レビューメディア「ジグソー」

お母さんリモコン現る

 

Nature Remo の新製品、Nature Remo Lapis を購入。

話題の「石」に似せた外観のスマートリモコンです。

 

まずは外観についてなのですが、見た目は割と普通に石そのものに見えます。

あえてこの形状の製品に挑戦したという企業側のアイデアは面白い。

 

表面のでこぼこや素材感、ざらざらした感じで機械的なものをかんじさせないところなど非常によくできています。どこから見ても普通に石に見えます。

よくよく見ると上下に分割線が見えるのですが、低いテーブルなどに設置すれば目立たなくはなります。持ち上げると異常に軽いので、すぐフェイクだとは分かります。

 

デザインコンセプトを体現したようなビジュアルかなとは思うのですが、部屋の中にいきなり「コードの付いた石」があるので、違和感はあると思います。大半のユーザの部屋は野原ではないはずなので、ユーザ側のインテリアコンセプトをおざなりにしたデザインにはなるかと。

 

強いて言ってしまえば、古いプロダクトアウトの精神。ひとりよがりのデザインですね。

 

盆栽とか鉢植えがデスク上にあれば、良い感じにはなるんでしょうか。もしくは石を収集してリビングに飾るような、可愛い小石好きな方とか。

自分的には外観はどうでもよいからそのぶん目立たないくらいに小さくしてくれる方が使いやすいと考えます。

 

 

 

パッケージはこんなかんじ。説明もなく、すごくエコ。

 

 

 

箱の中もシンプルで、石を紙が支えているだけのかんじ。

デザイナーインタビューも読んでみたのですが「砂浜から石を手に取り、家に置く」というエクスペリエンスをイメージしたパッケージデザインだそうです。砂浜で石を拾うということがイメージできないので、やってみたことないからわからんけど、そんなかんじなんですね。

 

 

 

 内容物はマニュアルだけです。これも再生紙で、徹底的なイメージ戦略を感じます。

今回、めちゃくちゃデザイナーの意見が通ったんだろうな。

 

同梱されているのはこの紙だけなので、USBケーブルは付属していません。

この専用ケーブルが無いというのはけっこう難題で、下の差し込み口に起因します。

 

 

 

裏面。石をくりぬいたような窪んだ奥に USB の差し込み口があります。周りのクリアランスが狭く小さいので、使用する USB ケーブルの形状によっては、とても差し込みにくく抜きにくくなっています。これから購入する人は、細く小さい物を選んだ方が良いです。

 

 

 

同社製品の価格帯的にはハイエンドである Nature Remo 3 とミドルクラスの Nature Remo mini 2 Premium の間の製品となります。

 

Remo 3 との差は 人感センサー、照度センサーの有無。

Remo mini 2 Premium との差は湿度センサーの有無、赤外線信号の飛距離となります。リモコン距離は Remo mini 2 Premium の方が2倍で、60畳に対応しています。企業フロアでも使用できますね。

 

必要なセンサー機能を考えてどのモデルを購入するか考えるとお得です。特に湿度センサーは加湿器がないような環境だと必要ないし気にしていないはずなので、考慮するポイントになると思います。

また、Lapis モデル以上は mornin’ plus、Qrio Lock にも対応しています。 

  

 

プッシュされている自動節電機能ですが、購入するまではワクワクするポイントではあったのですが、稼働させてみると、僕は生活しづらかったです。

 

自動節電機能というのは、おおまかにいうと設定した時間・温度に対してゆっくりとエアコンを起動させるというものです。エアコンが起動直後に電力を大量消費するためつけっぱなしにすることで電気代を節約することがよく知られていますが、そのノウハウで温度変化を急激にさせずに電力消費を抑えるというイメージです。

 

なので、暑いので「いま温度を下げたい!」という時に思うようにならないこともあり、自分好みに温度をすぐに調節したいというワガママな性格には合わないですね。

まずエアコンの快適さが失われました。部屋の中で快適に暮らす、猛暑の中で涼しさを感じたい、というスピードとレスポンスを求める生き急ぐような人には向いてないです。

 

これなんか既視感あるな、と思っていたのですが、節約好きのお母さんにずっとリモコンを握られて温度調整されている、好きな温度にさせてもらえない、そういう暮らしを想像すれば間違いないです!

