所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。日本語は世界的に見ても母音の比率が多くて「重い」言語のようですが、踊れる曲に、キレ良くノセるのは難しい面もある言葉です。それを英詞とチャンポンすることで、上手くジャジィに乗せてダンストラックとしたグループがあります。そんなグループの現時点で最大ヒットとなった2ndアルバムをご紹介します。
Nulbarich。日本のアシッドジャズ~ファンク系のグループ...というかプロジェクトというか。ヴォーカリストで、共作も含めると全ての曲と詞を書くJQことJeremy Quartusが唯一の固定メンバーで、曲調によって比較的固定のメンツが流動的に集められる感じのプロジェクト。
音楽性的には一時期「和製Jamiroquai」とも言われたように、ブラック・ファンク・ヒップホップ等の影響を受けた楽曲で、歌詞が英語と日本語が有機的に混ざっているようなものが多い。ビート感はあるダンス系の楽曲ながら、メロウでジャジィな面もあり、オシャレ。
“H.O.T”は彼らの2ndアルバムで、このあたりで音楽的に感度が高い人種以外にも名が識られはじめて一般受けもよくなり、事実彼らの中で一番売れたアルバムになっている。
「It's Who We Are」。とにかく日本人離れしているサウンドとメロディ、歌詞。かなり時代は遡るが、SHŌGUN
の様な明るくポップなテイストと、コード進行的に一瞬陰が差す部分はジャジィテイスト。この曲はカンノケンタロウのギターのカッティングがいい。クリーンではないが、歪みが大きく感じられるほどではなく、弱くオーヴァードライヴした音色での軽やかなカンノのカッティングと、櫻井陸来 (サクライロック)のスラップベースに乗せて、JQが♪A boring sunday is the situation/でも嫌じゃないって思えた today/窓の外を覗くand I'll find it/いつもと変わらないってI was thinking♪と日英チャンポンで、軽く音譜に載せて歌う。
「ain't on the map yet」は、同じくカンノと櫻井がギターとベースで参加、他は打ち込みの楽曲。コーラスとギターのカッティングを中心に曲に導入後は、抜けきらない感じの音色のスラップ...というより、いにしえの?「チョッパーベース」風の音色に乗せて、ちょっと懐かしい感じのディスコ系メロディを、深いリヴァーブがかかったJQの声がなぞる感じの曲。ファルセットのコーラスが、ブラックミュージックっぽくて、かなりCOOL。
この黄色ベースのジャケットは、BONUS CDが付属する初回限定盤なのだが、そのBONUS CDには、2017年末に行われた彼らの1stワンマンライヴツアー“Change The Track”から、最終日12月13日の東京 LIQUIDROOMでの様子が収められる。
当時のライヴレポートによるとアンコール含んで16曲が演奏されたライヴだったようだが、CDにはアンコールを除いたライヴ後半の曲を中心に半分の8曲が収められている。その中では、オープニングに近い曲順で演奏された「Lipstick」がいい。このライヴのときはギタリストが二人いたようだが、そうなると一人は「リズムギター」に専念できるので、ノリが良くなる。この曲でも一人は終始コードカッティングを続けてノリを出し、もう一人がオブリガードやフィル、スライドなどで曲に表情をつける。よく動くベースも含めてスタジオ盤
よりファンキィでノリノリ!
造り込みが深いアーティストは、スタジオとライヴの差がある場合があるが、彼らは(つか、JQは、なのかな)高い再現性で、ライヴも安心して聴けるし、会場の熱気が加わって、さらにダンストラックとして質が上がる感じ。これは初回限定盤を入手する価値あり!
このあと彼らはポップさを少しひそめ、より尖り、寡作な方向に行ってしまうが、本作は彼らの尖り方とポップさが一番いい塩梅で混じり合い、聴きやすい。リズミカルに歌うのが難しい日本語歌詞を、上手くビートに乗せた楽曲が多いアルバムです。
初回限定盤の黄色の方のCDには、1stワンマンライヴツアー公演最終日の半分が収められている。
【収録曲】
1. H.O.T (Intro)
2. It's Who We Are
3 .Almost There
4. Zero Gravity
5. Handcuffed
6. In Your Pocket
7. See You Later (Interlude)
8. Supernova
9. ain't on the map yet
10. Follow Me
11. Spellbound
12. Construction (Interlude)
13. Heart Like a Pool
<BONUS CD:Live from Nulbarich 1st ONE MAN Tour 2017/12/13 東京 LIQUIDROOM>
1. It's Who We Are
2. Lipstick
3. Everybody Knows
4. Spread Butter On My Bread
5. On and On
6. Ordinary
7. NEW ERA
8. Follow Me
「ain't on the map yet」
曲の粒が揃ってきて、どの曲も良い曲
メロに詞を乗せる日本人離れした感性が、さらに洗練されてきた感じ。
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購入金額
1,000円
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購入日
2022年05月07日
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購入場所
メルカリ
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