レビューメディア「ジグソー」

音場や繊細さは通常のヘッドフォンとは全くの別世界

先日STAX製イヤースピーカー+ドライバーのセット、SRS-3100を購入した話は書きました。

 

 

 

 

 

 

このSRS-3100はイヤースピーカーSR-L300と、ドライバーSRM-252Sをセット販売した時の型番であり、これらはそれぞれ単品で存在するものです。

 

そこで今回はその中のイヤースピーカー、SR-L300に焦点を当てたレビューを掲載したいと思います。

 

SR-L300はSTAX製イヤースピーカーとしてはローエンドとなるモデルで、先日発表された新モデルSR-X1と置き換わる形で生産完了となっています。とはいえ、SR-L300のメーカー希望小売価格は44,000円、SR-X1は66,000円ですから、実に1.5倍の価格になってしまったわけです。その意味でSR-L300はSTAX最後のお手頃価格製品となってしまう可能性が高そうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回SR-L300はメイン環境では無く、サブPC(主にアナログ音源取り込みに使っていて、メインPC障害発生時には通常通り仕事が出来る程度の環境を構築している)のオーディオI/F、MOTU HD192に接続する目的で購入しています。

 

 

 

 

 

 

ここには元々DROP.COMオリジナルのTHX AAA789アンプを接続していて、ここにAKG K702やSENNHEISER HD650を繋いでいました。

 

 

 

 

 

 

ただ、折角そこそこのヘッドフォンを用意しているにもかかわらず、この環境はとにかく音が悪かったのです。ヘッドフォンに何を使おうと、生気の無い音が垂れ流されるだけです。以前からここを何とかしたいと思っていました。それだけにSRS-3100の処分価格に飛びついてしまったわけで…。

 

 

ここ数日SR-L300を使っていて、まだ完全に解れるところまではいっていませんが、ある程度の傾向は見えてきましたのでここで取り上げることにします。

更新: 2024/04/24
総評

独特の軽やかな音は普通のヘッドフォンではなかなか出ない

まずは改めてSR-L300をじっくり見てみましょう。

 

 

 

 

 

 

外観は以前のSTAX伝統の形状を踏襲したものとなっています。個人的にはあまりいいデザインとは思いませんが、いかにもSTAXというイメージではありますね。新世代のSR-007以降は他社のヘッドフォンに近いイメージに変わっていますので…。

 

 

 

 

 

 

 

発音ユニットは旧世代製品では標準的な形状であった長方形のものです。上位のSR-L500とは外枠の素材の違い程度で、構造などはほぼ同じだそうです。まあ、枠の素材で剛性の差が出ますので、音もそれなりに変わり筈ですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SR-LシリーズもSR-L700 MK2、SR-L500 MK2でリケーブル対応となりましたが、SR-L300はマイナーチェンジを受けなかったため、リケーブル対応にはなりませんでした。ケーブルを破損した場合などは修理に出す必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

STAXの美点といえるのは、外装部品は全てサービスパーツとして直販されているということです。保証対象外ではありますが、上位モデルとも形状には互換性があるため、上位モデルのパーツを買って自分なりにグレードアップすることも可能です。特にイヤーパッドについては上位製品のものに換装することで音質面でも有利になることが多いそうです。

 

 

さて、使用感についてですが、側圧は弱めで重量もそれほどでも無いので長時間装着してもあまり疲労は感じません。ケーブルもやたらと幅広なのですが、思ったより邪魔には感じませんでした。ただ、側圧が弱いためなかなかここだという装着位置が定まらない部分はあります。

 

音の方は、MOTU HD192からの出力を聴く形となりますが、まず特徴的なのは音場で、一般的なヘッドフォンとは広がり方が違います。言語化するのは難しいのですが、一般的なヘッドフォンが二次元的な頭内定位だとすれば、SR-L300は自分の頭内を中心に周囲を球体のような音場が囲むような印象です。何となく立体的なのです。

 

ジャンルとして特に苦手なものは無いと思いますが、ヴォーカルやヴァイオリンの音色はなかなか素晴らしいと思います。ヴォーカルのニュアンスはとてもローエンドと思えないほど聴かせてくれますし、弦楽器の質感もかなり生っぽさを感じさせる質の高いものです。ただ、間接音が豊かなことも影響しているのかも知れませんが、「Autumn / Geroge Winston」を聴いているとピアノの音が綺麗ではあるもののちょっと軽い感じが出ます。もう少しピアノの存在感は濃くても良いと思います。まあ、それくらい弱点が無いと上位製品を買う気がなくなるでしょうけど…。

 

また「Chicago 18 / Chicago」ではちょっとホーンの音色が安っぽいかなという感じはありました。また低域の量感はどのジャンルを聴いても「ほどほど」程度で、もう少し厚みや重みはあって良い程度です。恐らく殆どの人はカマボコ型と評するバランスでしょう。実際の所はカマボコというよりは中域が張り出し、低域の特定部分が薄いという程度だと思いますが。

 

現在は組み合わせているドライバーがローエンドのSRM-252Sであり、以前比較した際に1ランク上位のSRM-353Xと比べても特に低域方向の表現はかなり劣っていましたので、ドライバーをアップグレードすることで改善は可能と思いますが、現時点ではこのようなバランスということになります。

 

 

いつになるかは判りませんが、いつかはドライバーをもう少し良いものにしたいと思っています。

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2024年04月20日

  • 購入場所

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