最後の一言が無いと真犯人が誰なのかという事に気がつかずに終わってしまうところでした。
あらすじをざっと書きますと、和音島という孤島で首なし死体が発見されます。
それは、雪が積もった「夏の」朝におきた事件です。
孤島というクローズドサークルミステリの王道を行くように見せかけて、キュビズムをベースとした衒学的説明で読者を惑わし、一気に最後まで読ませます。
前半部分は人によっては退屈するかもしれませんが、後半というよりラスト100ページの引き込み方に作者の底力を見た気がします。
Web上で書評を見ると酷評する人と絶賛する人と二手に分かれていいますが、酷評している人は作者の意図をきちんと読み取れなかった人でしょう。
それほど、これは業と難解に書かれています。
読者のレベルを求める嫌な作家ですね。これくらい分からないお前がアホだと言われたような気がします。
以前から、「奇書」として名高いこの作品を読みたかったのですが、噂に違わない「奇書」っぷりに感激!
めちゃくちゃ僕には嵌りました。
もっとも、嵌る人は少ないかもしれない、問題作でもあります。「生ける屍の死」とかが好きな人には合うかもしれませんねー。
昨今の作家さんは本当に苦労しながら作品を生み出しているなぁと改めて感じることの出来た作品でした。
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購入金額
980円
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購入日
2009年04月03日
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購入場所
紀伊国屋書店
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