レビューメディア「ジグソー」

メディアミックス系のアニメはきちんと終われない事が多いという定説を根性で覆した作品

「芋づる式洲崎綾 Part10」。Webラジオのキャラクターの面白さと天使の歌声のギャップ萌えですっかりファンになった洲崎綾あやちゃん/ぺっちゃん/あやっぺ)関連。12月といえばあやちゃんのバースデイということで、それに向けてこの1年で増えてきた彼女の参加した作品やDJCD、Webラジオのイベントグッズや原作本まで、幅広く芋づる式にご紹介するシリーズレビューの二桁に突入した「Part10」のついに最終回。

 

シドニアの騎士。漫画家弐瓶勉によるSFコミック

とそれに繋がる作品群。

 

原作マンガから、まずTVアニメ

が企画され(上記レビューはTV第1、第2シリーズ合算)、作品放映時にはその番宣Webラジオ

が配信されてアニメを盛り上げ、それらの好評を受けてTVアニメの第2期がスタート、そのイントロデュースも兼ねてTV第2期開始直前に、第1期をコンパクトにまとめた劇場版

が制作された。

 

あやちゃんはこの作品で、ヒロインの立ち位置の主人公と同じ訓練生星白閑(ほしじろしずか)と、星白が敵(ガウナ)に捕食されたあと、ガウナ星白を複製したエナ星白から生まれたガウナと人間の両方の要素を持つ融合個体=白羽衣つむぎ(しらういつむぎ)を演じた。

 

原作マンガはそのあともつづき、TVシリーズ第2期に半年ほど遅れる形で完結した。

 

つまり原作終了時点では、最後の部分は映像化されていない形。

 

こういう「現在進行形」の物語/マンガなどのメディアミックスは、一番影響力が大きく予算も使う映画やアニメなどの映像化が華で、そのほかに(原作が文字の場合は)コミカライズ、楽曲やラジオ、ドラマCDや舞台、イベント、関連商品....と横展開して話題を創り、その影響力で、原作への注目度をさらにブーストアップしていき...と、らせん状に巻き込んでいき、界隈全体を盛り上げて行くというのが常。

 

従って、原作が終わってしまうと、多大な労力とコストをかけて映像を造っても、それ以上「売る」ものがないため、旨みに乏しく、原作が終了した直後ならともかく、終了してしばらく経った作品の映像化が改めて行われることは極めてまれ。

 

それがシドニアの騎士は、映像制作側(ポリゴン・ピクチュアズ)が原作に惚れ込んでいたということもあってか、原作終了後5年半後、前の映像化(TVシリーズ第2期)から6年後になって続編が創られた。

 

それが、劇場アニメとして制作された「シドニアの騎士 あいつむぐほし」。「シドニアの騎士」の映画化としては、「劇場版 シドニアの騎士」に続き2度目だが、前作はTVシリーズ第2期に先駆けた、「第1期のダイジェスト」的意味合いが強かったので、今回の映画は「劇場版」の直接の続編ではなく、TVシリーズ第2期「シドニアの騎士 第九惑星戦役」の続編となる。

 

すなわち、時系列的には

・TV第1シリーズ「シドニアの騎士」(⇒ダイジェスト版「劇場版 シドニアの騎士」)

 ↓

・TV第2シリーズ「シドニアの騎士 第九惑星戦役

 ↓

・本作「シドニアの騎士 あいつむぐほし

 という流れ。

 

ともに1クールを費やしたTVの第1、第2シリーズに比べると、映画一本=2時間弱に圧縮されているので、原作から省かれた部分もあるが、本作は総監督にTVシリーズ第1期副監督と第2期監督を務めた瀬下寛之、監督にTVシリーズ第2期副監督だった吉平“Tady" 直弘が入るという、TVシリーズを深く識り、作品への愛とこだわりが強い制作陣に加え、TVシリーズでは構成協力までにとどまっていた原作者の弐瓶が総監修に入るという、強力布陣で話を上手くまとめている。

 

