宅配ピザを注文したことないのですが、「宅配ピザじゃない、専門店のピザが食べてぇなぁ」と急になって、冷凍ピザを注文。
宅配ピザを嫌っているとかではなくて、料理人では無いアルバイトが料理するようなファミリーレストラン系の店が少し苦手なのです。
通販サイトをいろいろ調べて、なんとなくフィーリングに合った「RUBBER stand」をチョイス。
千葉市に拠点を置く「RUBBER stand」は、香ばしい焼き加減のピザと、すっきりとした味わいのジュースを提供する小さなスタンド型の飲食店だそうです。親しみやすい雰囲気と丁寧な手作り感が魅力で、地元の人々や観光客のちょっとした楽しみに愛されているようです。
この店を運営しているのが、「合同会社prove LiFE(プルーブライフ)」。飲食事業だけでなく、キッチンカーを活用した多彩な取り組みも手がけており、その代表格が「RUBBER TRAMP」と呼ばれる移動販売のピザトラックです。街角やイベント会場など、さまざまな場所で本格ピザを楽しめるスタイルが好評を得ています。
prove LiFEは、キッチンカー業界を支援するオンラインプラットフォーム「KITCHENCAR’S JAPAN」の運営でも知られており、出店場所の確保からプロモーションまで、飲食業の新しい形を後押しする役割を果たしています。
さらに注目すべきは、社会貢献にも力を入れている点です。コロナ禍では、エッセンシャルワーカーや職を失ったキッチンカー事業者を支える「KITCHENCAR’S CONNECT」というユニークなフード支援プロジェクトを展開。支援者・提供者・受益者の三者にメリットがある仕組みで、大きな反響を呼んでいたようです。
海外展開も将来的には視野に入れており、多言語対応の人材採用など、グローバルな展開への準備も着々と進めているようです。
グルメとしての視点から言えば、RUBBER stand のピザは、シンプルながらも素材の旨みが際立ち、無駄のないおいしさ。カジュアルな外観の奥に、地域と人を結ぶ強い理念が感じられる、注目すべき飲食ブランドといえるでしょう。
お買い得な「お試し限定価格」のセットがあったため、8種類の中から3つのMサイズのピザを選ぶことのできる、このセットを注文してみました。
かなり悩みましたが、注文したのは、以下の3枚。
- アメリカーナ
- ペパロニアン
- ペペロンチーノ
ピザ窯で既に焼いてあるので、オーブンの他フライパンでも リベイクすることができて便利です。
まず、1枚目。異文化融合の記憶の再生、定番のアメリカーナです。
「アメリカーナ」とは、ニューヨーク市で、ナポリ出身のイタリア人移民により作られ始めたピザを期限として、それがイタリアに逆輸入された“アメリカ風”のピザスタイルを指す言葉です。
特にナポリ周辺のピッツェリアで見かけることが多く、サラミ(ペパロニ)やウインナー、時にはフレンチフライをトッピングする大胆なスタイルが特徴です。日本によくある宅配ピザチェーン店も、アメリカ風といえると思います。
このスタイルのルーツは、第二次世界大戦後のイタリアとアメリカの文化交流に遡ります。アメリカ兵が持ち込んだジャンクフード文化が、地元のピザ文化と融合し、“アメリカ的なもの=アメリカーナ”として再解釈されました。イタリア本国では異端ともされるその組み合わせが、時代を経て一つの“型破りの様式美”として確立したのです。
この「アメリカーナ」は、そんな歴史的コンテキストをモダンに再現しているようにも思います。冷凍食品とは思えないほどのクラフト感と、クラシカルなアメリカンテイストの共存が、味覚を通じて物語を語ってくれるようです。
ふわりと立ち昇る香ばしいチーズとトマトソースの芳香。冷凍とは思えぬこの香り立ちに、焼いてる時から期待感が自然と高まります。焼成済みの状態からオーブントースターで数分温めるだけという簡便さながら、仕上がりは本格派。
ひと口目、まず舌を包み込むのは、濃厚でクリーミーなモッツァレラチーズの存在感。そしてその下から現れるのが、じっくり煮詰められたトマトソースの奥深い甘みと酸味。いわゆる“アメリカーナ”スタイルにふさわしく、たっぷりと乗ったサラミが、ジャンクでいて洗練された塩味のアクセントを加えています。
生地は外は香ばしくカリッと、中はもっちり。これが「冷凍ピザ」とは俄かに信じがたい。素材の良さと焼成技術の高さを感じさせるクオリティです。表面にはオレガノらしきハーブが微かに香り、脂の重さを巧みに中和しています。
2枚目、ペパロニアン。
日本では「ペパロニ=サラミ」と理解されがちですが、ペパロニ(Pepperoni)は、厳密にはアメリカ生まれのスパイシー・サラミ。イタリアの「サラメ・ピッカンテ(辛口サラミ)」とは似て非なる存在です。ペパロニには辛めの香辛料が入り、サラミにはそれらが入りません。
このペパロニは、20世紀初頭、ニューヨークのイタリア系移民によって作られたと言われています。彼らがイタリアのサラミ文化をアメリカの素材や嗜好に合わせてアレンジし、「よりスパイシーで、よりマイルドで、より大量生産に向く」形に進化させたのが始まりです。
