レビューメディア「ジグソー」

硬質で高解像度

同軸デジタルケーブルの試聴を行うに当たり、まずは市販品でそこそこのグレードのものを聴いてみようということで用意したのが、今回取り上げるaudio-technica AT-RD5000/1.0です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在audio-technicaでは唯一カタログに掲載されている同軸デジタルケーブルですが、恐らく既に生産完了となっているものと思います。ただ、構造や素材は同社のハイグレードケーブルらしいものとなっています。公式サイト上に詳細な解説図が掲載されていましたので、それを掲載しておきます。

 

 

 

 

 

(https://www.audio-technica.co.jp/product/AT-RD5000_1.0より引用)

 

 

 

 

芯線は1mm径とかなり太めの単線OFCで純銀コートされたものです。高周波を扱うデジタルケーブルに適した素材といえます。絶縁体は誘電性能の高いPE(ポリエチレン)素材で、周囲の発泡PEによって絶縁に加え制振性も確保しています。

 

さらにシールドの構造も凝っていて、アルミシールドの外側に純銀コート線のシールド、さらにテフロンテープ層が入ってOFCシールドという、高品位ケーブルの王道を貫いた設計です。audio-technicaでなければこれを2万5千円程度で発売するのは困難だろうと思う程度には金がかかった構造です。

 

こだわりはプラグ部分にも貫かれていて、真鍮ロジウムメッキのコレットチャック式となっています。このプラグだけでもパーツで売れば1ペア数千円というグレードです。

 

常識的な価格で入手できる同軸デジタルケーブルとしては理想的ともいえる構造ですので、試聴の基準には丁度良いと考えたわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケーブルの中央に見えている円筒形のパーツはケーブルスタビライザーで、真鍮製ですがニッケルメッキされて銀色に見えています。

 

 

 

 

 

 

 

皮膜に矢印状の模様が印刷されていますが、これは信号が流れる方向を示す接続の方向指示となっています。つまり矢印が向いている方向のプラグに下流側の機器を接続するという使い方です。

 

更新: 2024/06/06
総評

高解像度でレンジも広いが細身でやや神経質な面も

デジタルケーブルを手持ちの環境でどのように試聴するか少し悩んだのですが、丁度普段メインPCに接続しているFOSTEX HP-A8とCHORD Hugoを接続すれば手っ取り早いということに気付きました。

 

普段はどちらも直接USBでPCに接続していますが、ここではHP-A8をPCに接続し、HP-A8の同軸デジタル出力をHugoの同軸デジタル入力に接続、そしてHugoのヘッドフォン出力にSENNHEISER HD650を接続して試聴するという形です。

 

 

 

 

 

 

ただHugoとの組み合わせでは、Hugoの端子がやや奥まっているためコレットチャック式でもきちんとロックできるとは言い難く、引っ張るとあっさり外れてしまう程度の接続となってしまいました。

 

それでは音を確認してみましょう。今回は以下の2枚のレコードからデータをPCで再生して音出しします。

 

 

 

 

 

 

 

(TOTO IVはCDのレビューですが、実際にはFriday Music盤のLPから起こした24bit/88.2KHzのWAVを聴いています)

 

また「Balluchon」は私が起こしたデータとしては珍しく24bit/192KHz WAVとなっています。情報量がかなりあるレコードですので、通常の24bit/88.2KHzのWAVでは情報量が不足すると判断しました。

 

 

まずは「TOTO IV」から「It's A Feeling」を聴きます。冒頭のドラムはスネアがやや強めでバスドラムがやや引っ込むというバランスになります。ハイハットの金属感はかなりリアルに出ますし、細かな震えまで見えるような緻密かつ高解像度の音です。ただ、アナログから起こしているデータであるにもかかわらず、何となく一昔前のCDのようなカリカリに硬い音です。ベースが明らかに細身で、音場も広さは十分で見通しも良いのですが、密度感はもう一つです。スティーブ・ポーカロのヴォーカルもちょっと子音が強調されている感があります。「Afraid Of Love」ではスネアドラムとハイハットがかなりクッキリ出てきますが、ちょっと度が過ぎていてキンキン耳に飛び込んできます。私は普段アナログケーブルやイヤフォン・ヘッドフォンのケーブルで「ロジウムは高域がギラギラして耳障り」と良く言っていますが、デジタルケーブルに使ってもやはり同様の傾向となるのが面白いところです。

 

続いて「Balluchon」から「Smile」を聴きます。先ほどのTOTOはロックですから多少刺激が強くてもキャラクターとして許容できるのですが、こちらはジャズヴォーカルでありある程度の濃厚さや芳醇さがないと厳しいものがあります。それを踏まえるとやはりヴォーカルが細身かつ乾いていて、小川さん(この方はTechnicsブランドの責任者でもあります)の実際の声とはかなり違って聴こえてしまいます。ピアノの左手方向の音もちょっと薄めです。ただドラムセットの音はとても細かいところまで綺麗に表現されます。ベースの質感はちょっと水準より低い感じがします。胴鳴りのような部分が感じられません。

 

 

結論としては、レンジが広く解像度に優れていて、オーディオ的な性能はとても高い一方で、音楽の味わいのようなものが乏しい音といえます。Hugoを直接USBで接続したり、HP-A8に直接HD650を繋いで聴いたりすれば当然そのような傾向にはなりませんので、これがAT-RD5000/1.0のキャラクターということなのでしょう。多分ポータブルオーディオにしか触れていない人がこのケーブルを使えば、純粋に高性能ケーブルと高評価してくれそうに思います。

 

  • 購入金額

    6,980円

  • 購入日

    2024年06月05日

  • 購入場所

    フジヤエービック

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