イヤホンで音を聴くシチュエーションって、いろいろあると思われる。
パーソナルに音楽を楽しむため、ポータブルオーディオシステムに使う、円周状の広いところで、お馬さんの人気投票や遠方で疾走するお馬さんの頑張りをラジオで聴く、家で家族にとても言えないような趣味が高尚で理解を得るのが難しいコンテンツを愉しむ際...
そんなシチュエーションの中に、「ASMR音源を聴く」というのもあると思う。
ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response:自律感覚絶頂反応)。一般に、耳からの音の刺激で快感を得る行為。その音の刺激には、単調な雨音や、何かを油で揚げる調理の音、スライムをこねる音、好みは分かれるが咀嚼音なんてものもある。
さらに、人による動作や言葉を使ったものもあり、囁きや耳かき、タッピングなどが代表的。
で、このASMRにつかうイヤホンにはカナル型が合うと言われている。自然音などを扱ったASMR音源を聴く場合には、「空間を感じる」「頭外定位」の密閉型のヘッドホンの方が良い事もあるが、囁きや耳かきなど、耳元もしくは耳の中で生じる音を聴く場合には、遮音性が高く、「頭内定位」になることが多いカナル型イヤホンが適している。またカナル型の中でも、外界音で集中を切らせない遮音性や、寝ながら聴く人も多いと言うことで装着感も重視される。そんな特性から、カナル型で小型のものが、耳の奥まで突っ込むことで上記条件が満たせることが多く、音に集中できるわけ。
また、音的にも音楽的なHi-Fi性能よりも、中域中心に表現力が高く、左右の音の移動や(片方からだけ聴こえるようにしたASMR音源もあるので)定位が良くわかることも重要。さらに、小さな音を感度を上げて収録することが多いため、入りがちなホワイトノイズ系の音が耳障りでないことや、没入感をスポイルする、ケーブルのタッチノイズが大きくないことも求められる。
自分はこの用途では、ASMR用として定評があるfinal E500
を使っていたのだが、予備を入手しておくことにした。...というのは、自分は寝転んで聴くことはないのだが、ASMR配信自体が深夜に行われることも多く、寝落ちしてしまったことが数度あった。その際に、現状のPCとの位置関係上、ケーブルが引っ張られて、気がつくと耳から外れてしまっていた。この場合PC側からケーブルを引っ張って耳から外したような感じになるわけで、断線が心配だったわけ。
ま、E500自体さほどに高価な機種ではなく、ASMR用としては非常に気に入っているので、同じ物を買い増しても良かったのだが、ASMRにしか使わない同型のイヤホンが2つになるのも面白くないので、別のものを探してみることに。
条件は
・砲弾シェイプのカナル型
・耳掛け式ではない
・安価(目安として2,500円以下)
というあたり。
砲弾シェイプというのはfinal E500のようなタイプで、筐体とカナル部分が一直線になっている形状。このタイプの大多数は小型で、耳の中にすっぽりと収まってしまい、向きを微調整することで鼓膜が直接狙える自由度があるため、リアリティが高いASMR体験ができる。そしてE500のように耳掛け式でない方が、感覚を耳に集中している時に、耳の周りに異物感や、ケーブルの擦れがなくて没入できる。さらに、寝落ちなどで断線の危険性があるので、あまり高価なものを買っても..ということでE500程度までかな..と←なら、素直にE500買い増せよ(ボソ
この用途でリサーチを掛けていたところ、結構有望そうなイヤホンの情報を手に入れた。それがNICEHCK X49。かなりE500に近いシェイプと大きさ。低い方はあまりないが、中域に華があり、1BAの素直さで「声との相性が良い」とか。
E500のプラ筐体に対して、X49は純銅のメタル筐体なのも含めて、アピールポイントがあって、結構心が動いたのだが、
・1BAというのが、ASMRで重要な中域低め(中低域まで行かないあたり)に合ってるのか?
