DAPの変更による、バランス接続端子変更(2.5mm4極⇒4.4mm5極)に伴う、ポタオデ用の新持ち出し用低価格基準ケーブル選定のため、2023年前半に安価で評判の良かったNiceHCKのリケーブル「Catシリーズ」を聴きまくる...の第2弾。
※持ち出し用低価格基準ケーブル:さほど高額ではなく、持ち歩くのに勇気は必要ないが、外でイヤホンを評価する際に「基準」とすることができる音質はクリアしていて、楽しい音であっても特徴やクセが強すぎないケーブル
米国製亜鉛銅合金油浸ケーブルという珍しい線材を使った、黒猫ことBlackCat
の次は、紅い猫?RubyCat。
RubyCatは、ドイツ製の高純度銅ケーブルを使ったという、ある意味正統派ケーブル。「高純度」がいわゆる「何N」なのか、製法や構造的な工夫があるのかなど、詳しいことは全く案内がないが、レビューを見ると低音増強効果や、標準添付品でボワついていた低域の引き締め...などの感想がつづられているので、それらからは「不純物が少ない銅ケーブル」の音質傾向であることが推理できる。
今回の「Catシリーズ」試聴環境であるDAP=Shanling M3X Limited Edition、
イヤホン=Westone UM Pro50
の環境で、いつもの評価曲を聴いてみた(M3X Ltdのセッティングは、ゲイン=Low、DACモード=Turbo(DUAL DAC)、EQ=スルー)。
まず吉田賢一ピアノトリオの「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」を、ハイレゾ録音(PCM24bit/96kHz)のアルバム“STARDUST”から。
世のRubyCatの情報では、この純銅製のケーブル、「銅線らしく全体的な印象を維持しつつも低域がやや厚めになるタイプ」との事だが、BlackCatと比べて、むしろシンバルのアタックの方が目立つ。ベースの基音の主張はやや控えめだが、ベースソロの部分を聴くと芯のある良い音であることは確か。ただドラムスとピアノが復帰すると、一番優勢なのはシンバルレガートとハイハットフットクローズの音になる。音の種類・音域が限られているこの曲と、RubyCatの特性の相性の問題か。
宇多田ヒカルの名曲「First Love」は、USBメモリでのハイレゾファイル販売だった“Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1+2 HD”(PCM24bit/96kHz)から。
これは、銅線らしい。しっかりと芯がありつつ、大きめヴォリュームで入っているベースが芯に居座る感じ。ヒカルの声もしっかりと聴こえて悪くはない。ただ、1st verseの静かな部分はともかく、ラスサビなどはベースの主張が強くて、シンバルやストリングスの響きが薄く、ちょっと広がりがない。コンパクトながら多ドラ(3ウェイ、5ドライバー)で、ややしっかりめに低域が出るWestone UM Pro50とは若干相性が悪い??
同じ女声バラードだが、アレンジがやや派手(ドラマチック=Aメロとサビの落差が大きい)で、もう少し音数が多い「空」は、女性声優あやちゃんこと洲崎綾のメモリアルファンブック“Campus”から。
この曲、「First Love」とは異なる評価になることが多いのだが、今回もまた。全体としては中域の見通しがすごく上昇したような印象は薄いのだが、ヴォーカルは周りから浮き出していて悪くない。AメロからBメロになって、ベースとアコギが加わり、サビでガッツリストリングスとキラキラとしたシンセ音が入って...とバックが厚くなるにつれてあやちゃんが遠くに行ってしまう環境も少なくないが、この組み合わせでは、なんとかとどまっている。下もソコソコ充実していて安定感があり、バラードとして上手くまとまっている。
おなじあやちゃん歌唱ながら、全く異なるデジタルで、ラウドで、ビート感溢れる、まるで戦闘ロボット物テーマソング..とも言われるソシャゲーアイドルマスターシンデレラガールズの女子大生アイドル新田美波の初期持ち歌「ヴィーナスシンドローム」。
これは、結構いい。過剰気味に突っ込んである打ち込みのキックとシンベが、芯を持ってガツガツ攻めてくるわりには、あやちゃんのヴォーカルも結構埋もれず、16ビートのハイハットシンバルや、左右を駆け回るシーケンスパターンもしっかりと「立って」いて、前進感がある。音は近接的で「広さ」はさほどに感じないが、これはUM Pro50の個性か??
