所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。以前楽曲の頒布が「レコード」だったとき、両面に記録されていて、表題曲以外の曲は「B面」と呼ばれたものです。一般的には「A面」が売り出し対象曲ですが、時にはB面の方が売れたシングルもあります。元々はすでに出したシングルのリアレンジヴァージョンだった曲が、それが発表された場面と、曲内容にマッチしたアレンジで、表題曲よりもカップリングの方が人々の心に残った作品をご紹介します。
倉木麻衣。前世紀末から今現在も継続的に活動しているシンガー。経歴を秘匿して洋楽タッチの「Love, Day After Tomorrow」でデビュー、同時代の宇多田ヒカルになぞらえて?謎の帰国子女風のプロモーションをしていたが、その後正統派プロモーションに回帰、楽曲の傾向も洋楽の薫りはさせながらも、R&B色がやや強めのJ-POPへと落ち着いた。芸歴20年を数える現在もコンスタントに曲をリリースしており、独自の世界を形作っている。
本作はそんな彼女の19枚目のシングル。表題曲「Love,needing」はそれ自体、ランキングピークで3位まで上るが、「シングル」としては、他の収録曲の方が人々の記憶に残っているかも知れない盤。
「Love,needing」は、やや初期に戻ったような曲調。結構タイトで音数少ないアレンジだが、淡々と進むバックに麻衣のウィスパーヴォイスが絡むのは洋楽っぽくて、デビュー当時を思い出させる。曲はそのデビュー曲「Love, Day After Tomorrow」を手がけた大野愛果。ただアレンジはいつものCybersoundではなく、GIZA studio系の麻井寛史。
続く「Moon serenade,Moonlight」は、超有名曲「Moonlight Serenade」とはなんの関係もなく、ミディアムテンポの小粋な曲。生ギターやローズ風の音を中心に進む静かで切なめのAメロと、調が変わってパァッと明るく開けるサビの落差が印象的。麻衣の歌詞も前向きで明るい♪そんな時にも/Don't give up/勇気をくれる/今日もいつものジョークで/心なごませ/Don't give up/思いが走る/君といられる瞬間/オー ダーリン/フォーリン・ラブ/この幸せを噛み締めて♪
最後の「明日へ架ける橋 〜ballad ver.〜」は、このシングルの前作、18枚目のシングルとなった「明日へ架ける橋」
のピアノ+ストリングスの伴奏を中心とした「ballad ver.」。元々元曲も1コーラス目はピアノ中心で、そんなに激しいわけではないが、こちらのアレンジでは、ラストまでピアノ+ストリングスにコーラスのみ。コーラスの比重が大きくなっていて、ゴスペルチックな薫りもある。このアレンジは、2004年には「明日へ架ける橋」しかシングルリリースがなかった麻衣が、NHK紅白歌合戦に出場した際に披露したアレンジで、「歌を聴かせる」にはよりよいアレンジ。その時の出演順的には、演歌の大御所連に切り替わる直前の最後の若者枠?で、印象には良く残った。リリースも2015年年明けすぐで、「ああ、あのアレンジ」とすぐに分かる状態。彼女の歌唱シーンと合わせて、むしろ「記憶」に残ったかも。
「Love,needing」は、悪くはないものの、わりに麻衣にはありがちの曲の1つに過ぎないが、カップリングの「明日へ架ける橋 〜ballad ver.〜」は、紅白歌合戦の再現...ということで結構人気を博したという。
CD時代になって「B面」がなくなったが、今ダウンロード時代になってカップリングすらも...
そういう意味では、「B面の方が売れた」シングルなのかも知れません。
【収録曲】
1. Love,needing
2. Moon serenade,Moonlight
3. 明日へ架ける橋 〜ballad ver.〜
「明日へ架ける橋 〜ballad ver.〜」は麻衣の歌がよく味わえる
バラード系の曲は伴奏は素っ気ない方がむしろ良い場合もあると言うことか
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購入金額
180円
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購入日
2012年03月18日
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購入場所
Yahooオークション
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