レビューメディア「ジグソー」

オーディオ的な要素は高水準

先日掲載したKRYNA Shelca 1より少し前に購入したZonotone製シェルリード線です。

 

 

 

 

 

 

Zonotone製品が2月から値上げになるという告知を見て、少し安くなっている内に買っておいて試してみようと考えたわけです。結果的に寒さがキツい間は手の動きが悪く取り付けでミスをする可能性が高いと思い、3月に入り気温が下がってからどちらも使い始めたというわけです。

 

同社製の下位製品Grandio LW-1は以前試していて、Zonotoneらしい方向性の音であることは実感できたものの、その取り付けの難しさには閉口していました。

 

 

 

 

 

これは今回使ったShupreme LW-1も同じなのですが、公式情報ではカートリッジ側1.2mm径、ヘッドシェル側1.0mm径と明記されているものの、実際にリードチップの開口部を見てみると結構三角形に近い形になっていることが判ります。

 

 

 

 

 

 

 

audio-technicaの名作AT6101もこのような形ですが、皮膜は上半分が切り取られていて、割合容易に拡がってくれます。しかしZonotoneのリードチップは広げるのにかなり苦労するわけです。

 

 

 

 

 

 

 

調整用のプッシュピンが同梱されてはいるのですが、これは単なる画鋲であり、Grandio LW-1はこれで調整しようとして結果的にリードチップを破損してしまいました。

 

そこで前回の作業時に用意した(ほぼ)Zonotone専用リードチップ拡張ツールを使ってこれを真円に近づける作業を行います。

 

 

 

 

 

 

 

実際にはリードチップの先端より少し下の辺りで別の工具で掴んでおいて、先端分を広げると同時にある程度テーパーが付くように仕上げます。

 

 

一応音について触れる前に製品パッケージや外観も紹介しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

下位のGrandio LW-1と比べても明らかに高そうに見える形で販売されています。リード線4本にこんな立派なケースをつけることは滅多に無いでしょうからね。

 

 

 

 

 

 

 

全長はGrandio LW-1と同じ約37mm、直径1.4mmだそうです。ちなみに普段愛用しているKS-Remasta製品は概ね43.5mmで作られているようです。

更新: 2023/03/22
総評

ZonotoneらしいHi-Fiサウンドを表現

まずは先日取り上げたKRYNA Shelca 1と同様にDENON DL-103R+Ortofon LH-1000に組み付けます。

 

 

 

 

 

 

 

線が硬く少し短いため、DL-103Rのような上下左右クロス型の結線ではかなり取り付けに苦労しました。リードチップの先端もカートリッジ側が1.2mmよりはかなり細いようで、特にピンが太いわけではないDL-103Rですら前述のツールで加工しなければ先端が入りません。

 

 

 

 

 

 

 

何とか組み上げたのがこの状態です。見栄えを良くするような余裕は全くありません。

 

それではいつも通りTechnics SL-1200G+Phasemation EA-200に取り付けて音質を確認してみましょう。先日掲載したKRYNA Shelca 1、KS-Remasta KS-LW-1500EVO.IIと「Babylon Sisters / Steely Dan」で比較してみます。

 

 

まずさすがにZonotone製品の最上位というだけあり、レンジは十分広く音場も特に左右方向は広く展開されます。ただ、やはり下位のGrandio LW-1と本質的な方向性はよく似ていて、本来そこそこ濃厚であるはずの中低域があっさりする傾向があり、ドナルド・フェイゲンのヴォーカルは遠いというか存在感がやや薄いという印象を受けました。

 

バックのドラムも刻んでいるハイハットの金属的な質感は十分に表現できているものの、バスドラムのアタックが弱く感じます。特にKS-LW-1500EVO.IIと比べるとバスドラムがやや薄く感じられること、スネアドラムの鮮やかさがやや大人しくなる辺りに、どうしても共通のZonotoneらしさが感じられてしまうのです。

 

レンジの広さや解像度といった要素は優秀ですから、この濃厚さがやや後退する傾向はZonotoneのトーンということになるのでしょうか。ハイレゾのデジタルデータ音源と張り合うことは出来る一方で、アナログならではの生々しさや濃厚さはあまり得意としていない感があります。

 

比較に使ったKS-LW-1500EVO.IIもPC Triple-Cの特徴が出て、少しテンションの高さを感じるのですが、低域方向の情報量はShupreme LW-1を超えますし、低域方向の密度感やドラムのパワー感がよく出ていて、総合的にみてより音楽を魅力的に鳴らしてくれる気がします。

 

とはいえ、Grandio LW-1と比べれば総合的に性能が高く、入手性も考えれば確実な選択肢であることは確かでしょう。リード線は試聴できる機会は滅多にありませんが、機会を見つけて比較試聴してみれば最上位らしい貫禄は感じられるでしょう。

  • 購入金額

    14,850円

  • 購入日

    2023年01月26日

  • 購入場所

    サウンドハイツ

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