レビューメディア「ジグソー」

米国盤はバリエーションが豊富で楽しい

恐らく多少でも洋楽の知識があれば知らないことはまず無いであろう、1983年の大ヒット作が英国のロックバンド、ポリスの実質的な最終作となるアルバム「Synchronicity」です。アメリカだけで800万枚以上、全世界では1,000万枚以上を売り上げたといわれています。

 

特に本作に収録された「Every Breath You Take」(邦題:見つめていたい)はロック史に刻まれる名曲といえます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ポリスは

 

・スティング(リードヴォーカル、ベース)

・アンディ・サマーズ(ギター)

・スチュワート・コープランド(ドラム)

 

の3人のバンドとして知られていますが、厳密には結成時はギタリストがアンディ・サマーズではなくヘンリー・パドゥバーニでした。一時期はこの4人編成でしたが、レコードデビュー前にヘンリー・パドゥバーニが脱退して3人のバンドとなります。

 

活動期間は5年少々で、スタジオアルバムも5枚残したのみですが、その短期間にヒット曲を多数生み出し、後にスティングがソロ歌手として大成功を収めたこともあり、伝説的なバンドとなっています。

 

本作「Synchronicity」はポリス最後のスタジオアルバムで、前述の「Every Breath You Take」の他、「King of Pain」「Synchronicity II」といったシングルヒットを収録していて、私も30年以上前に買った米国盤のLPをずっと聴いていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

収録曲は以下の通りです。

 

 

1. Synchronicity I
2. Walking in Your Footsteps
3. O My God
4. Mother
5. Miss Gradenko
6. Synchronicity II
7. Every Breath You Take
8. King of Pain
9. Wrapped Around Your Finger
10. Tea in the Sahara

 

 

 

ところが先日ナガオカとHMVの合同イベントでこの作品が紹介された際に、本作の米国盤の一部に伝説の名エンジニア、ボブ・ラドウィックがカッティングを担当したロットがあるという話が出たのです。HMVの在庫ではA面のみボブ・ラドウィックがカットしたLPがあり、それを聴くと確かに自分の米国盤とは随分迫力が違う気がしました。

 

イベントでの説明によるとボブ・ラドウィック盤が存在するのは米国盤で、A面だけ、B面だけ、A/B面両方を担当した盤が混在しているといいます。その見分け方はレコード内周の無音部分に「RL」と手書き文字で刻まれているかで判断できます。

 

ちなみにボブ・ラドウィックが担当していない盤でも彼の弟子がカットしたものもあり、クオリティは十分に確保されているというのですが、やはりボブ・ラドウィック本人のカッティングと比べると主に低域方向の情報量に差が付くそうです。

 

ちなみに本作の米国盤LPはジャケットデザインも多岐にわたっていて、諸説あるものの93種類のデザインが確認されているといいます。ジャケットの3色の帯の順番が違っていたり写真が違っていたりということで、個人で全て揃えるのはほぼ不可能ではないかと思われます。

 

 

さて、自宅に戻って今まで聴いていた盤を確認してみましたが、私の所有分は発売からある程度経過してからプレスされたものらしく、ジャケットデザインが比較的後になって登場したものでボブ・ラドウィック盤では無いということが判りました。

 

そうなるとどの程度音が違うのか気になってしまいましたので、取り敢えず比較的手頃に入手できるA面のみボブ・ラドウィックがカットした米国盤を入手しました。今回はそれを取り上げたいと思います。

更新: 2024/09/25
総評

出来れば両面"RL”で聴きたいところ

今回入手したLPのジャケットはこちらです。

 

 

 

 

 

 

 

一方、30年以上前に購入していた米国盤はこちらです。

 

 

 

 

 

 

 

偶然にも3色の配列はどちらも同じでした。しかし背景の写真が全く違うことがおわかりいただけるでしょうか。以前から持っていた方は俗に「Nude Jacket」と表記されるもので、下段の写真で上下が逆さになっているカットの女性が服を着ていないのです。上の方のジャケットでは同じ女性が服を着て写っています。この「Nude Jacket」は初回盤にはなかったそうですので、これで後になってからのプレスであることが判るわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずはこちらがA面の写真です。スマホカメラではなかなか写りにくいのですが、内周の無音部分に「MASTERDISK」という刻印があり、その右横にラフな文字で「RL」と刻まれています。

 

 

 

 

 

 

 

一方こちらはB面ですが、こちらは内周部分に「MASTERDISK」の刻印はあるものの、「RL」の文字がありません。元々持っていた方のLPはA/B面共に「MASTERDISK」の刻印のみで「RL」はありませんでした。

 

 

聴き比べるためにA面の「Synchronicity II」、B面の「Every Breath You Take」を両方の盤から録音してみました。

 

 

すると「Synchronicity II」は低域方向が質・量共に以前から所有していたLPよりも大幅に充実していることがわかります。しかし「Every Breath You Take」は盤のコンディション以外の差は感じられませんでした。

 

「Synchronicity II」の音の差を聞いてしまうと、ある程度金額差があってもボブ・ラドウィック盤が欲しくなってきます。ただA/B面両方に「RL」の刻印がある盤は中古でもかなりのプレミア価格となってしまうのでなかなか難しいところです。新品当時は区別されずに販売されていたわけですし、米国盤以外にはそもそもジャケットのバリエーションもカッティングの品質差も無かったわけで釈然としないものはありますが…。

 

なお、イベント終了後にHMVの方と話をしていると「The Nightfly / Donald Fagen」は日本盤にもRL刻印が入っているものがあるという情報をいただきました。どうも初期の盤はボブ・ラドウィックがカットしたマスターを日本に直接送ってプレスしていたらしいのです。日本盤はノーマークでしたが、そのうち入手できれば面白そうです。

  • 購入金額

    1,200円

  • 購入日

    2024年09月14日

  • 購入場所

    ヤフオク

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