そして弐瓶によって少々設定が原作漫画とは変えられている。2時間弱という時間的なもので削られたエピソードや役割分担の変更などもあるが、そういう意味だけではなく、「時が進んでいる」。

 

原作では、植民予定のレム恒星系惑星セブンを攻略するため、橋頭保惑星ナインを陥落させ、その後数年しか置かず、セブン攻略=最終決戦へと移行するが、この映画では、惑星ナインを得てから10年が経過していることになっている。そのため、主人公谷風長道(たにかぜながて)は中堅の衛人(もりと:人型の戦闘マシン)操縦士となっており、少年と言ってよかったTVシリーズから、青年士官という感じになっている(主人公の顔が変わる、というのは大きな決断だったと監督が語っているが、これは原作者の意向だったらしい)。この時の流れが、ラストのカットに至る時間経過を自然にしている(そうでないと、ラストカットへの時間経過が急すぎるし、それまで人と隔絶されていて人間関係的に奥手だった長道つむぎの仲の進展がやや自然ではない)。

 


 

話は仮象訓練装置(戦闘シミュレーター)による訓練シーンから。トップの成績をたたき出す、凄腕訓練生、浜形浬(はまがたかいり)は、個人としては素晴らしい成績を上げるが、突出して隊形を乱してしまう。その危機を救ったのは、衛人隊のエースパイロットとなった長道。訓練後お調子者の浜形は、後進の指導にもあたるようになった弦打攻市(つるうちこういち)にも注意される。その場を和ませたのは、管内配管をつたって長道におにぎりを届けたつむぎ。当初その異形が疎まれたつむぎだが、シドニアの危機を身を挺して救い信頼を得、今では館内に自由にコミュニケーション用胞手を伸ばし、人間のようにふるまうつむぎは人気者になっている。

配管からコミュニケーション用を出すつむぎ
配管からコミュニケーション用胞手を出すつむぎ

 

そんな一時的な平和を享受しているシドニアだが、入植対象のレム恒星系惑星セブンレムを挟んで相対する惑星ナインを確保(第九惑星戦役)して10年、ついに艦長小林セブン軌道に居座るガウナ(奇居子)の母船=大衆合船(だいシュガフせん)を攻略する最終決戦を仕掛けることを決断する。

 

その決戦の前に催された重力祭りを、元は長道の後輩衛人訓練生ながら、今では小林を補佐する司令補を務めるようになった緑川纈(みどりかわゆはた)と、最近女性が優勢になってきた中性(相手によって性別を変えていく第3の性)の科戸瀬イザナ(しなとせいざな)、浴衣をコミュニケーション用胞手に着せたつむぎの女性?三人??に囲まれながら長道は楽しむ。その脳裏に浮かぶのは、最初の連結型ガウナとの戦闘前のつかの間の休みを過ごした、かつての重力祭りでの星白の面影だった...

美?女?3人と重力祭りを楽しむ
美?女?3人と重力祭りを楽しむ

 

そういえば前回の重力祭りでは星白が隣にいた...
そういえば前回の重力祭りでは星白が隣にいた...

 

その重力祭りの一大イベント、衛人による対決競技=重力杯には、弦打が出場していた。弦打は「優勝して思いを寄せる同僚サマリと光合成をする」ことを目標に、今まで重力杯に挑んでいるが、優勝は出来ていない(この頃の人類には光合成機能が付加されており、食事はあまり摂らなくても済むようになっている/光合成をするためには皮膚を太陽に晒す=全裸になる必要があり、男女で光合成をする...というのはそういうこと)。今回も決勝まで勝ち上がるが、負けてしまう。優勝したのは山野稲汰朗(やまのとうたろう)。彼はシドニアが100年ぶりにガウナと遭遇したときに、最初に捕食され殉職した山野栄子の弟だった。

 

