$300クラスのケーブルとわかっていれば手加減は不要ということで、試聴の際には私のメインイヤフォンとなる64AUDIO U6t、DAPはCayin N6ii/R01を組み合わせました。

比較対象としては普段U6tと組み合わせているBrise Audio STR7-Ref. 4.4mm - CIEM 2pinを用意しています。STR7Ref.では価格が2倍以上となってしまいますので、Snow Special Editionが不利であることは間違いありませんが…。

取り敢えず「Hope For The Runaway / Kenny Loggins」「Waltz For Debby / Bill Evans Trio」の2曲を聴いてみました。これで大体の傾向は掴めます。

まず「Hope For The Runaway」の時点で基本性能がSTR7Ref.には及ばないということが理解できます。この楽曲は分解能の違いで印象が大きく変わるので試聴ソースとして最近よく使っているのですが、STR7Ref.では個々の音がある程度綺麗に分離して構築された音場の中を音が飛び交うイメージとなるのですが、Snow Special Editionでは低域方向の分離がもう一つでドラムの音が分解しきっていません。

聴感上のレンジの広さもSTR7Ref.の方に分があり、Snow Special Editionは最低域の存在感や高域の伸びがもう一つという所です。ただ、主にドラムの音に妙なピークが乗っていること、また頭打ち感が感じられることから、このケーブルはある程度長目のエージング時間が必要である可能性を感じます。恐らくエージングが済んだ後であればドラムの音が妙に詰まった様な感覚は少なくとも解消するでしょう。さすがに最低域はそこまで出るようにはならないでしょうけど…。

「Waltz For Debby」でもやはりエージングが済んでいないと感じられる傾向で、ピアノの音がちょっと硬質でベースにも弾力感が感じられません。この辺りは解れてくれば解消しそうなムードはありますので、しばらくの間付き合ってみて結論を出すしかないでしょう。

先ほど恐らく銀コート線と記述しましたが、銀独特の高域方向のしなやかさは感じられませんでした。以前ORBの試作品で聴かせていただいた海外産の銀はこれに近い傾向だったかなと思いますが、それ以上に低域のやや高めに辺りには銅っぽい逞しさがありますので、銀コート線ではないかと判断しました。まあ導体がかなり太いので、銀の性質によっては純銀線でもこのような音になるかも知れませんが…。

さすがに10万円クラスのSTR7Ref.を脅かすほどではありませんでしたが、1～2万円クラスのケーブルよりは明確に情報量などで上回っていますので、クラス相応の実力はきちんと備えていると判断して良いでしょう。ただ、何分日本未発売ですし、海外の通販等でも見かけない製品ですので、お薦めのしようはありません…。