そういえばよく分からん石をリビングに飾ってくる感じもお母さんといえばお母さんだな。

 

普段からエアコンを高めの温度設定にしており、少しくらい暑くても地球のために我慢しよう、という高い意識を持っている人には向いていると思います。

 

 なお、節約された金額はアプリで表示されるのですが、前日と当月しか表示されないので(月初め1日になると前月の結果がみえない)、正直いくらなのかよく分からんです。

 

と言いつつ、ウチは屋上の太陽光パネルによる売電をしている関係で毎日の消費電力が記録されているため比較できるのですが、目に見えてはまったく変わってないですね……。まぁアプリの表示でも1日数円の節約なので。猛暑が続けば先月今月でエアコンの使用頻度も変わってくるのでなかなか比較も難しいともいえます。

 

たぶん日常でエアコンつけっぱなしとか、狭いワンルームで温度変化の幅が少ない環境とか、そういう場合に効果が発揮されるのかなと思います。

 

 

更新: 2024/08/03
デザイン性と機能美

なんか地球のためになってる感じはする

デザインコンセプトの「自然と共に生き、暮らす」「ガジェット感をなくす」は現代の社会問題を風刺するような意識の高さで個人的にはとても面白いと思います。ただ部屋の中に石があってもメリットが無いのでプロダクトとしては絶対に売れないとは思うのですが。

石型ケースをオプションにするとか、スタートアップの方法がなかったんだろうか。せめてコードが消えれば違和感ないかもなので、デザインには技術の進歩が必要というところでしょうか。

 

機能面では「自動節電」が実装されており、自然との調和を考えたデザインコンセプトとして製品の魅力にもなっています。

ウチの場合は3フロアあるので各階層で複数台のエアコンが必要になるためだと思うのですが、1台くらいで省エネしても効果が実感できませんでした。

 

あと、温度を自動で調節してくれる時にエアコンが「ピッ」と鳴るのでそのたびにビクっとします。

誰が悪いのではないのですが、自分の意志じゃないところで勝手になるのでびっくりするんですよね。エアコンのリモコンが反応する音って消せるんだろうか。

 

自動節約機能は「必要じゃないけど、あれば使うかな」というレベルです。それを求める人には購入する理由にはなると思うのですが、スマートリモコン自体を所望する人には劇的な効果が無くむしろ快適さが失われているので使用しなくなるのかなというかんじ。

更新: 2024/08/03
メンテナンス性

ノーメンテナンス

石なので多少汚れていても、むしろそれっぽくなるので逆に汚していいくらい?

更新: 2024/08/03
コストパフォーマンス

投資回収することはできる

電気代の節約により、かけた金額の回収がいつか可能になる日もくることでしょう。

更新: 2025/06/14
AI便利度

不快にさせない、という AI の気遣いを感じる

Nature Remo Lapis の AI 周りの機能としては、下記になります。

  1. 設定した節電強度(1〜3段階)に応じて、1日最短2時間〜最大8時間、エアコンの設定温度を1〜2℃自動で調整

  2. ユーザーの生活パターン(使用時間、手動で温度変更したタイミング)を学習し、「無理なく節電する時間帯」を最適化

  3. 温度・湿度センサーで部屋のWBGT(暑さ指数)を簡易推計し、「警戒/厳重警戒/危険」の3段階でプッシュ通知

使用している間もあまり気にしたことなかったのですが、改めて機能を並べてみると、意外に賢い機能を搭載していますね。

特に熱中症アラートは、そんな機能があることを知りませんでした。内蔵センサーが室内の暑さ指数(WBGT)を推定し、危険度をプッシュ通知してくれる機能だそうです。これは高齢者やペットのいる家庭には心強い機能ですね。

