レビューメディア「ジグソー」

カバー作ではあるが、あくまで「ジャンク フジヤマ」作品

決してメジャーな存在ではないものの実力派というミュージシャンは多く存在していますが、私がそのような存在として真っ先に思い浮かべるシンガーといえば、このジャンク フジヤマです。

 

はっきり言えば普段しっかり追っているというわけでは無いのですが、たまに街中のラジオから歌が流れてきて「やっぱり上手いな」と存在を再認識するというシンガーです。

 

本作はCDとしては今年の3月にリリース済みで、ジャパニーズ・ポップス、ロックの楽曲を有名、無名問わずセレクトして取り上げたカバー曲集です。以前秋葉原で少し遅めの昼食を取っていた時に、たまたまラジオから聞こえてきたのが本作収録の「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」でした。昭和世代の人であれば杉山清貴&オメガトライブのヒット曲として記憶されているのではないでしょうか。

 

そのラジオでこの曲を収録したアルバム「憧憬都市」がアナログ盤でも発売されると紹介されていましたので、帰宅した後調べてみると8月3日のイベント「CITY POP on VINYL」の一環で発売されるということが判りました。元々かつてのシティ・ポップを受け継ぐ存在であるジャンク フジヤマの作品であればアナログで聴く方が合っているだろうと思っていましたので、早速購入予約しておいたものが発売後に届いたということで取り上げることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の作品のジャケットはオリジナル作でもこのようなトーンのイラストとなります。この辺りもシティ・ポップの雰囲気を意識しているということでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

内容物は歌詞カードとLP盤1枚となります。

 

 

 

 

 

 

 

更新: 2024/08/10
総評

過去の楽曲を彼自身の解釈で再構築

一般的にカバー作というのは、オリジナルを尊重してその世界観を保ったまま歌うというものと、楽曲こそオリジナルではないものの自分自身で解釈して全面的に再構築したものとがあります。

 

前者のようなカバー作は「COVERS / 雨宮天」が思い浮かびますし、後者の形は「Night And Day ~ Big Band / Chicago」などがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

それではこの「憧憬都市」はというと、間違いなく後者の形です。まず収録曲を見てみましょう。

 

 

Side A:

 

01.憧憬都市-Prologue-
02.WINDY SUMMER <杏里 1983年>
03.テレフォン・ナンバー <大橋純子 1981年>
04.ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER <杉山清貴&オメガトライブ 1985年>
05.流星都市 <Original Love 1995年>
06.夏の終りのハーモニー (duet with 神谷樹) <井上陽水 & 安全地帯 1986年>
07.真夜中のドア~stay with me <松原みき 1979年>

 

Side B:


08.真昼 <benzo 1998年>
09.黄昏のBAY CITY <八神純子 1983年>
10.雨のステイション <荒井由実 1975年>
11.夢の途中 <来生たかお 1981年>
12.憧憬都市-Epilogue-
13.真夜中のドア~stay with me (duet with biki) <松原みき 1979年>

 

 

勿論大ヒットしたような楽曲もありますが、そこそこ音楽に詳しい人でもオリジナルが判らないという楽曲もあるでしょう。単に一般受けを狙うのであれば誰もが知っているような名曲を並べるのが間違いないわけですが、彼はカバー作であってもあくまで自分自身の表現として取り上げた結果このようになったのでしょう。

 

 

本作の収録曲はYouTube上に公開されていますので、以下に貼っておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はっきり言ってしまえば「この曲はオリジナルの方が好みだな」というものは必ずあると思います。ただ、このアルバムは過去の楽曲の力を借りつつも、あくまで「ジャンク フジヤマのアルバム」なのです。自分が作った楽曲と同じように彼自身が楽曲を解釈した結果として本作が完成しているわけですから、そこは彼の作品として素直に受け止めるのが正しい態度でしょう。

 

ハイトーンで張った声では若い頃の山下達郎のようなニュアンスが表れますし、中域の声では平成辺りの井上陽水に通じるような声にも聞こえますし、まさにジャパニーズ・ポップスの後継者と呼ぶに相応しい歌唱ではないかと思います。

 

個人的には最初に聞いた「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」や、本作にリードトラックとなる「流星都市」「雨のステイション」などは自分の好みとしてしっくりきました。逆に「夏の終りのハーモニー」や「夢の途中」のようにオリジナルの印象が強く残る楽曲はオリジナルを超えてはいないと思っています。ただ、これは聞く人によって評価はまちまちでしょう。それで良いのです。

 

 

折角全曲が公開されていますので、まずは多くの方に聴いていただきたいところです。その上で「この曲は良かったな」「この曲は元の方が好きだな」という感想が交わされるようになることを願っています。

  • 購入金額

    4,400円

  • 購入日

    2024年08月04日

  • 購入場所

    HMV

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