1280*1024、USBキーボードと無線マウスレシーバー以外のUSB機器は取り外す。

計測は極力CPU以外の影響を抑えるため、マザー用の20/24pinと、補助4pinのみ計測用電源ユニットAntecEA-380(380W、80PLUS スタンダート)から供給し、それをワットモニターTAP-TST8で測る(下図及び冒頭写真3枚目参照)。
計測環境図解
計測環境図解

つまり今回の計測はHDDや光学ドライブ、ケースファンやアクセサリ類の消費電力は無視されることになる。これはもともと搭載していた電源ユニットやHDDがCPUの世代と一致していない為の措置。

もちろんマザーボードの消費電力は大きく影響するので、例えば780Gという高性能オンボードグラフィックを持つPhenomIIや、高機能なハイエンドマザーを使用したE8400は不利だ。メモリの枚数はC7を除き2枚で統一したが、その世代によってもやはり差は出るだろう。

オンボードグラフィックを持たないPCにはビデオカード(GT220HD4350)を使用するので更に大きな差が出てしまう。VGAのアイドル時消費電力を参考値として載せてあるのでそれを引けばオンボードに近い数値になる筈…というご都合主義。



という訳で3分クッキングならぬ3行の間に完成品というかデータをご用意致しました。
実際の計測値と、CrystalMark 2004R3のFPUとALUの値を合計した性能参考スコア。スコアに関してはベンチマークソフトが古いという事もあり、あくまで目安として見て頂きたい。
消費電力&参考スコア
消費電力&参考スコア


これだけではピンとこないのでエクセル先生にグラフ化してもらいましょう。

消費電力グラフ
消費電力グラフ

グラフ先端の薄暗い部分はVGAカードのアイドル推定値部分。これはオンボードグラフィック付きのPCにそれぞれのカードを付けた際の変化値から逆算している。GT220は13W、HD4350は10W、9550は8W分をそれぞれ暗くした。但し横の数字はVGA分込み。

個々のスコアを見ると興味深いものが多いのだが(やはりハイエンドマザーの影響で案外高いE8400等)、話が脱線してしまうのでi5 2500Tに注目してみよう。

さすがにVIA C7には及ばないものの、廉価で低クロックなデュアルコアE3400以下の消費電力をたたき出している。改めて言うが2500Tはクアッドコア。比較対象は全て3コア以下なのだからいかに消費電力効率が良いか伺える。

最早答えは判りきっているが消費電力辺りの性能も参考値として出してみよう。
CrystalMark 2004R3のFPUとALUの値を合計したスコアをPrime95時の消費電力で割っただけなので何度も言うがあくまで参考値。
負荷時消費電力1Wあたりのスコア
負荷時消費電力1Wあたりのスコア


圧倒的ではないか、我が2500Tは。

CPUは発売年順に並べたのだがほぼその順番で効率がよくなっている…が、E8400よりE3400のほうが圧倒的にいい値を出している辺り自分で言うのも難だがあまり正確ではない計算方法だろう。CrystalMark 2004R3との相性やマザー自体の消費電力等、影響するものはいくらでもある。ただこの2500Tのあまりに大きな差の前では少々の誤差などかき消して余りある。

そしてもう一つ注目したいのが電源の差。今回はCPUの影響を判り易くする為に全て同一の80PLUSスタンダート認証電源を使用したのだが、例えばPentium4マシンに元々詰まれていた5年前の電源と、今回比較に使用した電源は実測消費電力に10W以上の差が出てしまう。

特にPentiumDやPentium4の世代のPCを現役で使用しているというのなら、性能を大幅にアップさせつつ、消費電力は半分以下という置き換えには十分な理由が見えてきたと言える。
経過年数的にも故障が多くなる時期、この2500Tに限らず「最新プラットフォームへの移行」を検討するにはちょうどいいかもしれない。

もちろん1、2世代前のデュアルコアCPUと比べても消費電力の低減を実現しており、クアッドコアだから消費電力に気を使うという事はまったく無くなっている。現状の電源ユニットを流用しつつコア数上昇による性能アップを望めるという、消費電力・発熱に関してはまさに「低TDPの看板に偽り無し」といったところだ。






さて、ここまで歴代CPUに対し圧倒的な消費電力効率を見せ付けてきた「2500T」。
しかし旧世代に勝つというのは最早宿命。兄貴分の655Kがアンロックしようとも、その消費電力効率は揺ぎ無い存在。しかし2500Tにはまだ倒すべき相手が残っている。

   ──過去を打ち破った2500Tの前に現れる、最強の敵──

                      ──目立つ事を許されないサーバー向けCPU──

           ──「Core」の名を持たぬもう一つの“Sandy Bridge”──
          
ラスボスらしく黒
ラスボスらしく黒

省電力サーバー向けCPU Xeon E3 1260Lとの最終決戦…じゃなかった比較といきましょう!