シドニア第七惑星にいる大衆合船の攻略のため、今まで理論上の存在と言われていた武器、重力子放射線射出装置を完成させたが、それを撃つには莫大なエネルギーを要する。そのため、恒星レムの軌道上に、恒星エネルギー回収機構という人工衛星を配置し、エネルギーをため、重力子放射線射出装置を撃つ作戦。この恒星エネルギー回収機構は単純なしくみの貯蔵庫に過ぎないので、ガウナが強く惹き付けられるヘイグス粒子を用いない。ただし貯めたエネルギーを、重力子放射線射出装置に転送するための機構が別途必要になってしまう。エネルギー貯蔵後、極めて短時間に、この転送装置を恒星レム近隣に設置し、重力子放射線射出装置に転送する作業を行わせるため、熱に強く高速な新型衛人=二零式 劫衛(ゆきもり)が開発されている。さらに奥の手として、つむぎの姉弟とも言える融合個体二号を生み出しこの戦いに備えようとしていた。しかし、その融合個体二号かなたを見つめる長道のかつての同僚、岐神海苔夫(くなとのりお)の目には、何か不気味な触手のようなものが覗いていたのだった....

今まで理論上の存在だった
今まで理論上の存在だった重力子放射線射出装置

 

クナとの目の奥に触手のようなものが...??
岐神の目の奥に触手のようなものが...??

 

惑星セブン攻撃に先駆け、中継点として惑星エイトを攻略することにしたシドニア軍は、を指令とする新造艦水城(みずき)衛人隊を出撃させた。この中には浜形ら実戦経験のない新人衛人操縦士達も含まれていた。途中まで優勢に攻略を進めるシドニア側だが、当初の攻略目的だった連結型ガウナを倒したあと、残存するガウナの反応を4つ発見する。それは驚くべきスピードで接近し、つぎつぎと衛人を撃破する。その動きも単調なものではなく、かつて星白ガウナに捕食されたあと、その技能を持ち、星白の乗機だった衛人を模したガウナとして紅天蛾(べにすずめ)が現れたことがあるが、それと同様に人語を操る知性型ガウナで、その声はガウナとの戦闘の最初の殉職者、山野栄子のものだった。 長道つむぎ仄姉妹の連携でうち2体を撃破するも、1名の新人操縦士が捕獲され、2体を取り逃がしてしまった。

 

その後、それまでずっと惑星セブン軌道上にいた大衆合船が、シドニアに向けて移動をはじめる。それにより当初1年後と想定していた決戦が半年繰りあがり、恒星エネルギー回収機構にエネルギーが充填されきる前に対戦が始まることになってしまった。

 

小林艦長は、より早くなった決戦に備え、融合個体二号の起動試験を行うことにした。しかし、その起動した融合個体二号の声を聞いた小林ら古参の幹部は戦慄する。それは、かつてガウナに唯一対抗できる武器カビザシを船外に投棄し、シドニアへのガウナの侵入を許し、さらにシドニアのメインコンピューターの記録を封印した裏切者、科学者 落合の声だったのだ。落合は、かつて長道への対抗心から自身の家が管理する禁忌の「落合の研究室」に侵入した岐神を、眼窩付近に寄生し寄生された人格を乗っ取る事が出来るシドニア血線虫を用いて乗っ取っていたが、岐神かなた起動に同席させ、かなた起動後にはそちらに乗り移ることで、つむぎをも上回る融合個体の体を手に入れ復活したのだ。かなたガウナの「なんでも複製できる」能力を引き継いでおり、独自の重力子放射線射出装置を形成しつつあった。小林は、融合個体二号を廃することにし、かなた落合の討伐を命じられた衛人隊だったが、岐神同様シドニア血線虫に支配された岐神海蘊(くなともずく)の爆弾設置の破壊工作により、衛人や操縦士が被害を受けてしまい、長道も負傷し、攻撃に参加できなくなってしまう。

かなたからは落合の声が...
かなたからは落合の声が...