・ケーブルのタッチノイズが大きいという情報があった
・価格が2,000円強というより2,500円弱で、むしろE500を上回っていた
と、いくつか気にかかる点があり、もう少し価格が下がるまで待つか...という判断にした。
すると、X49の値落ちより前に、同じNICEHCK製で、似たようなシェイプのイヤホンが、さらに下位に追加されるという情報を得た。
NICEHCK X39。遠目で見た感じfinal E seriesのような砲弾シェイプのカナル型イヤホンで、X49と似ている形。型番の類似性からも、最初は「X49からいくつか仕様/機能を落とした廉価版かな」と考えたが、これ、実は全然違う。
まずドライバが、X49のシングルBAに対して、X39は6mm径のチタン振動板のダイナミック一発。ハウジングも純銅製だったX49に対して、X39はアルミハウジング。外見的には銀色(メッキ色)一択だったX49に対して、X39はブラックとシルバーが選べる。そして面白いのは、X39のカラーは単なる色違いではなくて、本体カラーによってケーブルの線材が異なるということ。ブラックはOFCで、シルバーは銀メッキ銅線が採用されている。低価格機なので、音質を積極的にチューニングするためにあえて変えた...というより、黒ボディに銅の赤金系の色、シルバーボディに同色のケーブル...というデザイン的なチョイスなのかも知れないが、“The silver version is equipped with silver-plated cable, and the sound is clear and transparent; the black version is equipped with OFC cable, and the bass is powerful.(以上AliexpressのNiceHCK Audio Store、X39の商品説明より抜粋)”と、一応音色的違いもあるようだ。
価格も、2,000円をなかなか割らず、未だにどちらかと言えばむしろ2,500円弱あたりをさまよっているX49に対して、最初から2,000円以下、発売時の割引プロモーションコードを使えば1,700円以下という安さで、それよりもやや高いfinal E500に比べて、どういう結果を見せるかが気になり、入手してみることにした。
なお色に関しては、X39が採用するダイナミックドライバーは、一般的に中~低域に強く、上が苦手な傾向にあるので、弱点を補うべく銀メッキ線採用のシルバーカラーという手もあったが、ここはASMR用として使っているE500が若干中域低めが弱めでもあり、より特徴を際立たせる「低音がパワフルな」というブラックを選択。決して単なる色の好みで選んだわけではない。
なお、X39に関してはマイク付きのタイプも販売されているが、今回ASMR用としてPC接続のつもりだし、どのみちiPhoneには挿せないので、マイク無しを選択している。
注文後6日で到着。外箱はおよそ9cm四方で、 パッケージにはカラーで美少女のイラストが。実はX49は全く無地の白箱に、グレー一色で製品の写真と文字だけの業販機のようなシブいパッケージだったので、かなりの方針転換。いや別にこのキャラクターにつられたわけでは....
パッケージのキャラクターの横には、「X39|钛美」と書かれている。「钛」はチタンの意味なので、チタン製ダイアグラムのことを表しているのだろうが、「美」をつけてあるので、キャラクターの名前なのかも知れない(カタカナ読みすると“タイメェィ”?)。
さすがに2,000円以下なのでケースやポーチはついていないが、付属品はそこそこ充実している。3サイズのシリコン製イヤーピースに加え(Mサイズは本体に初期装着)、ダブルフランジのイヤピ(ワンサイズ)も付属する。ケーブルは直付けだが、それをまとめるベルクロベルトも別添で付属。
3サイズの通常シェイプのイヤピの他に、ダブルフランジイヤピースも付属(→は初期装着)
2,000円以下のイヤホンとしてはこれだけでも充分だが...
説明書の他に、パッケージのキャラクター(钛美ちゃん?)の8cm四方のカードも同梱。そして、今回は最初期ロットだったため、初期2000個限定のパッケージキャラクターのキーホルダーも添付されていた。いや別にこのキーホルダーにつられたわけでは....
本体はかなりコンパクトな砲弾型。ドライバの逆側の端はスパッと切り落とされていて、そこに型番の「X39」が表示されている。写真で見る限り「X49」と書かれた部分が立体的に盛り上がっているX49とは金型から違うのが判る。
ケーブルは透明のシースなので、銅(OFC)の色が直接見える。黒いボディや金具(分岐部やプラグ部分)との対照としては、結構合っている。
このブラックボディと、透明シースの赤みが強い銅色導線の対比は結構いい感じ
面白いのは左右識別表示が、LとRの印刷があるのに加えて、ケーブルに左側だけリングが余分に通っていることでわかるようになっていること。このリング、ケーブルとの抵抗が大きいので、留めたいところで留めていられる。そのため、耳元のハウジング近くまで持ち上げると、手探りで左右が判るので便利。だだ最初このリングが、開封時には左右分岐以降のケーブルをまとめるスライダーにくっついていたため、スライダーが非常に動かしづらく、不良品かと思ったくらい。また、このリングに関しては、説明書に何の説明もなく、危なく「バリ」として、ペンチで除去するところだった...