以降、ペパロニはアメリカのピザ文化における「国民的トッピング」となり、特に1950〜60年代の冷凍ピザブームとともに、その名を不動のものとしました。今日では、「ペパロニピザ=ザ・アメリカンピザ」という象徴的な存在ともいえます。
この「ペパロニアン」は、そのルーツをリスペクトしつつ、現代の舌に合う洗練された味わいへと昇華しています。単なるノスタルジーではなく、「今だからこそ食べたいクラシック」。そんな印象を受けました。
燻製肉とチーズが奏でるスモーキーな香りが鼻腔をくすぐります。オーブンで加熱すること数分、チーズの表面にうっすらと焼き目がつき、端の生地はキツネ色に。見るからに食べごたえがありそうなビジュアルに心が躍ります。
ひと口かじれば、広がるペパロニの風味。肉の旨み、塩気、脂のコク。それを支えるのは、まろやかでミルキーなチーズと、トマトソースの軽快な酸味。チーズとソースのバランスが絶妙で、ペパロニの脂がチーズと混ざり合い、濃厚なのに重くない口当たりに仕上がっています。
ひたすらペパロニを味わう、贅沢に1点集中1点特化がたまらないです。
ペパロニのエッジがカリカリに焼き上がっている点も見逃せません。この「カリッ」「ジュワッ」のコントラストが、食感と風味に多層的な深みをもたらしています。
生地はアメリカンスタイルよりもやや薄めで、クリスピー寄りの軽やかな仕上がり。最後の一口まで飽きずに楽しめる、完成度の高い一枚です。
チーズでもトマトでもなく、“肉”が主役。それがペパロニアンの美学です。塩味、スモーキーさ、スパイスの余韻。それらが互いにぶつからず、調和しているのは、RUBBER stand の味づくりへの誠実なアプローチがあってこそ。
ビールのお供にはもちろん、ワインと合わせても楽しめる万能性。冷凍とは思えぬ完成度と、食卓に運ばれた瞬間のワクワク感。「肉系ピザの王道」を堪能したい方には、自信をもっておすすめできる一枚です。
最後の3枚目、ペペロンチーノ。ガーリック好きなこともあったのですが、読んだレビューにこの「ペペロンチーノ」を絶賛するものが多く、気になって注文してみました。
イタリア語で「ペペロンチーノ(peperoncino)」とは、直訳すれば「唐辛子」。
イタリアでは乾燥唐辛子が古くから香辛料として親しまれ、特に南部地方(カラブリア州など)で多用されてきました。
一方で、我々がよく知る「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」は、第二次世界大戦後の物資が乏しい時代に生まれた“節約料理”として知られています。最低限の材料で最大限の味を引き出すという、イタリア人の知恵と美学の結晶とも言える一品です。
それをピザへと転化するアイデアは、一見大胆ながらも本質を突いています。「少ない材料で、驚くほど美味しい」というペペロンチーノの哲学を、RUBBER stand はピザというキャンバスの上で見事に再構築しているのです。
「ペペロンチーノ」と聞いてまず想起されるのは、オイル、ニンニク、唐辛子という極めてシンプルなイタリアンパスタの定番。その名を冠するピザということで、「果たしてどんな構成でくるのか?」という期待と一抹の警戒が胸をよぎります。が、その一口で疑念はすぐに歓喜へと変わりました。
まず、香りの演出が見事。オーブンで温めた直後、ニンニクの香ばしさと唐辛子の刺激がふわりと立ち昇り、嗅覚に小さな革命をもたらします。
生地の上には、薄くスライスされたガーリック、刻み唐辛子、オリーブオイルをたっぷり含んだチーズが黄金色に焼き上げられ、美しい艶と香ばしい焼き目が食欲をそそります。
味わいは、一見シンプルながら、構成は非常に複雑。オイルとチーズのコク、ニンニクの旨み、そして唐辛子のキリッとした辛味が、舌の上で順を追って展開されていく。そのバランス感覚は、まるでクラシック音楽のようです。
特筆すべきは、辛味の「質」。ただ舌を刺すような刺激ではなく、じんわりと心地よく広がる余韻を残します。辛いのに止まらない、という中毒性がありながら、素材の持ち味が殺されていない。この火加減、油加減は職人技の域です。
生地はやや薄めのクリスピータイプで、ピザというよりも“芳ばしいガーリック・ブレッド”の延長線上にあるような食感。にもかかわらず、チーズとオイルの存在感によって、ピザとしての「主役感」もきちんと保たれています。
ペペロンチーノという、ある意味“地味”なテーマを選びながら、ここまで奥行きと完成度を追求できるのか。驚きと感動を隠せません。
これは万人受けする味というより、日々の食に美学を求める人のためのピザ。ピザであると同時に、一皿の完成された料理。“イタリア的ミニマリズム”が冷凍ピザの域を超えて表現された、稀有な存在だと思います。
市販の「工場冷凍ピザ」と、「焼成冷凍ピザ」の違い
ピザ釜で焼いたピザを冷凍したもの ── いわゆる「焼成冷凍ピザ」と、一般的な市販の冷凍ピザでは、仕上がりの風味・食感・製造工程にいくつか明確な違いがあります。
1. 焼き方の違い
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焼成冷凍ピザ