 

シドニアは、全エネルギーを集中して重力子放射線射出装置を撃とうとするが、その砲身固定より落合重力子放射線射出装置形成完了の方が速い。絶体絶命なそのとき、つむぎが砲身を自身の体で固定し、超構造体で装甲されたかなたに向け、一発を撃つことに成功する。融合個体の本体を打ち抜かれ、泡状分解しかかるかなただが、その分解が途中で止まる。実はかなたは本体を二重化しており、落合は「大事なものには予備を用意しておくべきだ」と言い遺して傷を癒やしに星系外に去った。

究極の体=を手に入れた
究極の体=融合個体二号を手に入れた落合

 

海蘊の仕掛けた爆弾により負傷していた長道と、重力子放射線射出装置固定のため至近で重力子を浴びて負傷したつむぎだが、傷が癒えたあと、つかの間の平安を得たシドニアでデートする。そのとき、つむぎを大切に想っていることを伝える長道。異形の自分を想ってくれた長道と心を通い合わせたつむぎだが、「一度でもいいから普通の人間になって谷風さんに逢えたら」と考え、悲しくなってしまう。それを「人間かどうかなんて関係ない」と長道は力強く否定し、つむぎにキスをするのだった。

シドニアの空間を手を繋いで飛ぶのと
シドニアの空間を手を繋いで飛ぶ長道継衛改二つむぎ

 

恥ずかしがるつむぎ(カワイイ
「身長差だってたったの15mだ!」←と長道の告白を受け、恥ずかしがるつむぎ(カワイイ

 

その長道のところに、艦長の小林が尋ねてきた。そして、落合の正体と長道との関係を告げた。落合小林長道を育てた斎藤ヒロキ(さいとうひろき)らが、700年前ガウナを唯一消滅させることが出来るカビ(カビザシの先端部)を見つけたメンバーであった事、斎藤が大変優れた操縦士で、その人格や記憶、全ての複製を作る計画が出来るほどの人物であった事、そして長道斎藤のクローンで、いくつもの遺伝子操作が行われた末生まれた「特別製」である事...それらを聞いて、長道シドニアの騎士であることに誓いを新たにする。

 

そんな中、捕食した新人操縦士の記憶を読み取ったのか、大衆合船恒星エネルギー回収機構をめざし、恒星レムに大軍を射出した。これを討伐するため、が指揮する水城つむぎを含む衛人隊が派遣された。水城は、速度を増すため8艦が連結して航行していたが、ガウナ軍の一部がこれに反応、ヘイグス粒子砲が水城を直撃、連結が強制解除され、8番艦が中破する。残る水城隊はレムに向かうが、8番艦脱落のため推力が足りず、ガウナ軍に先行を許してしまいそう。それを防ぐため、シドニア側はスピードに優れる二零式衛人 劫衛を派遣することにするが、シドニア本体に向けても大衆合船から大量のガウナが発射され、その先頭には以前取り逃がした知性型ガウナが認められた。知性型ガウナは自動化された衛人では対抗できない。対抗できるのは長道仕様で自動化されていない劫衛....しかし、劫衛は今すぐレムに向かわないと恒星エネルギー回収機構を護れない...

 

そんなとき劫衛の整備を担当し、誰よりも衛人に詳しい佐々木主任長道に、「(長道専用にチューンアップされているが、自動化されていない)継衛改二を使わせてください」と申し出る人物がいた。それは落合の憑依が解かれ、傷が癒えた岐神だった。岐神は伝説の英雄(長道のクローン元斎藤ヒロキ)が乗機したチューンアップタイプ一七式衛人 継衛に憧れており、幼い頃から自動化されていない一七式衛人の仮象訓練を繰り返しており、素晴らしいスコアを持っていることを示してきた。この継衛への憧れが、長道への嫉妬に繋がり、星白を死なせ、自身に落合をとりつかせる元となってしまったが、ようやく自身のシドニアの騎士としての使命に目覚めた岐神が、「シドニアは俺に任せろ!」と長道を力強く送り出した。

シドニアは
「シドニアは俺に任せろ!」長い遠回りをしたが、岐神シドニアの騎士になる

 

の乗る(右)とのスクランブル。肩のマークがを表す
劫衛(右)と岐神の乗る継衛改二の同時スクランブル。肩のマークが岐神を表す「岐-701」に!