この左右識別リング、なんの説明もないので、当初スライダーの邪魔になっていた
いつものように約100時間エージングを実施した後、使用したが、ASMR番組を聴く前にまず、いつもの楽曲で音質を評価してみた(X39の説明書では50時間以上のバーンインが推奨されている)。
再生環境は、いつもどおりShanling M3X Limited Edition。
リケーブル対応のイヤホンではないので、3.5mmアンバランスで直刺し。DAP側セッティングは、ゲインはLowでDUAL DAC(DAC Turboモード)、EQはスルー。イヤピは標準添付の「小」セット。
※このイヤホンに関しては、このゲイン切替が結構キモだった。最初慣らし(エイジング)で使ったので、ドライバーを「動かす」ために、Highに切り換えていたのを忘れていて、そのまま聴いてみたが、その時は低音が芯なく拡散してイマイチ...というか価格なりのチープな印象だった。それがLowゲインにしてヴォリュームを突っ込むと、グッと丹田に力が入ったような音になる。まだ多いわけではないちまたのレビューで、「若干鳴らしにくい」というような記述を見たような気がするが(今その記述が探せない)、少なくともM3XLEでは、ローゲインでヴォリューム上げ目のドライヴの方が、ハイゲインでヴォリューム控えめよりはるかに良かった。この差は結構大きかったので、上流の駆動力によって評価が分かれるタイプなのかもしれない。
まず聴いたのはいつもどおり、ハイレゾ音源(PCM24bit/96kHz)からFLAC化した吉田賢一ピアノトリオの“STARDUST”
から「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」。この曲、ジャズトリオ演奏で、ピアノ+ウッドベース+ドラムスの構成。エフェクト系が過剰ではないので、「素」の音が判るし、ベースが中央で、ピアノが左~中央、ドラムが右という変則定位のため、高い方から低い方までバランス良く聞こえないと、音が左右どちらかに寄ってしまう。さらにベースソロでの沈み込みや、ドラムスのリムショットやシンバルレガート、フットハイハットクローズなどで、高音域にキツい部分があるかどうかを識る事が出来る...とイヤホン評価曲には最適なのだが、この2,000円足らずのイヤホン、なかなかの実力。シングルDDなのもあってか、上は「開けている」と言うほど伸びておらず、ライドシンバルでのレガートの広がりは控えめで、アタック中心だが、ハイハットの華は充分あって、フットクローズの踏み方の差による音色変化や、ときどき挟まれるハーフクローズでのシズル音など中高音域は結構魅せる。ピアノも深みや響きはそれなりだが、しっかりと芯があって、聴きやすい。ベースは深いところまでは伸びていないし、超低いところは少し芯がない感じだが、ベースソロになって(ベースにとって)高音域を使い始めると、ガンガン攻めてくるし、しっかりと弦の震えまで感じる。これは悪くない。
おなじハイレゾリファレンス音源(PCM24bit/96kHz)、USBメモリによる提供だった宇多田ヒカルの“Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1+2 HD”
から「First Love」。こちらは打ち込みで中低域を覆い尽くすベース音を如何に捌いて、当時まだ十代のヒカルの震える声の描写への余力を残すか、そして、大げさに?空間残響処理されたクライマックスのドラムスの広がりが描き出せるかが聴き所だが、1st verseから1st Chorusまでは、なかなか魅せる。イントロのピアノとギターも「リアル!」という程ではないが、それっぽいし、ヒカルの声の描写も空間の描き出しを含めて悪くない。ただ2nd verse以降は音数が増える分飽和気味で、ベースとヒカルの声の芯はきちんと追えるものの、空間の広がりは今一歩。つか、かなり狭い狭小住宅。ただベースの音質はなかなかで、6mm径DD一発とは思えない説得力と芯を感じる。
同じ女声バラードでも、録音の問題なのか結構「First Love」とは違う評価になることが多い「空」は、女性声優あやちゃんこと洲崎綾のメモリアルファンブック“Campus”
の付属CDから。今回も若干印象が違い、ベースがわりに薄い。いや、音量的にはソコソコあるのだが、若干芯がないというか。また、ソース的にも上への抜け感が追及されたものではないのだが、やはり天井は低い。ただこの曲、左右への広がりがすごく大きく感じられ、中音域(中低音~中高音)に固まった、ヴォーカル、ピアノ、ギター、ストリングス音を左右にダァーッと並べて聴かせる感じになるので、この組み合わせだとわりに「個」が聴きとりやすい。
同じあやちゃんの曲だが、打ち込み歌謡曲系ディスコチックな、“THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS”の女子大生アイドル新田美波の初期持ち歌「ヴィーナスシンドローム」はどうか(収録は、“THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 019 新田美波”のCD⇒FLAC音源の方)。
