DREAMS COME TRUE(DCT)。1990年代を代表するアーティスト。現在でも活動を続け、アルバムリリースとコンサートの観客動員数では大きな存在感を示すが、「一番売れた」のは1990年代。出すシングル出すシングル全てヒットし、特に1992年の“決戦は金曜日/太陽が見てる”から1995年の“ROMANCE/家へ帰ろ”はチャート首位かミリオン以上の売り上げのいずれかは達成しており、そのうち「決戦は金曜日」と「晴れたらいいね」という彼等の人気爆発のきっかけとなった2シングルを含んだ5thアルバム、“The Swinging Star”
が大きなヒットとなる。
この作品で「トップアーティスト」にカウントされるようになった彼等が、次に出した作品が本作、“magic”。「売れた」作品の「次」を彼等はどう作ってきたのか。
-いたずらにキャッチーに行くことなく、アルバム全体で味わうような作品にしてきた-
「I'm a liar」はプログレバンドEUROX
が大きく関与した中森明菜のコンセプトアルバム“不思議”のような不安定なAメロが今迄の彼等とは明確に違うイメージ。それがサビになると伸びやかな吉田美和の声が花開き、一気にDCT節になる。バックもオルガン音色の和音の後ろで泣く弱音器付けたペットの音が寂しげなAメロから、生のラッパ隊の「ばらけ方」がライヴなサビへの展開の落差が印象的。
「雨の終わる場所」はこのアルバム唯一の収録となるシングル“go for it!/雨の終わる場所”から。両A面のカタワレ、「go for it!」の方は単発で聴くと悪くない、高田二郎の粘りのあるカッティングと、伸びやかな美和の声が味わえるソウル調J-POPで、むしろDCTの中ではかなり好きな方に入る曲なのだが、このアルバムの中ではかなり浮いている。一方ギロが淡々とリズムを刻む「雨の終わる場所」はこのアルバムにピッタリで、低めの音域を使った美和の声も深くて落ち着いていてアルバムの雰囲気に合っている。「go for it!」を無理に入れる必要があったのかな?
続く「FANTASIA #1」は、クレジットでストリングスなどが打ち込みな事にびっくりする豪勢かつシンフォニックで壮大なバラード。途中に挟まれた2/4がゆったりと聴き流すことを許さない。いやいや♪心躍る/さわやかな日々に/それは/あなたといて生まれるファンタジー♪と歌う美和のこちらの胸にまで突き刺さる全力歌唱がそれを許さないが。
明るくキャッチー、という彼等のイメージを少し隠して、彼等の芯にあるブラコンやクロスオーバーといった音楽性を昇華させた作品。印象としてはやや地味なんだけれど、聴き込むとイイ作品が多いのがわかる。
でもセールスとしては前作には及ばず、彼等はもう少しポップスに振り戻した7thアルバム“DELICIOUS”を作ることになる。そちらの方が売り上げは高かったので、やっぱり世間の求めるモノはそちらだったのか...後から俯瞰してみると、「売れた作品の次」の難しさを感じる作品です。
【収録曲】
1. …AND THEN?
2. LOVETIDE
3. go for it!
4. 冬三昧にはまだ遠い
5. I'm a liar
6. a little waltz
7. 花曇りの日曜日
8. いろんな気持ち
9. 愛してる 愛してた
10. 雨の終わる場所
11. FANTASIA #1
12. HAPPY HAPPY BIRTHDAY
「雨の終わる場所」
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購入金額
2,800円
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購入日
1993年頃
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購入場所
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