 

その頃、脱落した水城8番艦を護るつむぎや新人衛人操縦士たちは危機に陥っていた。水城8番艦を護るために奮闘したつむぎは半身欠損の瀕死の状態で、つむぎの体を治す培養槽がない8番艦では死を待つのみだった。残存弾薬数もほとんどない8番艦守備隊は、少しでもガウナを減らし、差し違えてでも戦況を優位にするのに力を尽くそうと悲壮な覚悟で連結型ガウナに向かったが、その時連結型ガウナが泡状分解する。

 

劫衛で急行してきた長道が、衝角攻撃で連結型ガウナを貫いたのだ!長道は瀕死のつむぎを最前線の水城本隊に連れて行くことにする(シドニアに戻るのは間に合わない/水城本隊には培養槽があるため)。

 

一方、水城本隊の守備隊の方は、知性型ガウナの襲撃を受けていた。それを高速飛翔体が捕らえ、一撃で泡状分解させる。長道か?いや、傷が癒えたかなた落合が参戦してきたのだ!落合は自身の重力子放射線射出装置にエネルギーを注ぐため、恒星エネルギー回収機構を狙っていた。もともと8機あった恒星エネルギー回収機構も、6機はガウナ側に破壊され、残るは2機のみ。...と、落合は内1機に取り付き、エネルギーを吸収、重力子放射線射出装置を撃つ。一瞬にして蒸発する多数の衛人、そしてガウナシドニア側も、ガウナ側もお構いなしの殲滅攻撃に落合の狂気を観るたち。

 

落合は、自身は超構造体装甲で恒星内でも活動できるため、残る1機の恒星エネルギー回収機構レムに向けて撃ち墜とし、シドニア側の利用を妨害しようとする。恒星内でかろうじて活動できるのは、長道が駆る新型の劫衛のみ。長道落合を追って恒星レムの中心に向けて飛翔した...

 

シドニアも、一体の知性型ガウナを含む複数のガウナの侵入を許していた。シドニア内部で空中戦を繰り広げる衛人隊は、自動化を切って衛人を操縦する山野隊と、山野の指揮下に入った岐神。一体を泡状分解させるも被弾し、落下していく山野機、「行ってください、岐神さん!」の声で、知性型ウナと相対する岐神継衛改二知性型ガウナに組み伏せられながらも、片腕をなんとか上げ、至近距離から高速連射砲をたたき込み、知性型ガウナの胞衣を剥がしにかかる。本体露出まであと少し...というところで、弾薬がつき、迫る知性型ガウナの顔。「..ここまでなのか!」と覚悟した岐神に、下方から煙を吐きながらも上昇する衛人が見えた。「ひとりだけいい格好はさせねぇからなぁ!!」山野のカビザシが知性型ガウナの本体を貫いた!「やったよ、姉ちゃん」山野栄子の写真を見ながら稲汰朗は呟いた...

「ここまでなのか!」
「..ここまでなのか!」

 

「ひとりだけいい格好はさせねぇからなぁ!!」
「ひとりだけいい格好はさせねぇからなぁ!!」(ここ、アツイ!!

 

長道落合が超高温のレムの核近くで死闘を繰り広げている一方で、大衆合船は何もかもなぎ倒しながらシドニアに接近してきていた。まだ、恒星エネルギー回収機構のエネルギーが確保できておらず、重力子放射線射出装置は打てないが、届いたときに一発必中で大衆合船を泡状分解させるため、イザナが率いる観測班が危険なほど敵船に近づき、本体位置を探っていた。各種センサーと直結させた自身の感覚をギリギリまで上げて、なんとか本体を特定、長道に託す。

 

果たして、灼熱の恒星内で危険なほど長く対峙している長道落合との決着は?

レムに墜とされた恒星エネルギー回収機構のエネルギーは回収できるのか?

シドニアに衝突寸前まで迫った大衆合船との決着は?