 

 

この製品の最大の特徴は、AI がユーザーの生活パターンを学習し、自動でエアコンの温度調整を行う「オートエコ」機能です。

一見するとよくある「自動節電」なのですが、Lapis は毎日何時にエアコンを ON にして、どのタイミングで暑がって温度を下げるかまでを把握し、その情報をもとに、無理のない時間帯にだけ温度を1〜2℃上げてくれるという絶妙なアプローチをとります。

 

実際に使ってみると、「なんかエアコンが静かになったような?」と思った頃には、既に節電モードに入っていたりと、意識せずに節電してくれるのがポイント。
上の方でも書いているのですが、まるで陰で世話を焼いてくれる、“お母さん” のような存在です。

 

 

アプリにはちゃんと節電効果として、電気代がいくら節約したかの情報が記録されるので、成果が数字で見える実感があります。AIがちゃんと仕事をしているな、と分かるのは嬉しいですね。

では、どのくらい仕事をしてくれるのか、真夏である昨年の8月あたりのデータを確認してみると……

 

いや、もうちょい AI 仕事しろよ! 300円かよ!

一応、これには理由があって、Lapis を接続しているのは3階の仕事部屋のエアコン1つだけなので、節電効果があったとしても大きい数にならないかも。しかも日当たりの良い部屋であり、高気密住宅なので夏は窓ガラスから入る熱のせいで暑くなるとは言われているので、そのせいかもしれないですね。平均的には千円いくひともいると言われてるみたいですけど。

とはいえ、312円とはいえ、確実に前年・前回よりも消費電力を下げられているという事実は評価できます。特にエアコンは使用時間が長いと電気代がかさむので、少しの改善でも蓄積効果は大きいです。僕のようにあまり使わない人よりも、多く使う人であれば効果が得られると思います。

 

通常使用でのエアコン1台当たりの月間電気代を試算してみると、

 

0.6kWh × 8h × 30日 × 31円 ≒ 4,464円/月

  • 使用期間: 1ヶ月(30日)
  • 使用時間: 1日8時間
  • エアコンの平均消費電力: 600W(0.6kWh)程度(6畳〜8畳の家庭用)
  • 電気代単価: 約31円/kWh として計算

 

ちなみに一般的には、冷房時(夏)に1℃高く設定すると約10%の消費電力削減ができるとされています(環境省や各電力会社の目安)。

1℃上げて10%節電した場合、

4,464円 × 10% ≒ 446円の節約

 

上記のことから、エアコンの温度を1℃上げるだけで、月に約300~500円程度の節電効果が期待できることが多いと考えられます。

これは人間が実際に行動するとなると、体調や快適さを犠牲にし、健康を損なうほどの節電なら、それは「悪い節電」になってしまいます。無理して熱中症になるような節電は本末転倒です。

312円の節電という結果は、節電を意識せずに頑張らない通常運転の状態で、ちょうどそのくらいのレベルの節電ができているといえるでしょう。AI仕事しろよとか言ってしまってごめんね。1台だとこんなものなのね。とすると、自宅の5台のエアコン全部に Nature Remo Lapis を利用すれば、けっこうな節約になりますね。まぁウチはそんなエアコン全稼働とかしないので実現性無いですが。

 

Nature Remo Lapis は、「AI=自動化」の一歩先、「AI=気配り」の領域に挑戦している製品だと感じました。

現在の AI 技術は、完全な賢者のような存在はまだ届かないけれど、少なくとも「ちょっと気が利くパートナー」くらいにはなっているように思います。

 

AIの「便利さ」とは、ただの自動化ではなく、「不快にさせない」という気遣いの積み重ねだとすると。その意味で、Nature Remo Lapis は、確かに一歩進んだAI家電だと感じました。

  • 購入金額

    7,581円

  • 購入日

    2024年07月12日

  • 購入場所

    公式サイト

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