所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストの中で、デビューした時の方向性を寸分も変えずに活動し続けられる人は多くありません。それは、ファンの慣れだったり、時代の変遷だったり、機器の発展・衰退だったり、声域など自身の変化だったり...アーティストがデビュー時の路線を変えているさなかにリリースした作品をご紹介します。
倉木麻衣。デビューした当時は、ほとんどTVなどの露出なく情報を絞って「ナゾの帰国子女」というようなプロモーションの仕方をした。また楽曲の方も、洋楽チックな曲調と英詞の割合の多さから、それまでの日本の流行歌とは一線を画し、さらに当時盛り上がっていたSoul Divaテイストを纏っていて独特の立ち位置だったが、永く活動を続けてい行く間に、J-Pop王道に徐々に軌道修正する。
その時に大きなポイントとなったのが、徳永暁人の起用。自身もベーシストとしてロックバンドをやっており、ZARDやB'zの楽曲制作にも関わった徳永は、明快なロック路線であり、それまでの打ち込みでありながらどこかフワフワとしていて、少し昏いイギリス的空気を纏った曲とは違って、明るめのポップロック系の楽曲。
表題曲の「Feel fine!」は、徳永と組んだシングル曲としては3作目だが、アメリカンオールディーズな雰囲気が入った“Stand Up”とも、ホリデイチックな“Winter Bells”とも違い、正統派ロック。サビの部分が少々ポップ色が強くなるが、Aメロやブリッジは結構なロック。でも麻衣の歌声が今までと近い路線の吐息多めのウィスパーヴォイス系なので、ちょっと他にない味を醸し出している。特にブレイクとなるブリッジの部分は、声音が印象深い。
続く「Rescue Me」は、従来路線。制作陣も1stアルバムの頃から楽曲を提供するYOKO Black. Stoneこと石黒洋子で、昏めでインパクトの大きい打ち込み主体のクラブサウンドとなっている。結構安心できる仕上がり?曲調的に「A面」にするのは、宇多田ヒカルクラスの歌唱力・カリスマ性が必要な感じの曲だが、アルバムに入れるのは悪くない。むしろ従来のファンへの配慮した曲?
3曲目?は複数の曲を寄せ集めたリミックス。「Discotheque」とあるように、ビート強めのミックスがされているが、複数曲のつぎはぎであり、いわゆる「鑑賞する」曲ではない。素材として麻衣の過去の曲を使っているので、麻衣の声も当然入っているのだが、切れ切れだし、「Dub Edition」と言いながら、Dubっぽくない。これは捨て曲と言われても仕方ないかも。
表題曲は今までの昏めのクラブ系を狙ったサウンドではなく、完全に王道J-Pop。徳永カラーが良く出ていて、明快でノリの良い曲。最初の頃は、大野愛果+Cybersoundコンビがシングル制作のほとんどを占めていたが、このころから徳永との仕事が多くなってくる。それとともに、よく言えば王道な、悪く言えばよくあるJ-popに方向性が変わってくる。しかし、当初の頃のジャンルのフィールドは結局21世紀に入ってから急速に収束したので、そういう意味では生き残りには良かったのかもしれない。
ある意味、麻衣が長期にわたって活動するために必要な変化だったのかもしれません。
【収録曲】
1. Feel fine!
2. Rescue Me
3. Mai-K Dub Edition 〜K.F.A. Discotheque Master Mix〜
4. Feel fine! 〜Instrumental〜
「Feel fine!」
軽快なロックにウィスパーヴォイスという組み合わせの妙
曲調としては王道のポップロックなのだが、ヴォーカル自体は麻衣カラーというのが面白い。
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購入金額
180円
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購入日
2012年03月18日
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購入場所
Yahooオークション
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