レビューメディア「ジグソー」

低域の充実度を取るか、高域の緻密さを取るか

前回KS-DIGITAL-001/STD(改良型)のレビューでKS-Remasta製同軸デジタルケーブルは一旦打ち止めと書いたのですが、実は最上位モデルKS-DIGITAL-001/SR-NVK (Ver.4)の私の評価をご覧になったKS-Remasta柄沢さんから再度連絡をいただき、Ver.4がVer.3に及ばなかった理由について、何となく心当たりがあるのでそれを改善したVer.4.1を聴いて欲しいとのことで、その後すぐにVer.4.1が届きました。ということで他のレビューを挟んでもキリが悪いので、結局同軸デジタルケーブルのレビューをもう一度掲載させていただく形としました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで最上位モデルKS-DIGITAL-001/SR-NVKはVer.3、Ver4、Ver.4.1の3本が現在私の手元にあるわけですが、Ver.4.1はVer.3と同等以上の音を実現するために改良されているということで、今回の試聴はVer.3とVer.4.1との一騎打ちという形にします。本音を言えばここにVer.4まで加えてしまうと、その都度つなぎ替えながら聴かなければいけなくなり、私の集中力が持たないだろうという考えもあります…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つなぎ替える間に外したケーブルは無造作に放り投げているわけですが、冷静に考えれば1本10万円のケーブルな訳で、私が所有するインターコネクトケーブルとしては最も高価なaudioquest Cheetahよりも1本当たりの価格は上なのですから恐ろしいものです…。

 

 

 

 

 

更新: 2024/07/04
総評

Ver.4比で高域方向は明確に改善され、低域の長所も残る

例によって端子回りを一応確認しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして分解写真を撮影してみても、私にはバージョン間の違いは見分けることは出来ませんでした。私が先入観を抱かないよう、敢えて改良点などは教えていただかないようにしていることも原因なのですが…。

 

 

試聴方法はこれまでと同様にFOSTEX HP-A8とCHORD Hugo間の接続に使いHugoのヘッドフォン出力で音を確認するというものです。ソースも同様に「Balluchon / 小川理子」(78rpm盤)と「TOTO IV / TOTO」(Friday Music盤)から起こした、それぞれ24bit/192kHzと24bit/88.2KHzのWAVファイルとします。

 

今回はまず「Rosanna / TOTO」から聴きます。冒頭のドラムソロである程度の傾向が見えてくるので判りやすいからです。

 

まず、バスドラムはVer.3よりはVer.4に近く、力感や重量感、量感などいずれも十分です。かなり重い低音は出ていますが、それでいてレスポンスが鈍ることもなく良質な低音です。そしてVer.4のネックだった高域方向ですが、これはVer.3と殆ど差が無いというところまでは来ました。ただ、かなりシビアに聞いてみるとハイハットの金属的なキラキラ感は僅かながらまだVer.3の方が上のように思います。音場の広さはほぼ同等になりましたし、ヴォーカルの質感もほぼ同等となりましたが、残響音はほんの少しVer.3の方が豊かかも知れません。

 

続いて「It's A Feeling / TOTO」を聴くと、イントロの表現は概ね同等になりました。ただ、Ver.3の方が僅かにエコーが豊かで、その代わりVer.4.1の方が低域方向の伸びと質感で勝ります。スティーブ・ポーカロのヴォーカルで両者の差を感じ取るのは難しいという次元で、一長一短としかいいようがありません。

 

そしてVer.4であまりぱっとしなかった「Smile / 小川理子」です。まずVer.4比でピアノの音色が変化してタッチの明瞭さが出るようになり、Ver.3の音色に近づきました。ほぼ差は無いのですが、強いて言えば僅かにVer.3の方がタッチが強めに感じられるでしょうか。小川理子のヴォーカルもきちんとバックの演奏よりは少し前に定位するようになり、これも概ね同等の表現となりました。ベースの深みはVer.4.1の方が上回っていて、この曲についてはVer.4.1の方が僅かに魅力で上回ります。

 

一方「Afraid Of Love / TOTO」では、ハイハットの僅かな質感の差があり、ここはやはりVer.3の方がより金属らしい音色に感じられます。代わりにバスドラムはVer.4.1の方がより低く響きます。ギターやヴォーカルでは明確な差を見出すことは出来ませんので、この曲についてもバスドラムの重量感を取るかハイハットの金属感を取るかという差です。

 

ここまで来るとどちらが良いという次元で語るのは難しくなってきて、好みやその日の気分で変わるとしかいえません。良く出来た鶏ガラ出汁の醤油ラーメンがあって、出汁にもうひと味加えようとした時に豚骨を加えて濃厚さを出すか、セロリや生姜を加えてより澄んだ方向に持っていくか、どちらか一方が明確な正解といえないのと同じことです。私はどちらもそれぞれ好きとしか答えられません。その日の気分や体調でも変わる程度でしょう。

 

 

恐らく今度こそ同軸デジタルケーブルの試用レビューはこれで終わると思いますが、見事なまでに価格に比例して音が進化していっているのはさすがというべきでしょう。強いて言えばレギュラーモデルではないKS-DIGITAL-001/EVO.IIが入っているので少しややこしい部分はありますが…。レギュラーモデルのKS-DIGITAL-001/EVO.Iと比べるとややアナログ感が弱まりHi-Fi方向の傾向となりますので、意外と一般受けは良いような気はしますが、この辺りは私の好みの話でしかありませんからね。

 

恐らく実際に製品化されるのは、シリーズの他製品も含めてこのVer.4.1相当の構造になるものと思いますが、気になる方は試聴機の貸し出しは今回も行われるはずですので、ご自分がお使いの環境で実際に音を確かめていただくことをお薦めします。

  • 購入金額

    110,000円

  • 購入日

    2024年07月04日

  • 購入場所

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