レビューメディア「ジグソー」

旧VM700シリーズでは最も好バランス

普段オーディオテクニカ製のカートリッジはあまり中古で買わないのですが、値段に釣られてつい買ってしまいました。

 

HARD OFFの通販を見ていると、VMN50SHという型番で売られている品がありました。確かに針カバーには「VMN50SH」と印刷されています。しかしVMN50SHは交換針の型番であり、写真を見る限り針だけではなくカートリッジ本体もありますし、ヘッドシェルも単売品のAT-LH11Hに組み付けられています。

 

そして価格は16,500円で売られているのです。昨年オーディオテクニカのVMカートリッジ製品群はVM700/600/500シリーズからAT-VM700x/600x/500x系へとフルモデルチェンジされていますが、それまでは現役の主力製品だった、VM750SHである可能性が高いのです。

 

VM750SHは生産中57,200円で販売されていた製品ですし、組み付けられているヘッドシェルAT-LH11Hは12,100円で販売されている現行製品です。それが16,500円であればかなりお手頃ということで早速購入してました。

 

 

 

 

 

 

 

VM750SHの添付品はなく、ヘッドシェルAT-LH11Hの外箱に入った状態で届きました。

 

 

 

 

 

 

箱を開けると、AT-LH11Hと組み付けられたカートリッジが姿を現します。

 

 

 

 

 

 

 

私が評するのも何ですが、結構綺麗に取り付けられています。前オーナーはそこそこアナログ歴が豊富な方だったのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

ボディー形状から判断する限り、VM750SHを含むVM700シリーズの本体であることは間違いないように思えます。

 

 

 

 

 

 

 

一般的にカートリッジの型番は、ヘッドシェルと接している背中の部分に記載されています。確認のために一度外してみましょう。

 

 

 

 

 

 

型番が記載された銘板に「audio-technica VM750SH MADE IN JAPAN」の文字が刻印されています。わかってはいましたが、やはりVM750SHそのものですね。

 

型番が確認できたので元通り組み付けた上で、オーバーハング長を調整します。届いた時点ではコネクター根元から約51mmでしたが、SL-1200Gに合わせるため52mmに調整します。AT-LHシリーズのヘッドシェルはコネクター部が前後に稼働しますので、調整は割合簡単にできます。

更新: 2026/03/26
総評

シバタ針の輪郭の濃さが良い方向に作用

実はこのVM700シリーズにまつわる思い出があります。

 

このシリーズが発表された直後のOTOTENで、オーディオテクニカのブースではVM700/500シリーズのデモが開催されていました。私は少し遅れて入ったので席がなく、仕方なく後方の立ち見エリアの後ろの方で聴いていました。

 

この時のデモを担当されていたのは、今考えるとカートリッジ開発陣の現リーダーである小泉氏だったと思うのですが、「VM700/500シリーズは針先形状の違いだけでこれだけ音が違う」というアピールをされていて、確かに音を聴いていても同じボディーを使っているとは思えないほどに傾向が違いました。

 

一通りのデモが終わりお開きになった後、私としてはちょっと引っかかっていた部分があったので小泉氏に質問をしたのです。それは「これらは本当に針先形状だけの違いなのか?ダンパー等セッティング的な要素も変えてあるのでは?」というものです。というのも、私自身針先形状による音色の違いは何度となく経験していましたが、それだけでは説明が付かない程度に音の傾向が違っていたからです。

 

すると「失礼ですが、先ほどかなり後ろの方で聴かれていましたよね。そんなにはっきりわかるほど極端な違いが感じられましたか?」と返されたので、その場で一通りの製品の感じられた特徴を簡単に説明してみたのです。その結果「確かに私も大体同じ感想ですけど、あんな位置でよくそこまで聞き取れましたね」と言われ、そこでやはり形状以外にもチューニングは若干変えてあるという話を聞き出すことができた訳です。

 

その時以来何度かVM700/500シリーズを聴く機会がありましたが、私としてはシバタ針を採用したVM750SHが最も良いバランスであると思っていました。シリーズ最上位のVM760SLCは確かにシバタ針以上に繊細な表現をしますし、音場もより立体的に拡がるのですが、すこし重心が高く力感に欠ける印象がありました。後継モデルのAT-VM700x/600x/500x系がリリースされてはっきりわかったのですが、やはりVM700シリーズのボディーは少し力感が弱めでした。その点VM750SHのシバタ針は特に低域方向の力感が加わり、また音像の輪郭もはっきり濃く描写される傾向がありましたので、このボディーの弱点をうまくカバーできていたわけです。VM760SLCはむしろその弱点を強調してしまうきらいがありました。

 

 

 

 

 

 

写真は「Generarion Radio」のLPを聴いているところです。シェルリード線はAT-LH11Hの標準装着品のまま聴いていますが、冒頭の「Why Are You Calling Me Now?」のイントロでディーン・カストロノヴォのドラム連打があるわけですが、これがなかなか力強く決まっています。ハイハットの音色が若干詰まった印象を受けるのは過去の経験上わかっていて、この辺りは率直に言ってVM760SLCに分があります。

 

それでも低域のエネルギーが濃く、ロックをパワフルに鳴らしてくれるのはVM750SHの良さであり、この世代ではやはりこれがベストのバランスではないかと改めて思います。

 

なお、新世代のAT-VM700x/600x/500x系では最上位のAT-VM760xSLでも力感が大幅に向上していて、ひ弱さは感じられませんでした。またAT-VM700x系ではボロンカンチレバーをほぼ全面的に採用(最下位のAT-VM740xMLのみアルミ)したことで、よりオーディオ的な性能も向上しています。シバタ針がベストバランスというのはあくまで先代VM700シリーズの話であり、今回のAT-VM700xシリーズであれば純粋に個性の違いで選べる水準となっています。

 

  • 購入金額

    16,500円

  • 購入日

    2026年03月26日

  • 購入場所

    HARD OFF

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