 


 

という感じに、話は進む。

 

TV第1期、第2期で広げた風呂敷を1時間45分ほどの映画で畳むため、ちょっと端折られた部分や、カットされたエピソード、兵器系の一部など設定を変えられたようなところもあるが、流石原作者が総監修に入っているだけあって、かなり「納得がいく」終わり方になっている。すでに終わった原作で、この映画を機に続編などが創られるという事でもなかったので、純粋に「映像でシドニアを終わらせる」ためだけに創られた作品。そういう意味では、原作者はもちろん、制作陣の執念が実った作品。

 

あやちゃんは、第1期は正統派美少女ヒロインだったが、第2期以降は異形のヒロインという難しい役どころで、巨大な融合個体つむぎ)から星白を想わせつつもそれとは違う声を出し、ラヴロマンスを演じるという難しい役どころだったが、見事に演じきっている(さらにつむぎのコミュニケーション用胞手は違う声だし“わはーい”、映画の途中に出てきた、星白を捕食したガウナから出来た紅天蛾や、ガウナが胞衣で再現したエナ星白なども演じ分けたわけで、これがスゴイ)。観ていると、最後にはあの外観のつむぎがかわいらしい恋する乙女に見えてきてしまうのだから....

 

あと、この円盤では、音声に「裏シドニア」と呼ばれるオーディオコメンタリーが収録されている。これは、監督の吉平“Tady”直弘に加えて、逢坂良太あやちゃんという主演二人によるもの。キャストだけでなく制作側の吉平監督が入っているので、結構深い話が訊けた。

 

あやちゃんが、最後の方のシーンの声音で苦労したという話や(詳しく言うとネタバレになるので書けないが)、サントラでつむぎは高音域の楽器(ピアノやヴァイオリン)で、長道は低くてのどかなオーボエなどで表現してもらったり、二人の感情が寄り添う部分はユニゾンで表現してもらったりなど、自身も楽器が弾ける吉平監督ならではの音でのアプローチといった貴重な話が聴けて興味深かった。

 

なお本品は、初回限定盤なので、映画本編のBlu-ray以外にも、2枚のサントラCDが付属するので、前述の話などが確認できる⇒「宙空のランデヴー」「告白」あたりが該当。

初回限定盤は入りで...
初回限定盤は外箱入りで、弐瓶先生描き下ろしのポートレートが付き...

 

BD本編以外に2枚のCDにサントラが長蹴られていて....
Blu-ray本編以外に2枚のCDにサントラが収められていて....

 

そして4体のフィギュア付き
そして4体(劫衛白羽衣つむぎ継衛改二知性型ガウナ)のフィギュア付き

 

あと、映画鑑賞前売り券購入時および入館時にランダムに配られた衛人つむぎガウナのフィギュアの一部が、きれいに彩色されて付属するのも嬉しいところ。

主人公コンビの二零式衛人 劫衛と白羽衣つむぎ
主人公コンビの二零式衛人 劫衛白羽衣つむぎ

 

継衛改二と劫衛は最後の出撃でも共闘した(継衛改二は肩のマークが「岐-701」の岐神機仕様
継衛改二劫衛は最後の戦いに同時出撃した(継衛改二は肩のマークが「岐-701」の岐神機仕様)

 

ガウナ系?は知性型ガウナと
ガウナ系?は知性型ガウナ白羽衣つむぎ

 

映画前売り券付属+映画鑑賞で配られたフィギュアは無彩色
映画前売り券付属+映画館配布のフィギュアは無彩色(十九式衛人通常型ガウナは貴重)

 

3種は無彩色と菜食済みが揃った。つむぎはやっぱり色があるといいなぁ。
3種は無彩色と彩色済が揃った。つむぎはやっぱり色があるといいなぁ。

 

これらを眺めつつ、サラウンド音声で映画を鑑賞すると、2時間弱の映画があっという間。

 

....あと、ひーさま(金元寿子)のラストのイケメンセリフが必聴のご褒美だ?