高温(400~500℃前後)の石窯や薪窯で短時間(1〜2分)で一気に焼き上げるため、生地の外はカリッと香ばしく、中はもっちり。食材の風味が閉じ込められ、冷凍しても香ばしさと香りが段違いです。 -
工場製冷凍ピザ
トンネルオーブンなどで均一加熱。高温だが窯に比べて香ばしさは控えめで、食感もやや平坦。表面はパリッとしていても、中まで立体的な焼き上がりにはなりにくい。
2. 生地のクオリティと個性
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焼成冷凍ピザ
職人が仕込んだ生地は、発酵時間や湿度、粉の配合にこだわりあり。手伸ばしなので厚みや空気感に「個性」があり、再加熱後も手作り感が残ります。 -
工場製冷凍ピザ
機械で成形されているため均一で安定していますが、逆に言うと「画一的」。再加熱後の食感にダイナミズムが少なく、ややパンっぽい仕上がりも。
3. トッピングの鮮度と仕込み
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焼成冷凍ピザ
仕込み段階でフレッシュな具材を使い、焼成後すぐ冷凍。チーズの焦げ具合、トマトの香りなど、焼きたて感が冷凍でも保たれやすいです。 -
工場製冷凍ピザ
長期保存が前提なので、トッピングは水分が少なく、香りや食感が抑えられていることが多い。具材の密度も価格とのバランスで調整されています。
4. 冷凍技術
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焼成冷凍ピザ
急速冷凍(ブラストチラーなど)を使って、焼きたての香りや食感をしっかり封じ込めることが多いです。 -
工場製冷凍ピザ
工場での大量冷凍なので安定性はある一方、味のパンチやライブ感はやや落ち着いた印象。
RUBBER standのように店で焼いてから急速冷凍されたピザは、「窯で焼いた瞬間」を封じ込めたレストラン品質の味わいが魅力です。一方で、市販の冷凍ピザは「安定性」と「手軽さ」に重きを置いた家庭向けの設計。
ちょっと贅沢をしたい日、ワインを片手に楽しみたいときは、前者が断然おすすめです。まるで冷凍庫から“イタリアの香り”を取り出すような体験ですよ。
「宅配ピザ」と通販での「焼成冷凍ピザ」の違い
宅配ピザの方が焼きたてじゃない? と言われがちですが、まだまだ考えが甘いですね。
届く頃にはどうしても蒸気や時間による劣化(湿気・温度低下)が発生し、チーズの伸びや生地の食感が損なわれやすいのが宅配ピザ。
製造時に一度プロの手で焼き上げたものを冷凍し、ユーザーが自宅で再加熱して仕上げるスタイルなのが焼成冷凍ピザです。食べる直前に自分が目の前で焼くのだから、焼きたてになるのは焼成冷凍ピザになるに決まっています。
冷凍技術+焼成技術が高ければ、「焼きたてクオリティ」に限りなく近い味が再現できます。
また、オーブンやトースターの性能、加熱時間の調整により、仕上がりを自分好みにできる自由度が魅力ですね。
逆に言えば、手間をかけずに “即、食べられる” という利便性が宅配ピザの最大の強みです。
赤く燃える
料理そのものを“プロダクト”として捉えるアプローチから、3枚のピザを語ってみます。
アメリカーナはアメリカ的快楽主義を詰め込んだ、ポップアートのような一枚。溢れる肉感とトマトの大胆な配置と、濃厚な色彩設計。温めるだけで“賑やかさ”が完成する、視覚から満足感を得られるデザイン。
ペパロニアンはミニマルな構成で引き立つ主張。並んだペパロニのリズムが視覚的快感を生み、焼成で浮かぶ肉脂の光沢が食欲をそそります。シンプルで情報量は少ないのに、記憶に残る強さ。
ペペロンチーノはビジュアルよりも香りと質感にフォーカスした“静のデザイン。
ガーリックチップの焦げ目、唐辛子の赤のアクセント。チーズとオイルの光沢がキャンバスになり、余白の美が際立つ現代的ミニマリズム。
冷凍で1か月
注文後の料理日より1か月後が賞味期限のため、そこそこ長持ちします。
どうしても宅配ピザと比較することは避けられないと思います。
お試しセットに関しては、1枚が1600円。お得ではあります。通常価格でも宅配と同じくらいにはなると思うけど、1枚無料みたいなキャンペーンがあるとコスパでは負けるかも。
食についてどのように考えるかにもよると思うのですが、僕は再度注文してみたいと思いました。でも他のお店のピザも試してみたいところですが……。
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購入金額
4,800円
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購入日
2025年03月02日
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購入場所
楽天
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