三島屋変調百物語シリーズ七巻目。
主人公が富次郎へと変わってからは、少しずつ、怪異の姿がくっきりと見える情景が増えてきているように感じます。
ネタバレを含む感想が入りますので、お気を付けくださいませ。
さて、今作の収録エピソードは三つ。
前作である黒武御神火御殿までが六百頁程と若干厚めではありましたが、今作は三百頁強と薄めではありますけれども。
内容自体は、とても濃いお話ばかりです。
珍しくUMAが登場する一話目。
それだけでは終わらずに、人の心が絡まっていく構成は見事です。
少し、飛んで、三話目、怪異そのものではなく、怪異を仲介する存在の登場が興味深いです。
怪異そのものは、姿こそ人ならざるものなれど、心根は人と変わらない部分があるというのも沁みますね。
そして、二話目。
不思議な現象は起こっておりますが、実は、恐ろしいのは人そのもの、その心の在りようであるというお話です。
たった一人、その一念の恐ろしさ、強さに居住まいを正してしまいます。
読後に思ったのは、件の人は、最期の時に狂ったのか、それとも、最初のその時に狂っていたのか、という言い知れぬ感情。
これも、また、宮部みゆきさんの力の凄さであると実感します。
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購入金額
814円
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購入日
2023年11月24日
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購入場所
楽天ブックス
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