以前この作品のオリジナルとなる33回転のLPはここで取り上げました。
この33回転盤は、元々今回紹介している78回転盤を聴いたことで、高価な78回転盤はそうそう買えないのでお茶を濁す意味で購入したものでした。
33回転盤も78回転盤の存在さえ知らなければ十分に高音質レコードとして納得出来るだけの仕上がりになっていると思います。しかし、一度でも78回転盤を聴いてしまうと何か物足りなく感じられてしまうことも事実でした。33回転盤に満足していながらも「やっぱり78回転盤も欲しいな」という気持ちがずっと残っていたわけです。
昨日と本日(6月1日・2日)は6年ぶりに開催された「アナログオーディオフェア」の日でした。当初の予定では1日のみ参加するつもりだったのですが、結局2日も都内に用事が出来たこと、1日に予定を消化できなかったこともあり、結局は両日参加することになってしまいました。
1日はあまり物販をじっくり見ている余裕がなく、OYAGのクリーニングクロスを買っただけだったのですが、2日は少しじっくりと見ることが出来ました。その物販エリアの一角で存在感を放っていたのが、高音質レコード類を手がけるUltra Art Recordでした。過去リリースされた作品の一通りを特価販売していたということもあるのですが、レーベルの共同代表を務める麻倉怜士氏、潮晴男氏という大御所オーディオ評論家の両氏が直接売り子をされていたのです。
私がこのレコードを眺めていると麻倉先生から「今なら8千円だけど、今日が終わったら12,100円に戻っちゃうよ」などと背中押しがあり、またSL-1200GR2を使った試聴でもやはり音が圧倒的だったことなど色々な要素によって、結局買ってきてしまいました。今日は買い物する予定は無く、財布の中身はかなり乏しかったのですが…。
「音」にかける執念を感じる1枚
私は元々このレコードが発売される前に、前回のアナログオーディオフェア(2018年)でテストプレスされたこのレコードを聴いていて、その時の印象が強く残っていたわけです。その時にはテクニクスブースの潮先生の講演内での紹介であり、Technics SL-1000R+Phasemation PP-2000+Phasemation EA-1000という豪華な組み合わせであったこともあり、とにかく鮮烈で生々しい音だった記憶が残っています。我が家のシステムはそれよりは大幅にグレードが下がるため、どこまでその時の空気を味わえるかは未知数でした。そうなると実際に音を聴いて確認するしかありません。
これだけの溝の幅を使っていながら、収録曲は片面当たり1曲のみとなっています。
Side A:Oh Lady Be Good
Side B:Smile
78回転のレコードを再生するためには、当然ながら78回転に対応するターンテーブルが必要となります。近年のレコード人気により78回転対応製品も増えてきましたが、それでも全体で見れば対応している製品の方が少数でしょう。
幸い私が使っているSL-1200Gをはじめとして、新生Technicsについては発売された全モデルが78回転に対応しています。
早速Technics SL-1200G+audio-technica AT-ART7+Phasemation EA-200という組み合わせで音を聴いてみましょう。MOTU HD192で録音して以前の33回転の音とも比較してみます。
当然我が家のシステムの限界はあるのですが、それでも33回転盤と同じ曲で聴き比べてみると、本当に同じ収録音源から作られたのか疑問に思えてくるほどに音が違います。
78回転盤は低域の解像度が圧倒的に高く、特にベースラインの明瞭度も質感も明らかに向上しています。今まではそこそこ満足していた33回転盤が薄っぺらくすら感じられてしまいます。メインとなるピアノの音も残響音がこれほどきちんと記録されていたのかと思うほどに緻密に鳴ります。僅か2曲収録で12,100円は割高と思ってしまいますが、本盤は初の78回転ステレオレコードということでRIAAカーブすら新たにに定義する必要があったなど、多大な労力をかけて制作されていて、この価格になってしまうのもまあ仕方ないのかなとは思います。それほど枚数が出るレコードでもありませんし。それでももっと安くないと難しいのは事実でしょうけど…。
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購入金額
8,000円
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購入日
2024年06月02日
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購入場所
アナログオーディオフェア2024 Ultra Art Record ブース
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