所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。シンガーソングライター。シンガー(歌手)であり、ソングライター(曲制作者)であるアーティストのことですが、かならずしも自作の曲「だけ」を歌うだけではない事も多いです。稀代のギタリストであり、ソングライティング能力も卓越していながら、他者からの提供曲をシングルタイトル曲としたアーティストの作品をご紹介します。
Charこと竹中尚人、ギタリストでありシンガーソングライター。すでに還暦を超えた大ベテランだが、いまだに新しい音楽を生み出し続けるレジェンド。ネットによる有益情報へのアクセス向上や、レッスン手法の多様化、機材の進歩などにより、ギタリストのテクニックは、プロ・アマ問わずここ近年急激に上がっており、彼よりハイテクニックなギタリストというのは、少なくなくなってきていると思うが、今もって彼より「美味い」ギタリストは多くはないと断言できるアーティスト。
そして彼はソングライティングの能力も優れていて、ほとんどの曲を自身で書いているのだが(作詞も手掛けるが、作曲よりは自作比率が低い)、一部では他者作曲の曲も歌っている。アイドル売りされていた最初期には他者作曲の曲がシングルにもなっていたが(2ndシングル「気絶するほど悩ましい」作曲:梅垣達志)、デビュー後10年を経てのちのシングルでも他者曲を採用している。
それが、8thシングルの表題曲「LET IT BLOW」。曲提供は荒木真樹彦。
自身もギタリストで、シンガーソングライター、他者への曲提供も多い荒木、ギターコンシャスで切れの良い楽曲を提供した。それを支えるミュージシャンも豪華で、リズム隊はタイトでグルーヴィなドラムス神保彰と、ベースはこの曲で特徴的で前進力のあるベースリフを奏でる岡沢章、リズムを煌びやかに装飾するパーカッションを斉藤ノブ。キーボードは、エレピがこの曲のアレンジャーも兼ねる重実徹、サウンドの肝となっているオルガンは、古くは桑名正博のバックや桑田佳祐のKUWATA BANDへの参加、その後の海外での活動ではニューオリンズジャズフィールドを中心に活躍した名手小島良喜。この盤石なバックに支えられ、Charが弾き倒すという楽曲。少しずつ音程を変えて♪LET IT BLOW♪と繰り返されるサビのフレーズがキャッチー。
カップリングは、3rdアルバム“THRILL”のリードチューン「YOU GOT THE MUSIC」のライヴ版、渋谷公会堂での1998年の演奏。この時のドラムスは、その死の直前まで永くCharと活動を共にしたJimmy Copley、のこりは今でもCharとバンドを組んでいるメンツ....ベースは澤田浩史、キーボードは小島良喜といった、いわゆる「イツメン」の演奏で、リラックスしつつも熱量が高いプレイを聴くことができる。もはや「リードベース」ともいえるほど饒舌な澤田のベースプレイと、Jimのキレの良いリズムブレイクで、ノリノリ!
3曲目には、表題曲「LET IT BLOW」のInstrumental、いわゆるOff Vocalが収められる。メロディがない(サビ部分のコーラスはある)「カラオケ」なので、凡庸な曲なら聴きどころがたいしてないことも多いが、さすがに名うてのプレイヤーたちの演奏、いろんな部分の小技が光って聴こえる。特に小島のオルガンのパーカッシヴな修飾音がグルーヴィ。
自分は、Charはかなり好きなアーティストなのだが、その中で好きな曲を挙げると、この「LET IT BLOW」は三本の指に入る。どちらかと言えば、音楽的立ち位置が独特のCharにとって、他者提供曲でここまで「しっくり」くる曲はあまり多くない。提供した荒木のセンスなのか、それを曲に仕上げた重実の構成力か、自分のものに消化・昇華したCharの懐の深さか。
そんなことを考えてしまう、シンガーソングライターへの他者提供楽曲でした。
12cmケースなので、MAXIシングルかと思いきや....中身は今ではレアな8cmCD
【収録曲】
1. LET IT BLOW
2. YOU GOT THE MUSIC (Live)
3. LET IT BLOW (Instrumental)
「LET IT BLOW」
Char作楽曲以上にCharらしい
ギターを弾く荒木が作曲しただけあって、ギターはソロのみならず、カッティングもカッコよい!
-
購入金額
1,020円
-
購入日
2000年頃
-
購入場所
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。