このXeon E3シリーズ、Xeonの名を冠しているもののソケットはLGA1155、コアもSandyBridge。言うなれば第二世代Core iシリーズの2Pカラー…じゃなかった兄弟といったところ。
特にこの1260LはクアッドコアでTDP45Wを実現し、内蔵グラフィックを持たないモデルが多いE3シリーズの中では珍しくHD2000グラフィックを内蔵している。

E3-1260L&i5-2500T 赤字は相違点
E3-1260L&i5-2500T 赤字は相違点

要はi5 2500TにHTを足して、定格クロックをちょっと上げて、L3キャッシュがi7準拠の8MBなのがこの1260L。

じゃあ1260Lがあればいいじゃないかと言えばそうでもない。XeonはあくまでXeon。サーバー向けチップセットでなければ動作保証が無いのだ。当然サーバー向けチップセット搭載マザーは値段も高く選択肢も少ない。今回は“何故か”コンシューマ向けZ68マザーでの比較を行っているがあくまでイレギュラーな動作である事に注意。…本当に何故かASRockはZ68マザーの対応CPUリストに別のXeonE3を載せてたりするが。
(ちなみにその後いくつかのベンダーでXeonE3シリーズの動作確認が追加掲載されている。あくまで自己責任だが選択肢は広くなった)

このXeonE3-1260Lもバルク販売だが、i5 2500Tに対して1万円程割高になる。

CrystalMark 2004R3は4スレッドまでの動作なのでXeonが全力を発揮できない。そこで3Dmak06のCPUスコアとFF14ベンチ(Low)を追加。更にVGAカードをを取り付けて3Dmak06のSM2.0及びHDR/SM3.0のスコアとFF14ベンチ(Low)を回してみた。

CPU以外の環境は基本的に共通。
マザーボードはASRock Z68 Pro3-M、メモリはDDR3 1600 4GB*2セットのG.Skill F3-12800CL9D-8GBSR2。このメモリは本来1.25V駆動の低電圧モデルだが、先の消費電力計測時も含め一般的な1.5V駆動を行っている。
一部ベンチで使用するVGAカードはPowerColor AX5750 1GBD5-NS3DH。RadeonHD5750を搭載したファンレスモデル。

ベンチマーク結果
ベンチマーク結果

見ての通りHTとキャッシュ・定格クロックの差が若干スコアに影響しているもの、大きな差がでているとは言い難い。特にHD5750を使用した3Dゲーム系のテストではVGAの影響が大きいせいで全体のスコアから見れば微々たる差になってしまった。

ならば消費電力はどうだろうか?計測方法は先ほどのEA-380を使用した方法と同じ。
グラフちいせえ!
グラフちいせえ!

アイドル消費電力はまったく同じ。Xeonもさすが同じコアだけあって優秀である。
一方Prime95時では17Wもの差が!定格クロックの高さにHTとキャッシュ分が上乗せされたということだろうか。ベンチマークのスコアでは大差が無いだけに先ほどの消費電力効率計算方法だとあっさりi5 2500Tが勝利してしまう。

但しあくまでベンチはベンチ。
今度は見方を変えて実際のアプリケーション…Aviutlの拡張H264出力を使用した動画エンコード時間ををみてみよう。640*480 30fps 1分半の動画を2パスでエンコードした際の全体の時間を計測してみた。

エンコードタイム
エンコードタイム

ここでは8スレッドの面目躍如といったところ。正確に計測したわけではないのでデータの掲載は見送るが、フォトショップのフィルタ処理もほぼ同様の傾向が見られた。
動画エンコードではGPUエンコードなど選択肢が増えているが、動画編集ソフトや画像編集ソフト等での体感速度はベンチマークのスコア以上に高いだろう。




この「TDP45W」クラスのCPUを求める場合、当然負荷時の当然消費電力も気になるだろうから、Prime95時に17Wも低くなるi5 2500Tに大きなアドバンテージがある。何しろ今回は「ローボルテージ」なのだから。
ゲーム等の用途では体感差は少ない上に、1260Lに対して1万円も安いのだから隙がない。コスト・消費電力・性能全てが高次元でバランスが取れたCPUと言えるだろう。

一方、Xeon E3 1260Lに1万円の価格差とコンシューマ向けマザーでは動作保障が無いリスクを覆すほどの性能差がにあるのかと言えば、用途次第としか言いようが無い。
今回はi5 2500Tに対していまいちぱっとしなかったが、8スレッドがモノを言う場面ではしっかりと実力を出している。8スレッドによる並列処理もこなせつつアイドル消費は30W代というのは、他にはない魅力的なCPUであることは間違いない。

何よりどちらを選んでも過去のCPUと比べたら消費電力性能比は圧倒的なのだから、用途と予算、そして何より入手できるタイミングがあるかどうかで選んでしまってもいい…そう、どちらもバルク品のみの流通で、とにかく入手性の低さが現状最大の弱点。
両者共パッケージ版のリリースが無いままIvy世代の発売を迎えることとなってしまった。



後編?となるSSD編完成致しました。
2500Tも含め出来上がったPCを使ってのレビューとなりますが、こちらと比べるとゆるい内容です。ごゆるりと。

存在を忘れていたので今更追加するが、実際i5 2500T(とSSD 320)を組み込んだPCのエクスペリエンスインデックス。
CPUは7.4
CPUは7.4

ちなみにE3 1260Lでもi5 2500Tでもエクスペリエンススコアに変化はない。実クロックのせいか他のSandyBridgeに比べると控えめなスコアのようだ。