同じ16ビートながら、もっと各パートが分離していて、テクニックを味わう楽曲、ジャパニーズフュージョンシーンの老舗バンド、T-SQUAREの「RADIO STAR」を、ゲストベーシストに日野‘JINO’賢二を迎えたセルフカバーアルバム“虹曲~T-SQUARE plays T&THE SQUARE SPECIAL~”から。
これは低音ガツガツ来ていいですねぇ~。この組み合わせでのJINOのスラップは、どちらかと言えば低音減のプッシュの圧の方が強いけれど、プルの抜けも悪いというほどではなく、ドラムスの坂東慧のキレッキレの足技や、ドゥンと腹に響くバスタムの音が刺激的。一方高音の抜けはさほどではなく、天井は若干狭い感じ。
古典ロックの「Hotel California」は、Eaglesの24K蒸着の同名アルバムから。
端で鳴る金物系(シンバルやカバサ)、アコースティックギターのアルペジオなどにきらびやかさと広さはないが、しっかりとRandy Meisnerの特徴的なベースラインを描き出す。そして10数本ダビングされたというギターの中では、左右でほぼユニゾンで鳴るエレキのオブリガードが明瞭。この曲も上の「開け感」は強くないが、当時流行りのピラミッド型音場との相性は悪くない。
上から下までフルレンジで鳴るオーケストラ系楽曲、ゲーム艦これの戦闘BGM「鉄底海峡の死闘」は、交響アクティブNEETsによるフルオーケストラ演奏を“艦隊フィルハーモニー交響楽団”から。
戦闘系楽曲ならではの勇壮感や迫力は申し分ない。低域の持続音(弦や管系)も減衰音(ティンパニなど)も力強く、しっかりと土台を支える。一方、上の開きは今一歩で、空間を渡るように鳴るトライアングルの印象度も、シンバルの広がりもやや弱めで、「室内感」がある(まぁレコーディングは当然室内なわけだが)。今少し解放感が欲しいか。
最近配信で覆いビットレート高め(269kbps)のmp3は、YOASOBIのサポートベーシストで、最近ソロ活動にも熱心なやまもとひかるの2nd配信シングル「NOISE」。
この組み合わせ、「ベーシストひかるちゃん」を味わうには結構適している、ラウドな楽曲で音場狭めながら、スラップ奏法のプッシュのゴツゴツ感も、プルのはじけるアタックも、ランニングベースの沈み込みも、グリスのヴォリューム感もすべて高い次元で共存している。しかし「ヴォーカリストひかるちゃん」はあまり目立たず、中域だと左側端のワウギターや、右側のピアノに若干喰われる。音場的にも迫力はあるがナローな感じ。
全体的にこのRubyCat、ごく低い方は黒猫(BlackCat)よりも力感があるが、その上の領域は弾む黒猫に特徴があり、中~中高域はヴォーカルや主旋律が他の楽器に比べ浮きあがるBlackCatの方が聴きやすい。上の解放感は黒も紅も大差はないので、ベース聴くなら紅、曲を聴くなら黒という感じ。
ただ、購入価ならまだしも、2023年現在Aliで3,000円程度(常設クーポン適用後)、Amazonで4,000円弱...となると、若干音色のクセ強めながらも黒猫のコスパが逆に光る。
なおRuby(ルビー)...というよりは、メタリックピンクに一筋の黒い線...という感じのRubyCatのケーブルの取りまわしは、黒猫よりはるかに良くて、癖のないやや細めの柔らかな線でケーブル取り回しやスライダーの滑りもよく、プラグなどがアルミなのでBlackCatのステンレスよりも軽くて扱いやすい(プレーンなデザインで趣味も良い←外で使うには重要)。
それら含めてBlackCatと同価格なら、若干癖がありながらも中域が楽しい黒と、上の伸びは標準だが力強い低音がしっかりと曲を支える紅という使い分けができたが、2割もRubyCatの方が高い...となると微妙か...
銅オンリーケーブルとしてはやや上(上目の中域)がやや通るほかは、低価格イヤホンケーブルとしては特に変な味付けも少なく、悪いとは思わないのだが....
【仕様】
線材:ドイツ製高純度銅ケーブル4芯
プラグ素材:アルミ
スプリッター素材:アルミ
ケーブル長:約1.2m
「詰まり感」は少ないが、「開け感」も、また、ない
上は特徴らしい特徴がない感じの消え去り方。伸び感に乏しいので、若干高域は狭い印象。
中域チョイ上に「通る音域」がある
全体的にクセ少なめのケーブルだが、中音域チョイ上目に「通る音域」があり、シンバルやギター、ピアノなど一部の音色が前に出る。
重低音まで自然に広がるどっしりとした低域
どこかにピークがある目立つ低音ではなく、全体的にしっかりとした低域。音色的には芯があってクリア気味で、焦点の甘さなどは感じられない。
4芯なので曲げやすく、アルミプラグで軽い
線自体も太くなく、4芯で編みも緩いので曲げやすい。金物系もアルミで軽く、総重量は30gほど。
BlackCatでは摩擦が強かったスライダーも軽く動く。
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購入金額
2,596円
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購入日
2023年06月13日
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購入場所
NiceHCK Audio Store (AliExpress)
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