そしてこのDL-103Rは、DL-103をベースにコイルを6N銅に変更して、細部を改良したものといわれている製品です。随分最近のモデルというイメージがありますが、1994年発売ですから既に20年近くも販売されているわけで、実はこちらも十分ロングセラーモデルということになります。
今まで20年以上色々なカートリッジを使ってきましたが、実はDL-103系の製品を使ったことが一度も無かったのです。定番製品であるだけに安売りに出てくることがまず無かったというのが大きな理由なのですが、オーディオの世界における「定番」を個人的にあまり信頼していないということも理由の一つとなっています。実際に、スピーカーの定番であるYAMAHA NS-10Mは今まで使った中では最も満足度の低いスピーカーでしたし。
しかし、10月からDENONブランドのカートリッジが全品大幅な値上げとなるというニュースを聞き、食わず嫌いを続けているうちに使わずじまいになってしまうのも勿体ないと思い、ここで一度使ってみようと思い購入しました。
まだ使えるヘッドシェルの在庫が残っているか確認出来ていませんので、プレイヤーに取り付ける段階には至っていませんが、近いうちに試聴する機会を作りたいと思っています。私の印象を覆すような好結果であれば追記しますが、そうでなければ敢えて触れないことにするつもりです。
<追記>
上で「印象を覆すような好結果であれば追記」と書きましたが、そこまでとはいわないまでもコストパフォーマンスで納得出来るレベルの満足感はあったということで追記します。
プレイヤーをKENWOOD KP-9010、ヘッドシェルをaudio-technica AT-MS11、リード線をaudio-technica AT6101、アンプをSANSUI AU-α707DRという環境で、audio-technica AT33R(私が常用しているカートリッジ)と比較してみました。
まず、針先形状の差は大きいというべきか、ロック系のレコードでヴォーカルのサ行を比較すると、さすがにAT33Rが優位に立ちます。DL-103Rではサ行が濁ってしまう箇所が多くあり、少し気になることがありました。
また、レンジも広さもAT33Rの方が上でしょう。DL-103Rは可聴範囲の少し内側にピークを作ってわかりやすくしているような印象を受けます。ただ、その中でのエネルギー感やベースの質感はなかなか捨てがたいものがあり、これはこれで悪いものではありません。あまり強調感を感じさせず、一見すると地味にすら感じられるAT33Rと比べると、DL-103Rの音は総じてわかりやすいものです。少し空間に華やかさを感じさせ、大抵のソースを不快感無く鳴らせるというタイプでしょう。
さすがに価格に大きな差があるAT33Rと肩を並べるとは思えませんが、通常2万円台で購入出来るMCカートリッジでこの水準であれば十分な音質でしょう。ただ、値上げされて3万円台半ば程度で売られるようなったときに、コストパフォーマンス面での判断は少し難しくなるかもしれません。
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購入金額
22,000円
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購入日
2013年09月05日
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購入場所
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