以前2015年のRECORD STORE DAYで販売された、12インチ盤の「Bohemian Rhapsody / Queen」を紹介したことがあります。
この12インチ盤はノイズが多かったりプレスの品質もイマイチだったりと弱点はあるのですが、音の生々しさという点では過去に聴いたこの曲の中では最も素晴らしいものでした。OTOTENのイベントで聴いて、即イギリスのレコード店に直接連絡して取り寄せたほどです。
しかし、何しろ2015年に限定販売された稀少盤であり、「このレコードは良いから是非聴いてみて」とはお勧めしにくいものがあります。当時は2千円以下で買えたレコードですが、今日本で中古盤が出てきたら少なくとも5千円前後の価値が付いてしまうでしょう。さすがにアナログ関連の試聴に行くときにも、このレコードを持ち歩く気にはなれません。まあ、TechnicsのHi-Fiオーディオのイベントで使われる試聴レコードセットの中に見かけたことはありますので、試聴会でリクエストすれば再生していただけるかも知れませんが。
この曲を収録したアルバム「A Night At The Opera」(オペラ座の夜)のデアゴスティーニ盤や映画「ボヘミアン・ラプソディ」のサントラ盤も悪い出来ではありませんので、普通に聴く分には十分な音ではありますが、12インチ盤を聴いてしまうとどうしても物足りなさが残ってしまうのです。
というわけで、何とかこの12インチに匹敵するレコードが手に入らないかと思い、ふと思いついたのが2019年のRECORD STORE DAYで限定販売された、7インチEP盤の「Bohemian Rhapsody」でした。私は当時12インチを入手していたのでこの7インチを買わなかったのですが、7インチ盤も2015年盤12インチと同様に英国アビーロード・スタジオで再カッティングされていて、音質に配慮されているといいます。丁度先日処分価格となっていたこの7インチレコードを見つけましたので、2015年盤12インチと比較試聴するために購入してみました。
今回購入したのは日本のユニバーサル・ミュージックにより歌詞カード等が同梱された、輸入盤国内仕様のものです。
袋を開け、日本で同梱された歌詞カードをどけると、EU盤の中身が出てきます。歌詞カードの紙にはEU盤とだけ書かれていたのですが、こちらの表記を確認するとチェコでプレスされた盤とのことです。
2015年盤12インチの生々しさは出ない
中身のレコードはカラー盤となっています。ピクチャーレコードではないのでそれほど音質への悪影響は無いと思いますが…。
ラベルに曲目が印刷されているのはB面となります。
A面は映画「ボヘミアン・ラプソディ」でお馴染みとなった、フレディ・マーキュリーのシルエットだけがプリントされています。回転数が45rpmで、スピンドル穴は通常のLPや12インチと同様の径なのでレコードスタビライザーを使うことも出来ます。
写真はスタビライザー無しですが、実際には12インチの再生時と同様にSUNSHINE S4Sの半分を乗せた状態で試聴しました。
まず第一印象としては、オーディオ的にとてもバランスが整っているということでした。ただ、何となくですがどこかで聴いたことがある傾向です。
それを確認するために、moraでハイレゾ(FLAC)も購入してみたのですが、やはりというべきかハイレゾ版ととても音がよく似ているのです。突出した部分がなくバランスは良いのですが、ヴォーカルが少し主張を弱め、残響音などは今までのアナログ盤より少しスッキリしています。
2015年盤12インチの最大の魅力はフレディ・マーキュリーのヴォーカルが他に無く生々しいこと、残響音なども適度に豊かなことだったのですが、それとは全く別傾向の高音質です。そこで改めて調べてみると、ハイレゾ版と2019年7インチ盤は、どちらも2019年にボブ・ラドウィックによってリマスターされた音源を使っているということで、大本は全く同じなのかも知れません。2015年はハーフスピードマスタリングという表記はあり、アビーロード・スタジオでカッティングが行われたことはわかっていますが、マスターは当然別物です。
2019年盤も音質的にはとても高い水準にあるのですが、私が2015年盤12インチに惹かれた部分は残念ながら残されていませんでした。買っても後悔しない出来ではあると思いますが、2019年盤であればハイレゾダウンロードで十分かなと思います。
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購入金額
1,452円
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購入日
2023年06月18日
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購入場所
TOWER RECORDS
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