ここまでバリバリにデジタルな低音域を突っ込んでる曲では、2,000円弱のDD一発イヤホンでは流石にキツく、バスドラだけでかなり飽和気味で、同じ低音域のシンベはほとんど描き出せていない。また空間を駆け回るシーケンスパターンが表現する「広さ」も狭い。ただ、ヴォーカルは意外にも他音色にカバーされる事なく、きちんと聴き取れる。
キレのよいジャパニーズフュージョンは、T-SQUAREの「RADIO STAR」を、セルフカバーアルバム“虹曲~T-SQUARE plays T&THE SQUARE SPECIAL~”から。
このテイクでは、ゲストプレイヤーとして、日野"JINO"賢二が加わっていて、彼のスラップとラップが聴き所。さらに当時のキーボーディスト河野啓三のリリカルなピアノソロが魅せ場。この曲は...合わないな。キレが欲しい低音域、テクニカルな坂東慧バスドラの細かい足技と、JINOのスラップの絡みがキモなのだが、量はあるがちょっとベースのキレが...ただし、ベースソロとなってプレイ音域が上がると悪くないので、やはりX39は中低音までで、「重」低音は荷が重いのだろう。一方河野のピアノソロは、再生環境によってはffの部分が耳障りなほど「くる」こともあるのだが、このイヤホンだと旋律は主張しながらも、良いいなし方で耳障りではない。
Eaglesの名曲「Hotel California」は、24K蒸着の同名CD
から起こしたFLACで。それまで聴いてきた予想通り...というか、レンジが狭めのかまぼこ周波数特性で、DD一発には古めのロックは合うのか、けっこう平均点高い。最近の多弦ベースやシンベを駆使したものとは違う、素直なエレベの音と、当時のミュートが強いバスドラのアタックはちゃんと描き出すし、12弦、6弦、アコギにエレギと、オーバーダビング含め複数のギターがずらっと並ぶ中~中高音域は左右に広く、あの有名なイントロやツインギターソロが美しい。ただ左右が広いわりには、端にあるタムやティンバレスやギロなど高次倍音が多い楽器は目立たず(つかほとんど聴こえず)、「上」が足りない感はある。
「艦これ」BGMの交響アクティブNEETsによるオーケストラアレンジ、“艦隊フィルハーモニー交響楽団”
から、バトル画面のテーマ「鉄底海峡の死闘」は、低音の迫力はあるので、ソコソコ及第点。もちろん、上級イヤホンと比べると、和笛のような旋律のフルートが空間を切り裂く感じなどは全くなく、ストリングスの冴えも少ないが、とにかく中低域の力強さで押し切る感じ。おなじオーケストラ編成の曲でも、曲調が違うとまた違うと思うが、こういった勇壮な曲は、アラもあるが、押しの強さで。
配信グレードのmp3(ビットレート269kbps)としては、YOASOBIのサポートベーシストやまもとひかるの2nd配信シングル「NOISE」。
ベースプレイヤーなので、これでもかと突っ込んだ多彩で高難易度のベース奏法と、対照的にcuteなひかるちゃんのヴォーカルの両方の表現が必要な曲だが、これは明確に「苦手な曲」かも知れない。帯域的なものか音色的なものか不明だが、なぜかベースよりドラムの方が前に出るバランス。指弾きの所はバスドラが、スラップの部分はタムやスネアが出ていて、ひかるちゃん、もっと前へ!という感じだし、ヴォーカルよりもピアノの方が得意な音域のようで、こっちもひかるちゃん、もっとm(ry
では、元々の主目的のASMRはどうだろう。
再生環境は、AMD Ryzen Threadripper 2990WX
を載せた現メインPCのM/Bのサウンド機能直結。M/BであるASUS ROG ZENITH EXTREME
のオンボードサウンドを、ヘッダ取り出しでPCケースの3.5mmジャックに繋いだものなので、サウンド用チップはSupremeFX S1220オンボードで、D/AコンバータはESS Technology SABRE9018Q2C。ASMR用イヤホンとしてそれまでメインで使っていたfinal E500とともに、YouTubeのいくつかのASMRを聴いて確認した。
耳への「収まり」は大差がないが、E500に比べると、X39はわずかに太く、気持ち短い感じ
自分はASMRと言っても、雨音のような自然音や、スライム切ったりするような単調な音には興味がなく、音によって具体的な行動が想起されるもの、いわゆるシチュエーションASMRが好き。そういったものの中から、自分が聴いている代表的なもののひとつとして、VTuberの吉花こころちゃんのASMR配信を比較用に選択。2023/3/14配信の、癒やしの寝かしつけ、耳かき+梵天+囁き等々を聴いてみた。
23:30の竹耳かきは、X39の方がゴリゴリ感が強くリアルな感じ、final E500は音がやや軽めで頭の中に響かない。一方、44:30あたりの左耳の梵天のリアルさはE500。X39はカサカサの音が軽いというか...耳の中の音と言うより、障子紙をこすっているような感じ(現実には黒3Dio=Free Space Proのシリコン製耳介をこすっているわけで、よりモニタリング的に聴こえていると言えるのかも知れないが...)。57:30の心音は、今度はX39の方が良い。低く「ビート感」があって、耳の中に鼓動が響いてくる。
X39、E500と一長一短(中低域に力があるX39 vs 中高域の質が高いE500)で結構健闘しており、耳の中に入る大きさも含め、ASMRには合っているのでは??
