レビューメディア「ジグソー」

前シリーズの低調からは脱した…かな?

日本ファルコムの看板RPG「英雄伝説」のゼムリア大陸編である、「軌跡」シリーズの一つとなる作品です。

 

PC-9800シリーズ向けだった「英雄伝説III 白き魔女」以降一通りプレイしてきたシリーズでしたが、前のシリーズとなる「閃の軌跡」で、特に最終作「閃の軌跡IV」の満足度が低く、一応その後日談を中心とした「創の軌跡」まではプレイしたものの、ここまでで終わりにしようかというのが本音でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし「創の軌跡」には新シリーズ「黎の軌跡」のプロローグ的な要素が盛り込まれていて、何となく区切りが付いていなかったのも事実でした。そこで「黎の軌跡」が値引き販売されるようになったら買おうと決めていたのですが、PS4のBDドライブの調子が今一つですし、英雄伝説シリーズはPCでプレイするものというのが私の中にすり込まれていたため、自動的にSteamで買うことになります。PS4版は2021年に発売されていましたが、Steamで販売開始されたのは2023年に入ってから、更に値引き販売されるようになったのは今秋からということで、PS4/5では既に続編の「黎の軌跡II」どころか、その続編「界の軌跡」まで発売されているというこのタイミングになって、ようやく購入しました。要は惰性で買っているもののモチベーションは上がっていないということです。

 

しかし「閃の軌跡」シリーズまでは日本ファルコム初の3Dゲームとなった「ぐるみん」の描画エンジンを使い続けていた日本ファルコムが、「黎の軌跡」では久々に新規開発の描画エンジンを採用した(厳密には「創の軌跡」のエンディングにこの新規エンジンが初めて使われていました)というだけあり、「閃の軌跡」シリーズで落ちていた完成度を再び上げてきたと感じられたため、今回取り上げることにしました。

 

 

 

 

▲「ぐるみん」のゲーム画面。このエンジンを「創の軌跡」まで使い続けた
▲「ぐるみん」のゲーム画面。このエンジンを「創の軌跡」まで使い続けた

 

 

 

 

 

▲Steamのストアページ
▲Steamのストアページ

 

 

 

 

 

▲タイトル画面。クリア済のため初期状態とは少し異なります
▲タイトル画面。クリア済のため初期状態とは少し異なります

更新: 2024/11/29
総評

ゲームマニアなら喜ぶ方向性では

「閃の軌跡」シリーズはスタート時点で主要キャラクターが学生ということで、どうしても10代向けのライトノベルというテイストがありました。作中では戦争が起きたりもしているのですが、どこかシリアスな描写を控えている様な雰囲気が感じられるのです。

 

しかし「黎の軌跡」は主人公ヴァン・アークライドは既に成人していて、しかも半分は裏稼業というべき立場の人物であることから、「閃の軌跡」よりはダーク寄りの描写が目立ちます。ゲーム開始早々に会話した情報屋が直後に惨殺されるというシーンが入ってきて、「閃の軌跡」とは随分雰囲気が変わったことを実感させられます。

 

とはいえ、主人公も24歳の青年であり、年相応にカーマニアだったり、スイーツに異常なまでのこだわりを持っていたり、風呂好きで映画通でもあったりといつもの英雄伝説シリーズらしい人間らしさも描かれています。

 

 

 

 

▲ヴァンの愛車ピックアップ。後半はリアが改造されSUVになる
▲ヴァンの愛車ピックアップ。後半はリアが改造されSUVになる

 

 

 

 

▲車へのこだわりを熱く語るが周囲には理解されない
▲車へのこだわりを熱く語るが周囲には理解されない

 

 

 

 

▲入浴を「神聖な儀式」と称し邪魔されると本気で怒る
▲入浴を「神聖な儀式」と称し邪魔されると本気で怒る

 

 

 

 

▲スイーツを前にすると芸能人の食レポ並に語る
▲スイーツを前にすると芸能人の食レポ並に語る

 

 

 

▲夜中に黙って外出して女性陣に睨まれているシーン
▲夜中に黙って外出して女性陣に睨まれているシーン

 

 

 

 

今までの「英雄伝説」シリーズを知っていると、少し前に会話した登場人物が次々に死んでいくというのはちょっと驚きがあります。ただ主人公はそれくらいがむしろ当然な世界に身を置いていて、「閃の軌跡」シリーズよりは自然な描かれ方と思えました。

 

その一方で「空の軌跡」以降のシリーズは世界観を共有しているため、以前の作品の主要人物が結構登場してきます。

 

 

 

 

▲「空の軌跡」シリーズに登場したレン
▲「空の軌跡」シリーズから度々登場するレン

 

 

 

 

▲「空の軌跡」で活躍したジン
▲「空の軌跡」で活躍したジン

 

 

 

 

▲「閃の軌跡」シリーズの主要メンバー、フィー
▲「閃の軌跡」シリーズの主要メンバー、フィー

 

 

 

 

 

 

 

▲「空の軌跡」では戦闘狂の敵役ヴァルター。今作では罰ゲームも受け入れる愉快なオヤジに
▲「空の軌跡」では戦闘狂の敵役ヴァルター。今作では罰ゲームも受け入れる愉快なオヤジに

 

 

 

 

ストーリーという点では「閃の軌跡」の薄さがかなり改善されたと思いますし、テキストの単調さも随分改善されました。

 

ただゲームシステムという部分では、恐らく歯ごたえあるゲームに挑んでいくタイプのユーザーには改善といえるのだと思いますが、ストーリーを追いたいプレイヤーにとってはバトルの方にかなり意識を持って行かれる感じのまどろっこしさがあります。

 

時間の余裕もあまりない中でプレイしていると、バトル部分で考慮しなければいけない要素が多すぎて、ある程度慣れるまでストーリーが頭に入ってこない感覚がありました。メンバーは当初依頼人として登場して、流れでアルバイト助手となるアニエスとの2人でスタートして、最終的に8人まで増えるのですが、メンバーが5人程度になった辺りでようやくストーリーの方に意識が行くようになった気がします。

 

ネタバレしないようにあまり詳細については触れませんが、中盤辺りからはキャラクターのタイプも幅広くなり、テンポ良く進んでいくようになったと思います。2周目のプレイに入れば、純粋にストーリーだけを追えるようになると思います。

 

主人公以外のキャラクターを掘り下げるサイドストーリーとして「コネクトイベント」というシステムが採用されているのですが、これが1回のプレイでは必ず見られないものが出てくるというのも、恐らくメーカー側はやりこみを期待しているのだと思いますが、プレイヤー側から見れば意地の悪い仕様と感じられてしまいます。ただ「コネクトイベント」そのものは「閃の軌跡」シリーズの「絆イベント」よりはストーリーがしっかりと組立っていて、決して悪くはないシステムだと思います。

 

本作はRPGは歯ごたえある攻略を楽しむという、本気でプレイする人には満足度が高い出来だと思います。反面ライトユーザーにはちょっと負担が大きいかなとも感じられます。この辺りはターゲットとしているユーザー層の問題であり、良し悪しではないのですが、私としてはちょっと重いかなと感じられました。

 

それでもストーリーには十分魅力はありましたので、「黎の軌跡II」はいつかプレイすると思います。ただ「黎の軌跡II」はゲームシステムがある意味斬新すぎて結構評価が割れたんですよね。まだSteam版は発売されていませんので、恐らく「黎の軌跡II」をプレイできるのは当分先(発売は来年2月予定だが値下げは当分ないだろうから)となるでしょう。

  • 購入金額

    4,880円

  • 購入日

    2024年11月02日

  • 購入場所

    Steam

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