普段はどうしてもシェルリード線というと、細かいリクエストにも応じていただけて確実性の高い、KS-Remasta製のものを購入することが多いのですが、たまには他社製品を試してみたいということで、実売価格1万円前後の製品を2つ購入してみました。今回取り上げるのはその中の1つであるKRYNA Shelca 1を取り上げることにします。
意外と厚みのある箱に入ってきました。
中にはリード線本体の他に、折りたたまれた説明書が入っていました。
このShelca 1の最大の特徴は、カートリッジ側とヘッドシェル側とのリードチップに区別が存在しないということです。
接続される先のピンは、多くの場合カートリッジ側が直径1.2mm、ヘッドシェル側が直径1.0mmであるため、両端も1.2mm径、1.0mm径で作っておいて、外観で区別しておくことが多いのです。他社の場合には
このような感じで色分けされている方がカートリッジ側、同色がヘッドシェル側となっているわけです。
しかし、このShelca 1はどちらもchごとに色分けされていて、どちら側をどのように接続するかの指定がありません。実際に使ってみたところ、どうやらどちらのピンも1.2mm径で作られているようで、カートリッジ側のピンは割合ピッタリ、ヘッドシェル側がスカスカでした。
(追記)
同梱の取扱説明書に記載はなかったのですが、Web上の製品紹介にリードチップは両端とも1.2mm径、全長は約35mmと記載があることが判りました。
導体部分は超極細高純度銅 73本の撚り線で構成されていて、太さは標準的であるものの柔らかいため、取り回しは悪くありません。装着は比較的楽な部類ではないかと思います。
濃厚さがあり間接音は豊か。アタックはやや緩め
普段はシェルリード線の試聴にはZYX R50 Bloomを使うのですが、今回は同時に試聴した製品がZonotone製であり、リードチップの径が細くできているため、ターミナルピンが太めのZYX製カートリッジに装着するのがかなり面倒になるため、DENON DL-103Rを使うことにしました。
また、ヘッドシェルは一度My Sonic Lab SH-1Rhに組み付けたのですが、DL-103R+SH-1Rhは導体部分が硬いリード線は装着の難易度がかなり高く、結局Ortofon LH1000を組み合わせました
試聴環境はいつも通りTechnics SL-1200G+Phasemation EA-200、楽曲は「Babylon Sisters / Steely Dan」(LP「Gaucho」収録)を統一して使います。試聴相手は後日掲載予定のZonotone製の他、KS-Remasta KS-LW-1500EVO.IIとします。
KS-LW-1500EVO.IIはPC Triple-Cの単線を使っていて、ニュートラルよりは少し明るめでメリハリがある感があるわけですが、Shelca1はそれと比べると柔らかめで間接音が豊かなタイプといえます。
レンジの広さはKS-LW-1500EVO.IIの方が感じられ、Shelca1の方はややカマボコ型のフラットバランスといえます。ドナルド・フェイゲンのヴォーカルはややふくよかに出てきますが、もう少し張りが感じられても良いかも知れません。
中低域の密度は濃く出ていて、アナログ的なバランスに振れます。ただ気になるのが特にバスドラムの頭の部分が丸まってアタックが弱く感じられることです。重量感や力感ももう一息あって良い気がします。
音場はそこそこ広がり、密度もまずまずで空間表現力重視なのかなと感じられます。DL-103Rはいくらか帯域の両端に強調感が感じられるカートリッジですが、Shelca 1との組み合わせではそれが殆ど感じられません。全体的なトーンバランスが少しオールドカートリッジ的に感じられ、トータルではアナログっぽさを少し演出しているような印象を受けました。
今回取り上げた中で、購入価格が唯一1万円を割り込んでいたのがこのShelca 1ですが、その価格と出てくる音を考慮すると、ややキャラクターは感じられるもののお買い得度はそこそこ高いと感じられます。ただ、組み合わせるカートリッジとの相性はそこそこ出やすいタイプではないかと思います。
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購入金額
9,240円
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購入日
2023年02月19日
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購入場所
サウンドハイツ
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