以前驚異の格安カスタムIEMとして取り上げた、中国Hisenior Audioで、Black Fridayセールが開催されていました。
その一環で在庫1本限りのモデルを中心に格安販売していて、特に3BAモデルのS3は、通常価格$249が$100と、かなりお手頃なものとなっていました。
ただ、これまでHisenior Audioに興味を持っていて、製品についても時々調べていた私でも、S3というモデルは見たことがありません。そこでWeb検索を駆使してみると、今年の2月頃に公式Web上に「SkyStar Series」としてS8/S6/S5/S3というモデルが掲載されたものの、その後のWebリニューアルの際に情報が全て無くなってしまっていたということが判りました。3月1日のHisenior公式サイトのWeb Archiveを当たってみると、一応最低限の情報に行き着くことは出来ます。
それ以前から存在していて、現在もラインナップされている同じ3BAモデルのFe3よりも標準価格設定が$50安いという時点で、何となくグレード感は想像が付きますが、かなりのレアものっぽいということで購入してみることに。
今回はカスタム製品ではなく気軽な購入でしたので、送料無料コースで申し込んでみましたが、11月25日夜に発注して、12月11日着という、思ったよりは短期間で到着しています。
元々カスタムIEM中心のメーカーであるだけに、化粧箱等は用意されておらず小さい箱の中にハードケースが収められていました。
実物を見てみると、シェルはかなり質感が高く、下手をすれば私が普段使っている10万円前後クラスの製品よりも高価そうに見えるほどです。なお、このハードケースと標準装着のケーブルは、Black Fridayセールによる無料アップグレードであり、通常はどちらももう少しランクが下がったものが添付されます。
ただ、少し気になったのはS3はノズルが短く、標準装着のシリコンイヤーピースの傘部分が、出荷時点で少し折れてしまっていたということで、イヤーピースの収まりはよくありませんでした。これは結局TWS用のイヤーピースを後日調達して組み合わせています。
中域の質感は良好だが、高域方向はクラス相応
まだトータル20時間少々しか使っておらず、今後評価が変わる可能性があることをご了承の上、これ以降をご覧いただければと思います。
音質評価はChord Hugoとの組み合わせを中心にしています。また、ケーブルについては私が傾向を把握出来ているBrise Audio SHP-001に交換した上で試聴しました。
試聴ソースはこの辺りを適当に聴いています。
まず第一印象としては、傾向は以前作ったCIEM、T2 Customと意外と近いということでした。中低域~中域にかけての質感は3万円以下クラスとしてはなかなか良質です。低域はT2 Customよりははっきりと下まで出ていますし、量も適度にあります。深みが出る訳ではありませんが、このクラスとして水準は十分にクリア出来ているでしょう。
問題はT2 Customと同じく高域が量、質、帯域のいずれも不足します。装着の具合次第である程度は改善するのですが、どうやっても中高域から高域にかけて右肩下がりで量が減っていくという印象を受けるのです。これは機材をHugoからHiBy R6Pro ALやCayin N6ii/R01に替えても変化ありません。
量に関してはまだ何とかなるのですが、高域に関しては正直質も良くありません。ハイハットの金属感は表現されず、数千円の所謂中華イヤフォンでありがちな、何となく高音らしきものが鳴っているだけというものです。高域の質が劣ることで、例えばDavid Garrettのヴァイオリンも何か微細な音が表現されていない感が出てしまうのです。中域を境に下はクラスを超える表現、上は価格相応とはっきりと分かれてしまうという、何とも個性的な音の持ち主といえます。ヴォーカルも、かなり聴かせると感じられたものから、より高価な製品よりははっきりとリアリティが落ちると感じられたものまで、声質によって極端に分かれます。
結論として、$100であれば十分に納得いく音ではあるものの、元の$249だったらどうかな、という感じを受けます。見た目だけで十分$100以上の価値はあると思いますが、音質にまで多くを期待しすぎてもいけないというべきでしょう。
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購入金額
14,546円
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購入日
2022年12月11日
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購入場所
Hisenior Audio
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