だから、成長なんか不要だった。
それが、S&Mを読んだ時の僕の感想です。
ですが、この四季シリーズを読んでそうじゃないという事に気がつきました。
彼女は天才であったものの、人間として成長していなかった。
純粋すぎたのです。
29歳の時に、彼女は萌絵と犀川先生に会います。
その時点での彼女は全然成長していなかった。
彼女自身の口からその言葉を聞いた時、ちょっとだけ感動しました。
「頭が良い人ほど成長が遅い」
この台詞は言い得て妙だと実感しました。
多分、頭が良い人は一つの事に没頭しすぎて、それ以外のことがおろそかになる。
けれども、その内それ以外の事もやらなくてはならなくなり、そうして段々と世間が見えてくる。
そして、気がついたときには「大人」になっている。
その時はもう「頭が良い人」ではなくなっている。
成長と退化は実は表裏一体で、成長しながら退化する、それが人間なのだと改めて感じた次第です。
僕も本当に幼い頃の自分に比べたら知識を吸収する速度が遅くなりましたし、思い出すのもそ遅くなりました。計算力もかなり落ちています。
でも、確実に成長している。それは、目に見えない形で。
退化する事を恐れなくなる。
これが今の僕にとっての「成長」です。
それだけ、不純になったんだなぁ。
或いは、心のキャパシティが広がったのか……。
四季は、まだ成長しています。
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購入金額
620円
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購入日
2007年頃
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購入場所
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