レビューメディア「ジグソー」

「お化粧」をしすぎないソリッドな楽曲が、4人のプレイと歌の「生」を届ける

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。バンド。ソロでやって好きなことをするのとも違い、ユニットとしてコアメンバーとサポートを分ける形態とも違って、(原則)構成メンバーが対等に互いに影響を与えながら進んで行く形態です。アマチュア時代から一緒にやってきたメンツであれば、互いの引き出しがわかっているので、すぐにある程度の完成度まで曲を仕上げられますが、マンネリ化を防ぐのがなかなか難しい。一方、メンバーの経歴が多彩であれば、色々な引き出しが出てきますが、「まとまり」という観点から言えば、難しくなります。そういったバランスの上で成立するバンドという形態。ソロでも活動が出来るメンツが集まったバンドが、今後どう進んで行くのかワクワクさせる始動作品をご紹介します。

 

Aooo。男女4人の混成によるバンド。解散したオルタナ系のガールズロックバンド、赤い公園の元ヴォーカリスト石野理子、ボカロPのギタリストのすりぃ、やはりボカロPでもあり、女性ヴォーカリストとの音楽ユニットNOMELON NOLEMONでも活動するドラマーのツミキ、そしてYOASOBIの不動のサポートベーシストで、ももクロのバックバンドなどでも活躍するやまもとひかるがベースという構成。

 

元々ひかるちゃんがツミキのファンであり、ライヴなどに通ううちに、一緒にやろうという話になり、ツミキが面識があったすりぃに声をかけ、最終的に3人の楽器プレイヤーのひとりが歌うというより正ヴォーカリストを立てようと言うことになって、レコード会社の紹介で石野が加わったらしい(ちなみに石野以外の3人も歌えるのだが、3人の立ち位置・関係性を平等にするため、他のヴォーカリストを探したらしい)。

 

2023年夏から活動し、何回かのリアルライヴ、スタジオ配信ライヴをこなして、満を持して2024年10月にリリースされたのが、自らのバンド名を冠した本作“Aooo”。ちなみにバンド名は「あうー」と読むのだが、4人の血液型に由来するらしい-石野だけA型で他の3人はO型。

 

1年以上の雌伏期間?を経て、創り上げられた作品、どのような曲が収められているのか。

 

イントロの歪んだベース⇒エフェクトの深いギターカッティング⇒ナローレンジに加工されたドラムフィルという、3つの楽器のショートソロのまわしから入るボカロチックな楽曲が「サラダボウル」。特徴的な音とフレーズのギターのリフの導入とリズムだけのAメロとキャッチーなサビの対比が面白い。この音の加工のモザイクのような構成はボカロっぽさが強く、さすがボカロPとして「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」や「テレキャスタービーボーイ」のヒット曲を持つすりぃの曲。

 

アパシー」は、このアルバム唯一の4人の共作の曲(詞は石野)。バンドとしての初の曲だったらしく、ギターバンドっぽいイントロ⇒リズム中心で音程楽器が入る部分もワンコードっぽい進行のAメロ、一転して切ない感じのメロディアスなサビと色々な要素が詰め込まれている。メンバーそれぞれに「魅せ場」がある曲。

 

このアルバムでは単独で最多の4曲の作曲を手がけるひかるちゃんの曲の中から「青い煙」(ちなみにツミキすりぃの単独作曲がそれぞれ3曲ずつ、Aoo名義が1曲、石野ツミキ合作が1曲。一方作詞の方はツミキすりぃは自身の曲では作詞も手がけている一方、合作曲とひかるちゃんの曲はすべて石野が詞を手がける)。導入のワンフレーズがヴォーカル+ドラムスだけというソリッドな楽曲で、途中からひかるちゃんのスラップ織り交ぜたベースとすりぃのかきならし系のギターのカッティングが入るラウドチューン。ソリッドなAメロと、キャッチーなサビの対比が印象的。

 

メンバー全員テクニックがあるので、ソリッドで「空間」がある楽曲が多くて、奏者がトリオである良さが出てる=個々のプレイがしっかり味わえる。

 

先日行われた歌舞伎町でのゲリラフリーライヴも盛り上がったみたいなので、今後も期待で!

右上は購入店特典のブロマイド
右上は購入店特典のブロマイド

 

【収録曲】

1. FLASH FORWARD
2. サラダボウル
3. イエロートイ
4. アパシー
5. 水中少女
6. 青い煙
7. MORE
8. Casablanca
9. ネオワビシイ
10. ネロリ
11. リピート
12. エイプリル

 

「“Aooo” Trailer Movie」

 

「青い煙(from Live at Studiooo #1)」

更新: 2024/10/21
必聴度

「4人で出せる音」を探っているのか、色々な傾向の曲があって楽しい

ボカロ系もラップファンク調のものあれば、ラウドロック系もポップス系もあって、4人出来る可能性を試している感じ。これが今後収束していくのか、拡散したまま進化していくのか、とても楽しみ。

  • 購入金額

    3,300円

  • 購入日

    2024年10月14日

  • 購入場所

    HMV

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