所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストにとって方向性の転換・修正はある程度必要なものです。飽きられず、でも自分のファンを裏切らないような新しい「なにか」の模索は長く活動を続けるにあたって重要なことです。でも「次」を見つけるのはなかなか簡単なことではありません。「次」を見つけるために模索中の時期の作品をご紹介します。
倉木麻衣。当初英語中心の洋楽調の曲を歌うナゾの帰国子女...というような売り出し方をした彼女も、現在はすっかりJ-POPのベテランシンガー。それでいて、昨年は日本初のVRシングルをリリースするなど新しいことにも挑戦し続けている。そんな彼女が洋楽調楽曲から現在の路線にシフトしているさなかの曲。
“ダンシング”は彼女の20枚目のシングル。“風のららら”
以降、J-POP色を強くしていった彼女だが、それは緩やかなシフトで、シングルのうち1曲を今まで依頼しなかったアーティストに依頼したり、編曲がそれまで過半を占めていたCybersoundから離れたりという風に変えていき、だんだんと初期の洋楽テイストが強い楽曲から遷移していった。
この作品のころは、まだ以前の系統の薫りもありつつ...でも脱洋楽路線も含んでいる「遷移途中」な感じが面白い。
表題曲の「ダンシング」は、なんかどっかで...ハッ!コレハ...Michael Jackson!ステディなベースラインとファンキィなギターのカッティングは作編曲の徳永暁人による。全体的にイロクな雰囲気ぷんぷんで、特にラストのサビ前に挟まれるカチカチのカッティングと♪Hey!♪という掛け声の部分は日本人離れしたセンス!アウトロのギターソロもカッコよいし。それだけにブリッジの部分(スローになるところ)の「ザ・歌謡曲」という感じのがザンネンネー。方向性の変更を探り探りな感じ。
「through the River」は、麻衣のシングルではおなじみの大野愛果の筆。ミドルテンポのバラードで、編曲も「いつもの」Cybersoundなので安心して聴ける?エレピとツリーチャイムの美しい響きと、少々タンバリンのシンバルのような音のニュアンスを持つハイハットの打ち込み音という淡々としたバックに乗せて、麻衣の伸びやかな声が楽しめる。
「You look at me〜one」は、2回繰り返されるAメロの1回目が、ヴォイスモジュレーションをかけたような電話の声のような加工がしてあって面白いけれど、麻衣の声は声質が良いので、こういった「地」が見えなくなるなるようなお化粧は...どうかな?
この前の作品では初めて組むアレンジャーを起用して新味を出したが、この作品では今までなじみの制作陣での新味を模索した。
それ自体はあまり成功したとは思えないけれど、その曲調は現在から俯瞰してみると面白い作品となっているともいえる。
変わりつつあったアーティストが、脱皮途中に見せた「瞬間」。それは「その前」にも「その後」にもない特異な作品となってます。
【収録曲】
1. ダンシング
2. through the River
3. You look at me〜one
「ダンシング」
どこかで聴いたことがあるような曲がまだ多い
まだ、こなれていない。デビュー当時の色合い延長一辺倒では広がりがない、でもフツーのJ-POPシンガーになってしまうには、今まで築いてきたものがモッタイナイ..そんな迷いが感じられる。
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購入金額
180円
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購入日
2012年03月18日
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購入場所
Yahooオークション
くーねるさん
2018/05/14
cybercatさん
2018/05/14
くーねるさん
2018/05/14
cybercatさん
2018/05/14