まずは今まで通りSednaEarfit XELASTECを装着した状態でqdc TrESを聴いてみて、そこからイヤーピースをSpinFit W1に交換するという形で試聴してみましょう。

なお、SpinFit W1はSサイズ、Mサイズを両方使ってみることにします。Lが適合する可能性はほぼありませんので、これは割愛します。

▲SednaEarfit XELASTECで試聴

▲SpinFit W1（S）で試聴

SednaEarfit XELASTECは中低域～中域にかけての密度感が濃く、そこが不足気味のTrESの弱点を補ってくれるという意味で愛用していました。

これをSpinFit W1に交換すると、意外にも中低域の密度感を保ったままでありながら、高域方向のヌケが良くなり、音場の明瞭度が向上します。TrES自体がかなり高域がクッキリとしているためSednaEarfit XELASTECでも特に不足は感じられないのですが、SpinFit W1に交換するとSednaEarfit XELASTECでは高域の明瞭度がやや落ちていたことがハッキリと実感できてしまいます。

これをさらにSpinFit W1のMサイズへと交換すると、僅かながらドンシャリ感が弱まり、ヴォーカルとの距離が生まれます。つまりSサイズの方が適切なフィットということなのでしょうが、元々のTrESの音がtoo muchという部分がありますので、総合的なバランスはMサイズも良好といえます。

ここで普段のメインイヤフォンである64AUDIO U4にSpinFit W1のSサイズを使ってみたのですが、SpinFitシリーズは構造上ノズル先端と開口部をほぼ面一に合わせることが出来ず、SednaEarfit VIVIDと比べるとハイ落ちとなってしまいます。U4はかなり独特の使い方で好みの音に仕立てているため、これにはちょっと合わないようです。

TrESで得られた結果を見る限りは、SpinFit W1はとても良く出来たイヤーピースであることは間違いないと思います。ただ、個人的にはSサイズだとイヤフォンのノズル形状によってはやや耳に入りすぎることがあり、Mサイズでは僅かに大きく、この中間のサイズがあれば文句なかったなという印象を受けました。

AZLAでいえばSednaEarfit MAXと同様の医療用シリコン製で耳への負担も少ないというメリットもありますし、AZLA製の各種イヤーピースの長所を併せ持つ訳ですが、サイズの点だけはAZLAの方がバリエーションの豊富さで優位に立つようです。