 

あやちゃんも、「シドニアの騎士」シリーズ参加初期は新人に毛が生えた程度のキャリアだったものが、さらに芸を磨いて〆にまでつきあうことが出来た、というわけで、実に作品に恵まれたと言えると思います。

 

■□■

 

今年もあやちゃんの誕生日(12/25)に向けてつづってきたこの「芋づる式洲崎綾」も、今日で終了。まだ、あやちゃんが主要キャラを演じた熱いアニメ「バック・アロウ」や、残念なことに来年(2023年3月)で終了が発表されたゲーム=デレマスことアイドルマスターシンデレラガールズのライヴBDなど語り残しもあるけれど、このシリーズレビュー、書くのに多大な労力と時間を要するわりには閲覧数は伸びないwので、あやちゃんが異形のヒロインを演じた作品のフィナーレをもって今回はおしまい。

 

あやちゃん、誕生日おめでとう!

 

次回はおそらくまた来年、この時期に....

 

【収録内容】

<Blu-ray>

・シドニアの騎士 あいつむぐほし(映画本編)

 映像特典:静止画ギャラリー「電子展示室」/各種予告編&SPOT映像集

 音声仕様:

 ①日本語(本編) ドルビーTrueHD ドルビーアトモス
 ②日本語(本編) リニアPCM(ステレオ)
 ③日本語(オーディオコメンタリー「裏シドニア」) リニアPCM(ステレオ)

  出演:吉平“Tady”直弘(監督)、逢坂良太(谷風長道役)、洲崎綾(白羽衣つむぎ役)
<CD-DISC1>
1. 強襲
2. 新兵たち
3. つむぎの純真
4. 開戦宣言
5. 奇怪な浴衣
6. 星白Ⅰ
7. 星白Ⅱ
8. 星白Ⅲ
9. 小さな仄
10. 重力杯
11. 栄冠
12. 記憶の残滓
13. 大衆合船殲滅会議
14. エナ星白
15. 水城出撃
16. エイト制圧作戦
17. 知性型の脅威
18. 暗澹
19. 心に秘めて
20. 恒星エネルギー回収機構
21. ララァの記憶
22. 融合個体起動試験
23. かなた覚醒
24. 嘲笑う落合
25. 纈の窮策
26. 蘇る落合
27. 蠢く血線虫
28. 先史への鎮魂
29. 想い重ねて
<CD-DISC2>
1. 宙空のランデヴー
2. 告白
3. 岐神海苔夫の罪
4. 山野栄子の悲劇
5. 大衆合船迫る
6. 討伐隊出撃
7. 小林の昔日
8. 斎藤ヒロキの意志
9. 急襲
10. 水城八番艦中破
11. シドニアの命運
12. つむぎの幻想
13. 浜形浬の決意
14. 二つの祈り
15. 死線
16. 落合来襲
17. 人類の反撃
18. 奇居子侵入
19. 不屈の闘志
20. 命を賭して
21. 遠き日、その想い
22. 最後の抱擁
23. 窮地
24. 絶体絶命
25. 最後の切り札
26. 終戦
27. 惑星セブンへの入植
28. 奇跡、そして旅立ち 
初回限定版仕様:外箱付き
・1/450スケールフィギュア全4種【彩色仕様完全版】
 二零式衛人 劫衛/白羽衣つむぎ/継衛改二 -岐神機仕様-/知性型ガウナ
・原作者・弐瓶勉描き下ろし特製ポートレート
・『シドニアの騎士 あいつむぐほし』オリジナル・サウンドトラック <音楽:片山修二>
 (DISC2枚組/全57曲収録)

 

「『シドニアの騎士 あいつむぐほし』 | 劇場アニメーション映画 本予告②」ラストのセリフ..! 

更新: 2022/12/19
洲崎綾推し的オススメ度

長道の告白を受けたつむぎが可愛く思える不思議さ

画面は融合個体の巨体なのに....脳がバグりそうw

  • 購入金額

    8,947円

  • 購入日

    2021年12月18日

  • 購入場所

    ハピネット・オンライン

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