ASMR用として試しに購入したNICEHCK X39、音楽を聴いても、2,000円以下としてはレンジは狭いものの、中域の定位がよく、わりに「使える」イヤホンだった。
特徴としては
○中域の楽器・パートの分離能が高く、定位の見通しが良い。
○中域低めの領域の音に芯があり、バスドラムなどのリズムがとりやすい。
○コンパクトな筐体で、先端の方向を細かく調整することで耳の奥で鳴らすことが出来る。
○耳から飛び出ない装着が出来るので、寝ホン等にも使える運用の柔軟さ。
○ASMRではホワイトノイズのような雑音は目立たず、ゴリゴリした音にリアリティがある。
○左右識別のためのリングが左側のケーブルに通してあり、手探りで左右が判る。
○低価格帯のイヤホンにもかかわらず、ダブルフランジイヤピースという珍しいタイプが付属する。
という良い点がある一方、
■高域はほぼ存在感がなく、華も感じない。
■中域低めのさらに「下」は、良く聴くと「ある」のだが、在るだけで存在感はない。
■中高域は聴感上やや「出している」のか、音によっては倍音が強調されすぎて音が安っぽい。
という欠点もあった。
しかし、コンパクトな砲弾型筐体による装着の自由度は、ASMRで重要な定位感を高める。現在の価格が維持されるなら、ASMRに興味がある向きには、持っておいて損はしない低価格帯イヤホンだと思います。
【NICEHCK X39 Black No Mic 仕様】オーディオなんちゃってマニア道
ドライブユニット:ダイナミック型(チタンコート振動板)
ドライバ径:6mmΦ
インピーダンス:16Ω
イヤホンの感度:105db/mW
再生周波数範囲:20~20000Hz
シェル材料:アルミニウム合金
プラグタイプ: L型3.5mmシングルエンド
ケーブル材質:OFC
ヘッドホンパッド材料:シリコン
カラー:ブラック
マイク:なし
付属品:イヤーピース2種合計4サイズ(S、M、Lとダブルフランジ)、ベルクロバンド、
ユーザーガイド、検品合格証、キャラクターカード、先着2000名キーホルダー
価格なりの高音域
伸び感や、広がりはなく、中高音止まり。静かなアコースティック系楽曲などを聴くと出ていないわけではないが、弱いし華もない。
中域の音の分離能と低め中域のパワー感が良い
小さい筐体で、耳へ突っ込む角度を細かく調整できるからか、各中域楽器やヴォーカル/コーラスが、「どこに」いるのかがわかりやすい。低め中域の音にある「芯」も結構いい。
低域の「上」のあたりは結構出ているので、「低音感」はある
ただ、ベースの場合基音より一次倍音の響きが大きく、ちょっと腰高な感じ。
中域の左右はかなり広く明瞭
上下に関しては、低域と高域がわりに早く落ち込む細いかまぼこ形(厳密に言うと、ど真ん中の上と下に緩い隆起があるM形)なので、特に「広がり感」は少ない。
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購入金額
1,644円
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購入日
2023年04月18日
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購入場所
NiceHCK Audio Store (Aliexpress)
harmankardonさん
2023/05/01
cybercatさん
2023/05/01
いや,あくまで,イヤホンが主で,キーホルダーとカードはオマケです.
建前上